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オレたちの「深夜特急」~マレーシア編 クアラルンプール②~

2012-11-29 00:20:21 | オレたちの「深夜特急」
アスファルトの平坦な道とビルの合間をくぐりぬけ、都会の細い日射しを浴びながら、ぼくはクアラルンプールの街並みを歩き続けた。

でたらめに歩いたつもりだったが、偶然にも日本大使館の前に出た。
もしかしたら、師が置いていった自分への手紙がまだあるのかもしれない。
そう考えたわたしは、大使館の入口を目指して歩いた。だが、門は固く閉ざされており、人の気配もない。ペルー大使館事件の後遺症を引きずっているのかもしれない。

インターホンがあり、わたしがそれを押してみると、極めて事務的な女性が怪訝そうに対応した。
わたしが事情を話すと、女性は少し面倒なふうに、わたしに待つようにうながした。
30分程度も待っただろうか。やがて、巨大なマレー人のガードマンが出てきて、事務的に告げた。

「お前宛ての手紙はない」。
その結果に、がっかりなどはしなかったが、大使館の冷たい態度にわたしは失望した。

その瞬間、腹が減っていることに気がついた。
ここまで歩く途中、華僑なのか、それとも中国系マレー人が住むところなのか、チャイナタウンが幾つか通り過ぎた。そこなら、安くてうまいものにありつけるような気がした。

そこは、昼間から賑わっている街だった。
雑然としてはいるものの、中華街にある秩序のようなものが感じられた。看板はおおかたが漢字である。
その中で「琲骨鍋」と書かれた店がやたらと目に付いた。
なんだろうと思って、客の食べているものを覗き込むと、丼飯のようなものをしきりにかきこんでいる。

わたしもそれを頼んでみた。
これが実にうまかった。
鍋料理と思いきや、丼飯のパーコー丼だ。
焼いた骨付き肉がのっかり、重厚な汁がかけられている。
ボリュームも満点だが、値段が僅か2リンギットというのも驚きだった。
わたしは、クアラルンプールに滞在した3日間、ここで「琲骨鍋」を食べない日はなかった。

だが、わたしは、この街への興味は一瞬にしてなくなり、次の目的地について思いを馳せた。
島に行ってもいいな。
そう考えたのは、師を思いだし、今や伝説となった「パンコール島」が頭に浮かんだからかもしれない。


※当コーナーは、親愛なる友人、ふらいんぐふりーまん師と同時進行形式で書き綴っています。並行して語られる物語として鬼飛(おにとび)ブログと合わせて読むと2度おいしいです。
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2 コメント

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都会 (ふらいんぐふりーまん)
2012-12-04 15:17:33
何故かアジアの大都会は、日本も含めて、あまり長居したくなるようなところがないよね。

ま、それは俺が元々大都会が好きじゃないからなんだろうけど・・・。

ただ、ニューデリーやカルカッタ(現コルカタ)は、大都会ながら魅力あったなあ。

それに欧州の大都会も雰囲気があって、中々魅力的だと思ったけど、そう考えると、昔ながらの歴史を感じさせるような何かが多く残っている都会が、俺は好きだっただけなんだろうな。

にしても、マレーシアはたしかに飯は悪くなかったなあ。華人の方が多くいて中華が食えたからなんだろうけど、海外に行くと中華料理のハズレの少なさを実感するよね。

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Unknown (熊猫)
2012-12-05 17:50:54
どこの国にも、どこの町にも、必ず華僑がいて、中国人の力強さを感じる。
そして、彼らは、フライパンと包丁さえあれば、どこでも生きていけるということを示してくれる。

インドでは、彼らの魔法のような料理に幾度となく助けられたなぁ。

タヒチの中華も抜群にうまかった。
忘れられないよ。
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