運転免許の更新はいつも東陽町の試験場に行っていたのだが、いかんせん遠いから今回は近場の警察署でやろうと思った。最寄りは板橋警察署になるのだが、調べてみるとどうやら毎日激混みらしい。混んでいない警察署を調べたら、下谷警察署が空いているとの情報が警視庁のホームページに掲載されていた。ちょっとくらい遠くても空いている方が断然いい。都電に乗って出かけてみた。
確かに下谷警察署は空いていた。講習の受講者は自分を入れて僅か7人程度。教室自体が狭いのだが、それでも密にならなくて良かった。さて、講習の後は、どこで飲もうかなといろいろ考えていたら、突然取引先から電話がかかってきた。講習中なので電話には出られないのだが、その用件はだいたい想像がついた。講習が終わり折り返して電話をすると、案の定原稿に誤植があったとのこと。データ入稿だから、自分が原稿を修正しなければならず、急いで家に帰ることになった。
修正データを送ったのがちょうど17時。再び電車に乗って出かけるのも億劫だし。近場の酒場に行こうかと出かけたが、いい案が見つからない。せっかくだから行ったことのない酒場にお邪魔しようか。
王子神谷駅周辺なら、「市の川」か「お茶の子祭祭」か。東十条銀座なら「わたるべ」か「鶏ジロー」。しかし、いずれも決め手がない。
とりあえず、家を出てみた。足の向くままに歩みを進める。向かう先は東十条銀座。まず、「わたるべ」をスルー。「鶏ジロー」もスルー。一瞬、脳裏に東十条駅近くに出来た立ち飲みバーの店舗が浮かんだが、あそこは一店目に行くところではないなと思った。
仕方ない。ここは「香港亭」で「ホッピー」でも飲むかと駅の階段を昇る。そしね「香港亭」の前まで来て、気がついた。そうか、「たぬき」という手があったか。京浜東北線車内からもばっちり見える東十条駅北口のランドマーク的酒場「たぬき」。古典的大衆酒場の色濃い「たぬき」だが、ここはちょっと様子を見てみるか。
階段を降りて入口を開けると、手前右がカウンター。左手にテーブルが2卓ある。その先はカーブになっていて、奥の様子は窺い知れない。お店のおばちゃんに一人だと告げたら、その手前のテーブル席に案内された。出入口のすぐ側、心身共に寒い席だ。
「ホッピー」白をオーダーすると、「あん肝」のお通しが出てきた。あぁ、やっぱり古典的な酒場である。
なんだか馬鹿でかい手作りのメニュー表が出てきた。
その中から「つくね」と「たぬき豆腐」をチョイスした。「たぬき」の「たぬき豆腐」を見せてもらおうじゃないかと。けれど、オーダーして「たぬき豆腐」は取り消した。出入口近くに座らせられたから寒いのである。何か温かいものをと思い、「もつ煮込み」に変えたのだ。
「つくね」はすぐさま出てきた。棒でもなければボールでもない、その中間の形状。なるほど、うまい。焼き物の実力は悪くはない。
ちょっとすると、小鍋で「もつ煮込み」が出てきた。値段が500円前後したから一人前ではないなと思ったら、2人程度分のボリュームできた。やはり古典的酒場。一人客を想定していないシステムである。
「煮込み」は正直、凡庸だった。味噌味の田舎風。豆腐は小さく刻まれて、もつよりも野菜の方が多い。だいこんは柔らかく、かなり煮込まれていることは分かったが、滋味な奥深さはなかった。
店内にはサイン色紙がたくさん飾られていた。また、芸者さんらしき人がお座敷にいる写真も飾られている。どうやらお店の奥は広いお座敷になっているようだ。残念ながら、自分の座るテーブルからはそれを臨めない。
あんまし楽しい雰囲気ではなかった。とにかく、出入口付近は寒い。複数人の客が何組か入店してきて、その度に奥の座敷に通されのが、正直羨ましい。
いいお店だと思うのだが、一人飲みには適してないと思う。
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