「河岸を変えよう」というT根の一言で、「からあげ番長」を出た我々が向かった先は、「まるます家」の斜め前の「来来軒」だった。以前から気になっていた店。もう名前からして、町中華である。
店に入る前に、店頭のショーウィンドウで事前チェックをしていたところ、T根がぼそっと言った。
「これ、『日高』じゃん」。
確かに、そんなような気もする。古巣の人間はやたらと「日高屋」には詳しい。何故ならば、古巣のトップが、「日高屋」をこよなく愛し、週に2,3回は社員との打ち合わせを行うからである。ちなみにそのトップは、「日高屋」のことを「ラーメン屋」と呼んで、社内もその呼び方に倣っていた。しかし、「ラーメン屋」という呼び方にはユーモアやセンスのかけらもない。実に彼らしい、呼称の付け方だった。
その「日高屋」に詳しい古巣のT根が言うのだから間違いないだろう。店名は「来来軒」だが、中身は「日高屋」なのだ。
店内はそこそこ賑わっていた。自宅の近所の「日高屋」がそうなのだが、いつ店内を覗いても、高齢者らで混雑している。この物価高、家で調理して食べるより、「日高屋」の方が安いという評判だ。作る手間もなく、フードロスもない。この「来来軒」もお年寄りの客の方が多かった。
「日高屋」のいいところは「ホッピー」があることで、この「来来軒」にもやはりあった。もちろん、「ホッピー」をオーダー。セットが480円。「おかわり(中)」が240円。中2杯で、合計900円はまずまずかな。
あとはもう、「日高屋」に詳しいナビゲートでおつまみをいただく。
「玉子キクラゲ炒め」(500円)。「メンチカツ」(130円)。「ネギチャーシュー」(330円)などなど。
注文を聞く店員さんは若い男性が一人切り盛りしていた。ものすごい忙しさなのだが、何とかお店を回していた。真面目な性格なのだろう。笑顔はなく寡黙なのだが、礼儀正しく好感が持てた。
そういえば、「日高屋」は随分とご無沙汰だな。立ち飲みの「日高屋」なら、コロナが始まった頃に北千住に行ったっけ。「熱烈中華」なお店なら、もっと行っていない。立ち飲みはまだいいのだが、中華はちょっと食指が伸びないのだ。
北千住の立ち飲み「日高」の「ホッピー」の「ナカ」は確かウオッカだった。果たして、この「来来軒」もそうなのかと味わってみるのだが、よく分からなかった。ロシアがあんなことになり、ウオッカを巡る事情はどうなっているのか。よく分からないが、今冬の寒さを考えると、ウオッカでも全然いいなとは思う。
T根の話しによると、古巣の会社のメンツは今も全く変わらないという。あぁみんな奴に飼い慣らされているのか。まぁそれもひとつの幸せだなと思う。ただ、奴の年齢が還暦を超え、そろそろ退陣のリミットが近づいているにも関わらず、今も権力の座についている。昔、間接的に聞いた、奴の経営ビジョンは「60歳になったら、スパッと辞める」だった。
こうして、T根との飲み会はゆるゆると、そしてぐだぐだと続くのであった。
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