
大手町の飲食街、「よいまち」を訪れて、いろいろな発見があった。公共スペースに立ち飲み用のテーブルがあり、各店舗から酒肴を購入すれば、そのテーブルが利用できること。そうすることで、いろんな店舗の味を堪能することができる。店舗も様々な種類のものがあった。その中で興味深かったのが、「もうやんカレー」。最近あちこちで目にするカレーのチェーン店である。夜は居酒屋使いもできるらしく、過日「壌」に来た時から狙っていた。
その店舗は異彩を放っていた。こぎれいでシャレオツな店が軒を構える中、「もうやんカレー」の店舗は押し出しが強かった。
手書きの巨大なボードが3枚も4枚も並ぶ。整然と並ぶ訳ではなく、それはカレーのようなカオスを意味している風である。しかも不可解なのは店舗前に置かれた海亀の剥製。本物か否かは別として、薄気味悪さを感じさせる。まぁいい。気をとり直して、店に入るか。
店は空いていた。自分は一人客なので、店舗入口近くのカウンターに座らされた。本当は奥に行きたかったが仕方ない。
つまみのタパスは一品500円。うむ、安くはない。それならば、どんな戦略で臨むか。「生ビール」、「瓶ビール」とも500円。しかもサワー類も500円。高すぎやん。これは軽く3,000円コースだな。そう思いながら、メニューをくまなく眺めていると、「飲み放題 1,500円」という文字が目に飛び込んできた。これはいい。だが、その下に記載されている注記を読んで気分は萎えた。飲み放題は2人以上かららしい。だが、ここはちょっと交渉の余地があるかもしれない。混んでるなら、店は強気にいけるが、金曜日の19時、広い店内には自分を含め僅か3人しかいなかった。店としては痛手であろう。
「一人でも飲み放題出来ますか?」と店員に尋ねると、「ちょっと待って、聞いてきます」となった。「ダメなら、店を出るか」と思いながら、待っていると、すんなりOKが出た。大手町の一等地にありながら、金曜日に客がいない状況に危機感を募らせている感じだった。
さて、まずは「生ビール」から。
多分、「スーパードライ」。ビールが飲みたかったから、助かった。しかし、「生ビール」一杯500円は高い。
次にスパイスタパスのチョイスだ。このおつまみメニューのラインナップが豊富だった。20から30種類はあるだろうか。
目についたものを列挙してみると。
「ネギダレアボカド」。
「スパイシー ラタトゥィユ」。
「タコ煮 スペイン式のもうやん式」。
「サルサつぶ野菜」。
意味の分からないメニューもあるが、どれも魅力的であり、魅惑的である。
熟考した末、「牛スジ煮込み」をチョイスした。カレー屋がどのように煮込みを仕上げたのか気になったし、「もうやんカレーおすすめの一品」と説明が書かれていたからだ。
そのおすすめの煮込みは予想通り、スパイスなテイストだった。ただし、味付けはともかく牛スジがいただけなかった。これが牛スジかと思えるほど、肉がにゅるにゅるだった。もしかすると、これは何かの間違いではないかと思ったほど。しかも、途中で気持ち悪くなる始末。量的にいっても、これで500円はないなという一品だった。
さて、気をとり直して、次に行くか。
「牛ホホカレー煮」。
これもまた、魅力度高いメニューである。ここで、「ワイン赤」にスイッチした。いかに自分が期待を寄せていたかが分かるだろう。だが、その期待はすぐさま失望へと変わった。今度は肉はともかくとして、カレーソースが奇妙だった。
「玉ねぎ・人参・セロリ・りんご・バナナ・トマト・ニンニクなど30種類の食材野菜とスパイスを23~26種類をブレンドした」というカレーは、ジャパニーズカレーでもなければ、インドカレーでもなかった。経験したことのない未知のカレーである。予想だにしていなかった味ということもあり、正直口に合わない。ゆっくり時間をかけていただくことにした。
「赤ワイン」は一杯あたりの量が多かった。デフォルトでそうだとしたら、かなりお得である。ただ、「こいつ結構飲むな」と判断した店員が、何度も何度も行き来したくないと理由から、一杯あたりの量を増量した可能性もある。ともかくワインを2杯飲んで、ようやく飲み放題1,500円分になる。ここは是が非でも3杯は飲んでしまいたい気持ちになった。
BGMは山下達郎さん。それはいいのだが、「LOVE CELEVRATION 」と「TOUCH ME LIGHTLY」の2曲が延々とエンドレスにかかっている。店を出ても、しばらくこの曲が頭を回っていた。
最後の〆はカレーで。この続きは次週の「カレーさすらひ」で。
ちなみにワインは3杯飲んで、すっかり記憶をなくした。店内から記憶がなくなったのは初めて。
公用先の途中なんですよ。入ったことないですけど。
シチューもカレーも酸味がするのは苦手ですね。
タマリンドを使った酸味とは違う独特のものです。賛否両論のカレーのようです。