沼津港の食べ歩きはかなり期待が持てた。スマホで検索すると、いろんなサイトがばしばし出てきたからだ。沼津港の公式ページを開くと、お店もわんさと出てくる。
これは迷うな。ただ、一つだけ心に決めていたのが、海鮮丼をどか盛りにするような店はやめておこうと思っていた。そしてどうせなら港の本丸まで攻めたいと考えた。築地も場外より市場の中にこそ、醍醐味がある。いろいろ調べて、目指すべき店をチョイスした。
「沼津魚市場食堂」。
まんまである。
だからこそ期待が持てた。魚市場の食堂を名乗っているということは、まさに求めていた本丸じゃないかと。
港の一番奥まで行き、突き当たりが魚市場だった。素っ気ない建物の素っ気ない階段を昇り、2階に出た。細い通路の下は、競りが終わった市場である。その通路を抜けると店があった。飾り気のない店を想像していたが、一応それなり店だった。時刻は12時過ぎ。いくら平日といってもある程度の混雑を予想していたが、かなり空いていた。
窓際のカウンター席についた。目の前は狩野川河口である。その向こうにうっすらと見えるのは伊豆半島と思われる。
絶景だ。
こんな絶景で酒をいただくことはなかなかない。
お店のおばちゃんに、「生ビール」(690円)を告げた。
お店のホームページにはこう書いてあった。
「1階セリ場で毎朝仕入れた獲れたて鮮魚を提供しています」。
「珍しい地魚も日替わりで入荷していますので是非ご来店ください」。
これで期待しないほうがおかしい。
まずは、「自家製かつお角煮」(480円)からスタート。
ちょっとつまんで、定食で〆る戦略だ。
それにつけてもいいロケーションだ。仕事だが、ここまで来た甲斐がある。「角煮」はともすると味付けが濃い店があるが、絶妙なさじ加減でうまい。さすが魚屋。魚市場の冠を被るのは伊達じゃない。そうするうちにお酒が飲みたくなってきた。日本酒「白隠正宗」(650円)を一合追加した。
ここまではプラン通りだった。後は刺身か焼きで地魚の定食をいただき、2軒目に行くという算段である。
だが、メニューを見て気持ちが変わった。
「あじなめろう」(780円)が食べたくなって、オーダーしてしまった。
「しまった」と書いたのは、もう少し地魚っぽいものを頼もうと思っていたから。しかも「なめろう」って千葉の房総由来だし。
ま、いいか。
自分の背後のテーブル席。お客さんの会話が丸聞こえだった。どうも年配の人が取引先の若い人を誘って、この店に来たみたい。若い奴は恐縮しながら、お店を褒めちぎる。すると年配さんは「そうでしょう」とご満悦だ。一方、その隣りと思しきテーブルでは中国人観光客がいるようで、お店のおばちゃんに、メニューのあれこれを質問している。ちょっと日本語が分かるようだが、込み入ったまでは分からないのと、おばちゃんの説明もよくなくて、話しが噛み合わない。ちょっと振り返ってみてみたが、中国人観光客は家族で来店していて、娘さんらはそのやりとりをみながらうんざり顔だった。
「なめろう」もうまかった。味噌がやや控えめに感じたが、もしかするとお店の料理人は薄めの味付けを好むのか。それで物足りないという訳でなく、素材を活かしたバランスが絶妙だった。
さて、次の店で〆をいただき、もうちょっと飲むかな。
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