
「もつ焼き カミヤ」には、これまで何度か行ったが、あまりいい思い出がない。新橋の店はともかくとして、神田の店が最悪だった。
「ハツ」を頼んだのに、「カシラ」が来て、「頼んでない」というと「それでやっといて」と店主が言った。
あぁ、あの頃は若かった。そんな店主に押し切られてしまうのだから。もう、8年も前のことだ。しばらく、神田には行ってないけれど、「カミヤ」はまだ営業しているのだろうか。
上野の「カミヤ」は何度か店の前を通ったことがある。オンボロな店で入るのに躊躇した。それがいつしか店がなくなり、潰れたのかと思っていたら、どうやら移転していたようだ。もう少し、御徒町側の内陸部に店が移っていた。
ボクとA藤君が、「たきおか 3号店」を出て、「もう1軒」と言いながら、ふらふらと夜の帳を歩いていると、その「カミヤ」に辿り着いた。
ボクの印象では、「カミヤ」はちょっと値段が高い。A藤くんは「どれどれ」と店頭にある舌代に目を向ける。
「高いですね」。
A藤君が言う。
A藤くんは、「ここはやめときましょう」と言ったのだが、ボクは歩き疲れてしまい、「ここにしようよ」と誘ったのだった。
ボクらが、驚愕したのは、串焼き一人前が10本だったということ。10本920円は高くはない。けれど、10本って。そんなにいらないよ。
神田の「カミヤ」にも、新橋の「カミヤ」にもそういう掟はなかった。新設されたルールなのか。それとも、この上野の店だけのものなのか。
あぁ、「カミヤ」でまた。この既視感。
仕方ない。その10本に甘んじよう。
もも、レバーなど、肉が5本。野菜が5本の計10本。串に刺された串焼きの姿は美しく、なるほど気概を持っているのも頷ける。肉の仕入れはよく、味もうまいが、いかんせん身は小さい。
すると、大将は、「つくねはどう?」と尋ねてくる。なかなか、商売上手だ。その「つくね」は3本で460円。いい値段だ。その「つくね」ももらってみた。いわゆる、ボールと呼ばれる「つくね」でなかなかうまいが、やはり身は小さかった。ただ、タレがうまい。黒さが際立つ独特のタレ。甘味と辛さの微妙なバランス。カミヤの串焼きのうまさは間違いなくタレだ。
10本ルールに面食らったが、そこは串焼きのうまさがリカバリーしてくれた。いや、言い換えると、うまいという自信の元に10本ルールがあるのかもしれない。
あわよくば、ボクはこの串焼きでホッピーが飲みたい。
■ 「もつ焼き カミヤ」の過去記事
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます