居酒屋放浪記 0393 - 忘れじの浪速恋しい串の味 - 「ヨネヤ」（大阪市中央区難波）

美濃太田駅から「ワイドビューひだ」に乗って大阪へ向かう。
出発の時間まで30分程度あるので、駅付近の居酒屋を散策。すると駅の近くに「養老の瀧」を発見。しかも17時を前に開いている。
「養老の瀧」はとても便利だ。昼間から開いているのがいい。
さて、時計を見ると、「ひだ」の出発までかっきり30分しかない。駅のホームに行くまでに10分は見ていなければいけないので、時間は20分程度しかないとみていい。
　そこでちょっと逡巡してしまった。
はたして、僅か20分程度の時間で何が出来ようか。そうこうするうちに時間はどんどん過ぎ去っていく。結局、わたしは店に入るのをやめた。
　
大阪に着いたのは19時を回った頃合いだった。ケータイで予約した宿はなんば駅の側、わたしは荷物を置いて速攻で街に繰り出した。駅の裏側にあるバスの発着場は昔の新宿駅みたいで、昭和感があふれていた。バスの発着場の目の前にはぼうっと赤提灯が灯り、東京からの客を誘っている。せっかく大阪に来たのだから、串揚げがいいかな、それも立ち飲みでと思い、とりあえず心斎橋の筋のアーケードまで行こうとなんばウォークに入った。すると地下に入った途端、目の前に、わたしの目当てとする立ち飲みの串揚げ屋があったのだ。

なんという偶然。なんというタイミング。立ち飲みの神様がわたしに降臨してきたのだ。
店の名前は「ヨネヤ」。その雰囲気はもうコテコテの大阪の串揚げ屋。わたしはもう嬉しくなって速攻で店の暖簾をくぐった。

早速、瓶ビールをもらう。サッポロ、500円。
つまみは「おすすめの６本盛り合わせ」を頼む。930円のところを850円になっている。
内容は「えび、たこ、帆立貝、とり、れんこん」。
（実はもう１品は失念）。

揚げたてが一品づつ運ばれてくる。
これにソースをつけかぶりつく！
ソースが入った箱には「二度づけ禁止」などという野暮なことは書いていない。
それが当たり前なのだ。文化なのだ。
東京とは違うのだ。

店は半分が立ち飲み、もう半分が座り飲みのスペースとなっている。
客は10人程度、会社帰りのおっさんがひとりでふらりと入ってきたかと思うと、ニューエラの帽子をかぶったお兄ちゃんが彼女を連れて立ち飲みする光景は東京都は全く違う風景だった。

店員さんも小気味よく働いている。
とりわけ、目立つのが若いながらも割烹着が似合うお姉さん。
何故、こんな立ち飲み屋で働くのか、というほどの美人で、しかも働き者。これが同店の華になっていた。

串揚げはマジうまし！
さすが、本場の味と唸ってしまう。
ビールを飲み干し、サワーにした。「純ハイ」（330円）とメニューには書いてある。
なんてことはない、宝焼酎の「純」を割ったものだから純ハイである。
あわよくば、ホッピーを飲みたいところだったが、この「純ハイ」もなかなかいける。衣と脂の口の中を「純ハイ」がきれいに洗い流してくれる。

さすがだな。
本場大阪の串揚げ立ち飲み。
コテコテだが、それがかえって洗練されているように見える。むしろ、東京の串揚げ立ち飲みのほうが野暮ったい。
誰も気取らず、サクッと食べて、ササっと帰る。
これがなにより清清しい。

わたしも６本セットを食べ、純ハイをお代わりして店を出た。
さて、大阪の夜は長い。
もう一軒行くとしようか。
ちなみに大阪では串揚げとはいわないらしい。店の看板には串かつと書いてある。