
東京ドームからの帰路、我々の足取りは重かった。
初めてのクライマックスシリーズ。ファイナルステージまで進出したカープはそれだけで御の字である。だが、甲子園でタイガースを一蹴し、その勢いを駆って臨んだものの、王者讀賣に惜敗。ゲームセットは悔やまれる赤松の三塁オーバーラン。どちらに転んでもおかしくないゲームを自ら手放したようでもどかしい。
Uちーさんとボクはその反省会を開くために、水道橋駅裏を歩いていた。
店の見当をつけていたわけではなく、ボクは学生時代の仲間の溜まり場だった居酒屋「どんたく」を目指した。
だが、思い出がつまった店「どんたく」は閉店していた。しかも、つい数週間前に店をたたんだような貼り紙がされていた。
22年目の邂逅は閉店。あと数週間足りなかった。
さて、違う店を探そうと思った瞬間、目に飛び込んできたのが、「蔦屋」であった。
ビルの2階。古風な店構えである。
中学生の頃、池田高校野球部監督、攻め達磨こと蔦監督の読み方を知らず、わし監督と読んでいた。
蔦を「つた」と読むのを知ったのは、友人からの指摘である。
暖簾をくぐると女将が現れた。「ラストオーダーまで30分だけど」という。
「うん、それでもいいです」と答え、席を用意してもらった。
ビルの2階だが、店内は古民家風。黒塗りの木目をあしらった内装は渋い。
生ビール。サッポロ。
値段は失念したが、さすがに東京ドームよりは断然安い。日本一ビールが高い場所は東京ドームか恵比寿の立ち飲み「縄のれん」。両者とも800円である。
酒肴に何をオーダーをしたか、この日は備忘録を取り忘れたので、今となってはもう分からない。
ボクらは、カープの敗因を口角泡を飛ばして語り、備忘録など取る余裕がなかった。
ただ、「鶏の唐揚げ」がすばらしくおいしかったことだけは覚えている。メニューは比較的アラカルトに富んでおり、和食ばかりでなく、「ニラレバ炒め」といった中華などもあり、お客を飽きさせることはない。
民芸調の本格居酒屋。そして、気さくなおばちゃん。
野球観戦の帰りに立ち寄るのはちょっともったいない。できれば、腰を据えて、どっしりと構えて飲みたい店。
「食べログ」に登録していない点も好感が持てる。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます