恐らく、このタイトルを見た親愛なる読者の皆様は失笑しているだろう。
「自販機さすらい」。
なんやねん、それ、と。
実は自販機が大好きだ。自販機には昔からお世話になった。ジュースはもちろん、カップラーメンもよく食べた。大人になってからはエロ本も買った。座間に仕事に行けば、いつも「湘南クッキー」の自販機でクッキーを買って帰った。最近は「ど冷もん」という料理が出てくる自販機もある。自販機はドラマなのだ。
仕事で沼津に行った。
昨年に続いて2回目の沼津。仕事を終えたのがお昼頃、その後は自由時間である。
沼津港に行ってみようと思った。うまい魚でもつまみながら、酒でも飲むかと。
行きのタクシーで運転手は、「沼津港には5分で行く」と言っていたが、港大橋まで歩くだけで5分が経った。
本来ならその橋からは富士山が見えると聞いたが、あいにくの曇り空。富士山は全く見えなかった。
橋の袂に一台の自販機があった。
恐ろしくボロい。塗装はもう経年劣化で褪せていた。その時点でもう興味深く、近寄って確認したくなった。すると、この自販機はただボロいだけではなかった。お菓子も売っているのだ。飲料とお菓子のハイブリッド販売機。
すごい。
お菓子は「チップスター」、「アルフォート」、「キットカット」に「コアラのマーチ」、そして「果汁グミ」。全く脈絡がない。
次の瞬間、「買ってみようか」と思った。
だが、この自販機、果たして信頼できるのか。賞味期限の切れた代物が出てくるのではないか。そう思ったのも確かである。思い起こせば昔、お金だけ取られて悔しい思いを何度もした。お店の横にある自販機なら、その店に文句を言えるが、時々何もないところにポツンとある自販機とかだと誰にも苦情を言えない。昔はそんなことがしょっちゅうあった。この自販機もそんな臭いがプンプンするのだ。
110円を入れて「コアラのマーチ」のボタンを押した。
だが、うんともすんとも言わない。
一瞬、やられたかと思った。ほら言わんこっちゃない。ボロ自販機なんか信用できないのだ。
やがて、ちょっと間を置いた頃にごとんと音がし、何かが落下した。商品が出てきたようだ。
取り出し口には「約5秒で出てきます」と書いてある。そこに書くなら、もっと自販機の上の方に載せとけよと思う。それともスリルを味わう演出なのか。
「コアラのマーチ」を取り出した。
賞味期限を見たが、切れている訳ではなく、期日が迫っている訳でもなかった。
一応、まともな商品の売買はできた。
メロディ音が鳴り、自販機中央の液晶の数字が目まぐるしく変わる。番号が揃えば当たりという機能だ。何の期待もしておらず、あっさり外れた。これで当たったらアメイジングだと思う。
田舎の自販機にはドラマがある。たった110円で充分楽しませてもらった。
ちなみに「コアラのマーチ」は家まで封を開けず、台所に保管していたが、気がつけば無断で息子に食べられていた。
高崎市郊外のレトロ自販機コルソ、オレンジ353、プチプチ自販機、
安中市のピーパック安中飯島屋!←これは有名ですね。
伊勢崎市の自販機食堂、
吉岡町に手巻きタバコの自販機もあったなぁ。
情報ありがとうございます。
「ピーパック安中飯島屋」、テレビで何回か見たことあります。
地方は自販機の宝庫ですね。
ただ、そこに行くだけの目的で行くのも何かなとも思ったり。
ただ、一度自販機だけで上州巡りもいいですね。