
慶応4年創業っていわれても、よく分からない。とにかく江戸時代に遡る。とにかく老舗。だって、「道後温泉本館」から1分の立地だから。見事なまでの外観は平成8年に新築したという。それでも佇まいは重厚だ。
お風呂は地下にあり、女湯を「女郎花(おみなめし)」、男湯を「男郎花(おとこえし)」と称し、立派な湯殿が用意されている。
広々とした内湯と檜風呂の露天、風呂はその二つ。素っ気ないといえば、それまでだがシンプルなのがいい。内湯には2つの立派の石。伊予石と呼ばれる地元産出の石が効果的に配置されている。
いい雰囲気だと思う。ひなびた感はないのだが、そのシンプルさ故か、それとも華美ではなく、落ち着いた雰囲気がそう感じさせるのか、極上の旅館温泉という風情がある。その暗がりの浴場がまた疲れを癒してくれるのだ。
道後温泉には現在、19の源泉があり、4箇所の分湯場に集めらるという。そこから「道後温泉 本館」をはじめ周囲の施設や旅館に配湯されているようだ。詳しくは分からないが、もしかすると「道後温泉 本館」と「大和屋 本店」のお湯は同じかもしれない。「道後温泉 本館」は常に混雑していて、入湯することが大きな目的になっているが、「大和屋 本店」はしっかり心と体を癒すことができる、快適な風呂だ。
隠れ家と言っても差し支えない、いいお湯だった。