
「神田に沖縄系の立ち飲み屋を見つけました」と会社の同僚T根がわたしに教えてくれたのは、今年の初め頃だったか。
その後、なかなか飲みに行く機運が盛り上がらず、空手形となっていたが、4月に入ったある日、まるで突然、なんの前触れもなく、その店に行くことになった。
神田駅北口を出て飲み屋街を行く。この辺も、けっこう店の入れ替わりが多い。例えば、かつて今pと来た「角打 きよし」は既に閉店していた。看板はまだ出ているが、中は廃墟のようになっていた。
しばらく歩いていくうち、T根はあるお店の手前で立ち止まる。
「ここですよ」
それは、かつて会社があった場所とはもう目と鼻の先。ラーメン屋「天下一品」の隣にあるそのお店の看板には「なんで・や総本店」と書かれてあった。
「昔、ここになにがあったっけ?」とオレたち顔を見合わせながら、店に入った。
結局、ビールを頼む段になっても、かつてここに何があったのかは、思い出せなかった。
店は意外と広い。中央に厨房。店の道路よりに立ち飲みスペースが配され、しっかり座って飲めるテーブルなども用意されている。圧倒的に椅子のほうが多いから、同店は立ち飲み屋というよりは、通常の居酒屋と考えたほうがいいだろう。
我々は店の間口に近い角に配された2人用のテーブルに陣取り、早速生ビールを注文した。
生ビールは390円。やはり、400円を切ると、企業努力していると判断できる。だが、この界隈では、この値段も決して珍しいものではない。
キーンと冷えたビールは、極めて若い女性の店員によって運ばれてきた。
もう一度言う。極めて若い女性が生ビールを我々のテーブルに運んできたのだった。
よく見ると、若い店員さんは彼女だけではないようだ。厨房の男性も若く、店内を右往左往する女性の店員も総じて若い。
生ビールは「モルツ」だった。
「オリオン」ではないことに軽い失望を覚えた。沖縄料理の居酒屋を気取るなら、そこは外してはいけないところだと思う。
沖縄出身のバンド、ビギンの面々がCMしている「オリオンビール」のポスターを壁に貼ってほしいところである。
お通しが運ばれてきた。
大根の煮つけ。
これが、実に質素。でも、嫌いじゃない。こういう居酒屋のスタイル。
ビールを飲んで、T根と雑談していると、急にグラリと店が揺れた。
結構大きな地震だった。
かつて、この地で仕事をしていた頃、地震が来ると必ず、オレはこんなことを呟いた。
「とうとう、人類の最後の日がきたか」。
それを、言うと決まってT根は喜んだものだった。
今回、久々に、その言葉を口にすると、T根は久しぶりににっこりと微笑んでくれたのだった。
つまみに「ミミガー」(380円)を貰った。
かつて、彼とは御徒町のとある所(バックナンバー読み返してみてください)で飲んだ際に食べた「ミミガー」はおいしくなかった(憶測でモノを言うのはいけないけれど、そこの「ミミガー」は既製品を使っていたと思われる)が、この店のそれは、しっかり味がついていた。油こくなく、あっさりとした味付けだ。
立ち飲みスペースにいる紅一点の女性が気になった。
どうやら、一人で来ているらしい。
フランクに厨房の男性とお話ししている。
年の頃はもう40をとうにまわったように見える。
じろじろと詮索してしまうのは、もしかして女性差別か。
だって、立ち飲みで女性が一人ホッピーを飲んでいるなんて、吉野屋に入り牛丼を食べる女性より珍しくないか(今時、吉野家の女性も珍しくないし)。
女性が、飲むホッピーに触発されて、わたしもホッピーが欲しくなった。
肴は、「もずく天ぷら」そして「スクガラス」。
共に沖縄を代表する食べ物ばかりをチョイスした。
もずくの天ぷらとは、こりゃまた風流だ。普段は「もずく酢」でしか味わったことのないもずくを天ぷらにするとは。
そして、これがまたいける。天つゆではなく、塩で食べるのもまたいい。
さて、問題は「すくがらす」だ。塩漬けにしたアイゴを豆腐に乗せた、この「すくがらす」という酒肴。しかし、アイゴという小魚がとにかく生臭い。まるで金魚を食べているみたい(金魚は食べたことはないが)。
大概のものは、好き嫌いなく食べられる熊猫だが、これはちと厳しかった。
さて、そうこうするうち、わたしは一杯、また一杯とホッピーの中身を追加していく。
そうして、途中からまたしても記憶が薄れていった。
後半戦、辛うじて覚えているのが、若い女性の店員が成田市出身であることを訊いたこと。訊かれた彼女にとっては、単なる酔っぱらいのおっさんにからまれたと思っているだろう。お客をむげにはできないし。
帰り際の様子は全く覚えていない。
T根が奥様に電話した際、わたしも電話に出た、という。
翌日「相当酔っぱらってましたよ」と「しゃっくりが凄かった」というコメントを頂いた。
更に、T根の感想が振るっていた。
「ボクはあんな人にはなりたくないナ」。
だって。
その後、なかなか飲みに行く機運が盛り上がらず、空手形となっていたが、4月に入ったある日、まるで突然、なんの前触れもなく、その店に行くことになった。
神田駅北口を出て飲み屋街を行く。この辺も、けっこう店の入れ替わりが多い。例えば、かつて今pと来た「角打 きよし」は既に閉店していた。看板はまだ出ているが、中は廃墟のようになっていた。
しばらく歩いていくうち、T根はあるお店の手前で立ち止まる。
「ここですよ」
それは、かつて会社があった場所とはもう目と鼻の先。ラーメン屋「天下一品」の隣にあるそのお店の看板には「なんで・や総本店」と書かれてあった。
「昔、ここになにがあったっけ?」とオレたち顔を見合わせながら、店に入った。
結局、ビールを頼む段になっても、かつてここに何があったのかは、思い出せなかった。
店は意外と広い。中央に厨房。店の道路よりに立ち飲みスペースが配され、しっかり座って飲めるテーブルなども用意されている。圧倒的に椅子のほうが多いから、同店は立ち飲み屋というよりは、通常の居酒屋と考えたほうがいいだろう。
我々は店の間口に近い角に配された2人用のテーブルに陣取り、早速生ビールを注文した。
生ビールは390円。やはり、400円を切ると、企業努力していると判断できる。だが、この界隈では、この値段も決して珍しいものではない。
キーンと冷えたビールは、極めて若い女性の店員によって運ばれてきた。
もう一度言う。極めて若い女性が生ビールを我々のテーブルに運んできたのだった。
よく見ると、若い店員さんは彼女だけではないようだ。厨房の男性も若く、店内を右往左往する女性の店員も総じて若い。
生ビールは「モルツ」だった。
「オリオン」ではないことに軽い失望を覚えた。沖縄料理の居酒屋を気取るなら、そこは外してはいけないところだと思う。
沖縄出身のバンド、ビギンの面々がCMしている「オリオンビール」のポスターを壁に貼ってほしいところである。
お通しが運ばれてきた。
大根の煮つけ。
これが、実に質素。でも、嫌いじゃない。こういう居酒屋のスタイル。
ビールを飲んで、T根と雑談していると、急にグラリと店が揺れた。
結構大きな地震だった。
かつて、この地で仕事をしていた頃、地震が来ると必ず、オレはこんなことを呟いた。
「とうとう、人類の最後の日がきたか」。
それを、言うと決まってT根は喜んだものだった。
今回、久々に、その言葉を口にすると、T根は久しぶりににっこりと微笑んでくれたのだった。
つまみに「ミミガー」(380円)を貰った。
かつて、彼とは御徒町のとある所(バックナンバー読み返してみてください)で飲んだ際に食べた「ミミガー」はおいしくなかった(憶測でモノを言うのはいけないけれど、そこの「ミミガー」は既製品を使っていたと思われる)が、この店のそれは、しっかり味がついていた。油こくなく、あっさりとした味付けだ。
立ち飲みスペースにいる紅一点の女性が気になった。
どうやら、一人で来ているらしい。
フランクに厨房の男性とお話ししている。
年の頃はもう40をとうにまわったように見える。
じろじろと詮索してしまうのは、もしかして女性差別か。
だって、立ち飲みで女性が一人ホッピーを飲んでいるなんて、吉野屋に入り牛丼を食べる女性より珍しくないか(今時、吉野家の女性も珍しくないし)。
女性が、飲むホッピーに触発されて、わたしもホッピーが欲しくなった。
肴は、「もずく天ぷら」そして「スクガラス」。
共に沖縄を代表する食べ物ばかりをチョイスした。
もずくの天ぷらとは、こりゃまた風流だ。普段は「もずく酢」でしか味わったことのないもずくを天ぷらにするとは。
そして、これがまたいける。天つゆではなく、塩で食べるのもまたいい。
さて、問題は「すくがらす」だ。塩漬けにしたアイゴを豆腐に乗せた、この「すくがらす」という酒肴。しかし、アイゴという小魚がとにかく生臭い。まるで金魚を食べているみたい(金魚は食べたことはないが)。
大概のものは、好き嫌いなく食べられる熊猫だが、これはちと厳しかった。
さて、そうこうするうち、わたしは一杯、また一杯とホッピーの中身を追加していく。
そうして、途中からまたしても記憶が薄れていった。
後半戦、辛うじて覚えているのが、若い女性の店員が成田市出身であることを訊いたこと。訊かれた彼女にとっては、単なる酔っぱらいのおっさんにからまれたと思っているだろう。お客をむげにはできないし。
帰り際の様子は全く覚えていない。
T根が奥様に電話した際、わたしも電話に出た、という。
翌日「相当酔っぱらってましたよ」と「しゃっくりが凄かった」というコメントを頂いた。
更に、T根の感想が振るっていた。
「ボクはあんな人にはなりたくないナ」。
だって。
>だって、立ち飲みで女性が一人ホッピーを飲んでいるなんて、吉野屋に入り牛丼を食べる女性より珍しくないか(今時、吉野家の女性も珍しくないし)。
ご自身で仰られている様に差別的発言ですね。ブログを楽しみにしていただけに残念です。
> 「ボクはあんな人にはなりたくないナ」。
良い同僚をお持ちで。言ってくれるだけ見込みあり?
いやはや、北区さん、ご指摘ありがとうございます。おっしゃられる通り、酔いすぎです。
お店の皆様、関係者の方々、申し訳ございませんでした。
昨夜は、「平澤かまぼこ店」で飲んでいました。立ち飲みラリーは王子にさしかかっています。
さて、今晩は…。
「北区」さんとは、もしかすると、どちらかでお会いするかもしれませんね。