チャッパルをはいて外出すると、また一つ自分が自由になれた気がした。埃っぽいインドの路上は日本のそれよりも清潔とはいえない。ごみは散乱し、どぶをさらった汚泥のようなものが道端に盛られていた。また、インド人らは時折しゃがみこみ、あちこちに小便をしている姿を見かけた。チャッパルで歩くと、足の裏はすぐに埃で汚れた。だが、チャッパルを履いているうちに、いつしかそんなことは気にならなくなった。自分も現地の人と同じように、足が汚れ、何かを踏みつけても気にならなくなったことが嬉しかった。
だが、ウダイプルで宿泊しているゲストハウスに併設されたターリー屋のダルにはどうも馴染めなかった。そのダルは豆の匂いが強烈で、かなりのクセがあった。えぐみと表現すればいいのか、独特のクセが後味をひき、いつしかそれが苦手になった。インドに入国して3週間、ターリーばかり食べてきたが、もしかすると飽きてきたということもあったかもしれない。わたしは度々ターリーを残すようになってしまった。
「ジャパニ、何故食べないんだ」。
宿のおやじは突き出た腹に手にやりながら、毎回同じことをいうようになった。このおやじは「おかわり」という前から、チャパティを持ってきて勝手にプレートに置いていった。多分、それが本来のターリーだ。「フィニッシュ」というまで続けられるおかわりの応酬がインド人のおもてなしなのだ。もしかすると、この独特の香りを放つダルも、本来のインド人が食べるローカルテイストだったりするかもなどと考えたりした。とにかく、ここに来て、ターリーに食傷気味になってしまったのだ。次第に、仕切りにおかわりを勧めてくれる宿のおやじに申し訳なくなり、つらくなってきてしまった。そろそろ、次の街に行こうか。そう考えるようになった。
インド亜大陸の地図を広げてみると、隣国パキスタンまではもう目と鼻の先だった。またしてもパキスタン行きの誘惑がふつふつと浮かび上がってくる。いや、ネパールをすっ飛ばして行くことは考えられない。もうワンクッション入れてみるか。そう思ったところで、アフマダーバードという地名が目についた。ウダイプルから南西に300km。バスなら7,8時間で行けるだろう。パキスタンにイスラマバードというところがあるが、語感が似ている。よし、ここにしよう。出発は今夜にでも。
ちょっと、書くモチベーションが落ちてたよ。
昨日、ネパール料理屋に行って、お店の人と話したんだけど、「オレ深」からもう23年も経っていることに愕然としたよ。
段々記憶も薄れているし。
今月中には再開するよ。
ありがとう。師よ!