ホテルへの帰り際、「吉野家」が見えた。そういえば、もう随分「吉野家」に行ってない。かれこれもう半年は行ってないかも。会社を辞める前までは週に2回は食べていたのに。なんだか無性に牛丼が食べたくなった。お仕事の依頼元の部長さんと別れて「吉野家」に向かった。たまにはこんなジャンクな〆でもいいだろう。
ところが、「吉野家」に向かう途中、立ち飲み屋を見つけてしまったのだ。「じゅん丸」というお店。はじめはスルーしようと思っていたが、むくむくと入りたい気持ちが募ってきた。いや明日は重要な取材があるから、今夜はもう酒は飲まない。そうやりすごそうと思っていたが、体が勝手に店に吸い寄せられた。
もちろん若い頃なら大丈夫だった。何軒飲んでも翌日はジャンとしていた。しかし、今はもう自信がない。持病の目は飲みすぎると翌日充血するし、酒の分解力も落ちて若干残る時も。だからこれ以上は飲まないつもりだったが。勝手に店に引き寄せられてしまったのだ。
店のカウンターに立ちメニューを見る。刺身専門店らしく日本酒のラインナップが充実している。しかし、お酒を飲んでしまうと、もうたちまちヤバくなる。ならば、「ホッピー」はといえば、この関西の地にそうしたイカしたものはない。
「酎ハイ」を探したが、メニューにはない。お店の女性に「酎ハイ」はないのかと尋ねたらあるという。「ならば、それをください」と言った。そして出てきたのが、これ。思わずがっかりだった。後でメニューを眺めたら、そこには「たるハイ」と記されていた。しっかりメニューを確認しなかった自分が悪い。
しかし、さっきの「椿」といい、この「じゅん丸」といい神戸には焼酎ハイボールの文化がないのだろうか。甘ったるいビールメーカーの出来合いの酒で満足なのか。
ここで一つ考えた。兵庫といえば国内屈指の酒処である。神戸から西の地域は灘五郷と呼ばれ、昔から酒造りが盛んな地域である。この店の周囲の客も皆一様に酒を飲んでいる。日本酒が王道の地域なのではないだろうか。しかし、今夜は日本酒はなんとしても阻止しなければならない。気持ちをグッと抑えていたら、切り干し大根のお通しがきた。
店員さんは若い女性が2人。しかし、21時近くになって若い女性が店を切り盛りするというのもどうなのか。たちの悪い酔客がくだをまいたり、セクハラしたりしないのだろうか。おじさんはおおいに心配になる。自分の右隣は小柄な老人。左隣は40代くらいのおっさん2人組。もう一人離れたところに気難しそうな爺さんが一人飲んでいた。女性だけではたちうちできなさそうな一癖も二癖もありそうな客ばかりだった。
「たるハイ」を飲み終えて、お会計してもらった。たった一杯の酒で申し訳ないと言った、「いいんですよ」と返ってきた。お会計はちょうど600円。しっかりお通し代もあったか。しかし都内の立ち飲み屋ならお通し代をとったら大ブーイングだと思うけど。やっぱり神戸は文化が違うらしい。
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