仙台に向かうことになった。昨年来から何かと仙台に縁がある。仕事で2回、プライベートで1回。そして今回もプライベートで。わざわざ、指定席に乗る必要もないし、自由席でと思いチケットを買った。いや、厳密にいえば、スマホ決済のチケットレス。けれど、駅弁はスマホからでは買えない。上野駅構内で上野駅だけしか売っていない、「上野弁当」(1,150円)を購入した。
掛け紙には西郷どんとパンダが描かれた、これぞ上野!というお弁当。もちろん、そのお供には一番好きな「一番搾り」を携えて。
平日昼間のやまびこの自由席はガラガラだった。上野から東北新幹線に乗り、北上すると、まず楽しみなのは我が街北区の風景を車窓から眺めること。高架から眺めると少し遠くまで見えて、あの辺りが我が家かなと少し嬉しくなったりする。
荒川を過ぎたところで駅弁の紐を緩めて開封し、まずはおもむろに眺める。色味が良く、ぎっしり詰まったおかずとご飯が駅弁の醍醐味だ。
茨城県産のコシヒカリに老舗上野の海苔と大洗吉田屋の梅。そして鮭がオン。
おかずは煮物につくば鶏幽庵焼き、納豆の春巻き、椎茸の肉詰め揚げ、玉子焼き、常陸牛しぐれ煮、ごぼう将軍と珍味の嵐だ。だが、このおかずの素材の多くが茨城県のものであることに気づく。そう、お弁当を作る「しまだフーズ」は水戸の会社。そして、この「上野弁当」は常磐線の旅がテーマになったお弁当である。「上野弁当」と言いつつも、実は中身は常磐線弁当なのである。
その茨城県の幸が詰まった駅弁を、茨城県にかすりもしない東北新幹線に乗っていただく、その罪悪感といったら。でも、そんな憂いなんて関係なく、うまいもんはとにかくうまいのである。都道府県ランキングの最下位、茨城県、もしやこのお弁当もそういうコンプレックスが商品名に影響を与えたか。いや、堂々と声高に言ってほしい。最下位茨城県の最高のお弁当!とか。
「上野弁当」をいただきながら、東北新幹線のシート毎に一冊備えつけられている、情報誌、「トランヴェール」。これに連載されている沢木耕太郎さんの「旅のつばくろ」を読む。久しぶりに感じる沢木節。2月号の伊豆温泉の筆致はまるで「深夜特急」のようだった。
私は富山の鱒弁当が好きですねぇ、ただ上げ底ですけどね。
かつて東北からの玄関口だった上野も今は昔。すっかり通過駅となりました。東京駅と比べると駅弁の数も段違いです。
茨城産の食材ですが、上野を冠した唯一の駅弁は貴重です。
鱒弁当、自分も一度食しました。多分、旅人だからよりおいしく感じるのでしょうね。