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居酒屋放浪記NO.0084 ~高松にて~「讃岐食酒工房 ふるさと」(高松市古馬場町)

2006-09-19 13:46:59 | 居酒屋さすらい ◆地方版

 雨に濡れる稲穂の緑が眩しい。
 穂が膨らみこうべを垂れる瑞々しいそれは収穫の秋をただただ待っているようだ。
 晩夏の雨は一降り毎に秋の気配を運んでくるという。
 この日の四国高松も苛烈な暑さなど身を潜め、涼しげな風が金毘羅の山のほうから(ホントかよ)吹いてくる。
 今年もどうやら夏を乗り切れた。泉谷しげるの「春夏秋冬」ではないが、齢を重ねていくたびに季節を乗り切ることがしんどくなっているようだ。
 仕事を終えて帰りの電車に乗ろうと駅に向かう途中、田んぼの稲穂を見てそんなことを考えた。

 駅に行くまでの道のり、住宅街を歩いた。
 もしかしたら、穴場の「うどん屋」なんかあったりしないか、密かな期待を抱いて。
 やっぱり、なかった。
 昼飯に食べた「マルイチ」の釜揚げうどんはうまかった。更には、ついつい手を出して載せてしまった、「コーヤドウフ天」、これがホント文句なしのうまさ。こんなんで一杯やれたら最高なのに。

 飛行機に乗るまでの時間はまだ十分にあった。18時40分の便。高松築港を17時50分頃出れば十分に間に合うだろう。
 うどんでも食べて帰るか。
 そう、思いながら市内きっての繁華街、瓦町で下車してみた。
 瓦町が栄えているというのは、さっき仕事で話を窺ったRットモンキーのKさんが教えてくれた。「ライオン通りがいい」と。
 ちなみにKさんはこうも言っていた。
 「高松は今、ほとんどの人が映画「UDON」(本広克行監督)を見てますよ」。
 どうやら、身近にいる人がけっこう映画に出演してるらしい。
 それこそ、まさにロードムービーの醍醐味だ。

 駅を降りて、菊池寛通りをぶらつく頃には雨はもうやんでいた。
 雨上がりの町を適当に歩くが、うどん屋はなかなか見つからない。
 聞くところによれば、讃岐地方の人は「1日4食うどんを食べる」と聞いた。或いは「喫茶店にうどんが置いてある」とも噂に聞く。それなのに、この通りにはうどん屋の一軒も見当たらない。
 途中、盛り場の通りに出た。
 その通りを曲がってみる。飲み屋ばかりの小路だ。うどん屋はなさそうだ。だが、居酒屋でも、うどんのひとつやふたつは食べさせてくれるだろう。しかし、どの店もまだ開店前だった。「大衆酒場 カドゲン」は今まさに暖簾を掲げているところ。開店準備に追われているお姉さんに「もう開きますか」と聞くと、「すみません、6時からなんですよ」と言う。
 仕方ない。
 通りの終点まで行くと、向こう側に「ライオン通り」と書かれたアーケードが見えた。
 Kさんが教えてくれた盛り場だ。
 早速、いってみると、ぽつんと灯る明かりが一軒だけ見えた。実際、開いている店はそこしかなかった。

 店の奥のテレビからは競馬中継。
 客はこあがりに4人組のサラリーマンのみ。
 「ちょっと失敗したか」と思ったが、後の祭り。
 カウンターに座って生ビールを頼んだ。
 店は初老のおじさんと若いお兄さんがきりもり。
 突き出しには「大根の煮しめ」。つゆがしっかり大根にしみていてなかなかうまい。
 「何か珍しいものは」と若いお兄さんに尋ねると、「遠方から来られたお客様には『びんぐし』っていう魚の塩焼きをお勧めしてます」という。
「それください」と2つ返事した。
 ただし、焼くのに少し時間がかかるという、「その間何かつまむものでも」と言うので 「ちりめんおろし」(262円)を頼んだ。

 ビールを速攻で飲み干し、次なる飲み物をお兄さんに頼むが・・・。
 「ここらの人は普段何飲んでますか」と素朴な疑問を投げかけると、お兄さん、「焼酎も飲みますし、日本酒も飲んでますよ」と。そして、「びんぐしに合うのはやっぱり日本酒ですね」という。間髪入れずに「お勧めは『特別純米酒雄町』。雄町米で作ってます」。しっかり、宣伝していかれたら、それを頼んでみるしかない。
 コップに注がれた常温の酒(650円)はきりりとすっきりした味わい。
 飲んだ後に口の中がベタベタしない。

 最近の酒米は山田錦ばかりではないらしい。
 多少、コストがかかっても、地元の酒米を使って作る造り酒屋が多くなっているとのこと。なるほど、それは応援したくなってくる。
 そして、いよいよ「びんぐし」が運ばれてきた。
 それは、どこか「オコゼ」に似て、ややトゲトゲのエラがある魚。15cmくらいの小さな身をほぐすと柔らかな香りが鼻腔をくすぐる。味は鰈のように淡白。だが、その淡白さが、雄町の端麗さによく合う。
 この味わい、まさに絶妙。

 さて、店の時計を見ると、空港行きのバスの時間。締めは「うどん」と決めていたが、どうやらもはや時遅し。
 「うどん」なら空港でも食べられるだろう。そうやって、店を後にした。
 「うどん」で一杯を想定していたが、「びんぐし」のほうが遥かによかった。

 空港に着くと、ものの見事に「うどん」は終わっていた。仕方ないから、「いわしのハンペン」と高松の地ビール「さぬきビール 空海」(香川ブルワリー)で再び一杯やった。


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2 コメント

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良さそうだね (怪鳥)
2006-09-21 16:00:29
「びんぐし」ですか?知らないけど、美味そうだね。地方に行くと聞いたことの無い美味い魚がゴロゴロしてるよね~。以前、富山の魚津という町で入った寿司屋の「地魚握り」は10種類全て聞いたことの無い魚で、笑ってしまいました。「はらほれ」とか「めらねら」とか・・・(名前はいい加減です)

ところで、先週土曜日は今pがグランドに顔出してくれたみたいですよ。残念だったね~。akainuブログのコメント参照のこと。
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ハラハロヒレハレ (熊猫刑事)
2006-09-21 17:48:09
魚の名前は地方によって呼び方も変わるしね。しかし、地方名は風流でいいよね。

さて、先週、今P来てたんだね。最近、akainuブログ、とんとご無沙汰してます。ごめんね、今P。
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