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雲の上には宇宙(そら)
雪国越後にて、30年ぶりに天体写真に再チャレンジ!
ステラショット3で『オフセット』、ケリがつかずに迷宮状態
2024年03月03日
|
画像処理のはなし
まもなく下弦の月を迎え3月の新月期に入るのですが、なんとここに来て冬に逆戻りで積雪10センチ。
そんな訳で当分星空は期待薄なので、前回記事の編集後記でちらっと書いた『オフセット』問題について報告します。
ひとまずケリをつけたはずの
ステラショット3
の『オフセット』設定だったのですが、
「上越天体写真友の会(J-APA)」の2月の月例会(勉強会)で、
私の方から上記のオフセット設定に関するブログ記事の説明を行ったところ、
会員のKaさん
(CMOSカメラの見識では右に出るものなし)
より、オフセット設定値を求めるなら
ヒストグラムは”
対数スケール
”で見た方が良いとのアドバイスをいただきました。
そこで以前の記事 ケリをつけるぞ(その3)でお見せした
Offset ”1” で Gainを変更した
バイアス(ダーク)フレーム
のヒストグラムを作り直してみました。
( 画像クリックで拡大表示ができます )
左から取得画像の左上隅を拡大したもの、中は前回と同じ表示のもの、右が”対数スケール”で表示したもの
当然の事ながら”対数スケール”では通常表示の1/10、1/100の少ないピクセル数も拡大表示されるため、
通常表示では”0”と思われた輝度レベルにも少ない数のピクセル数があることがわかります。
バイアス(ダーク)フレームとは?
(おさらい)
CMOSカメラは各ピクセル毎にAMPを持っており、このAMPを含めた各ピクセルの回路の特性にはバラツキがあります。
この特性のバラツキにより輝度レベルが0以下(ーマイナス側を含む)と判定されたものはすべて”0”となり、そのピクセルの輝度情報が生かされることはありません。
これを救済するために各ピクセル回路のバラツキの幅を検出して、そのバラツキ幅分以上をあらかじめ底上げ(オフセット)設定してやることによって
輝度レベル0以下のピクセルの輝度データも救済することができます。
この各ピクセル回路のバラツキの幅を検出するために、
① カメラにキャップをして外光の影響をなくし、② 最も短い露光時間で熱ノイズの影響もなくす
事によって得られたのが バイアス(ダーク)フレームで、
設定したGainにおける各ピクセル毎の回路の特性を反映したノイズ画像になります。
以上を踏まえて あらためて上のヒストグラムを見てみると、
Gain100くらいまでは わずかとは言えOffsetを”1”に設定したことにより輝度レベルの底上げは行われており、
前回記事ではなんとかいけそうだったものの、
今回”対数スケール”で表示してみるとピークの裾野はもっと広く、さらなるOffset値の増が必要なようです。
そこでわたしが最近使用する機会の多いGain150でオフセット値を探ってみたところ、 ↓
*
実はこの図には
オフセット設定の不具合
と思われる事象が含まれていることが あとでわかりました
ランダムノイズによるマージンを100程みたとしても、オフセット値”10”くらいかな という結論に。
そもそも私の
(憶測に近い)
持論
では、
光害や靄(モヤ)で明るい空は 天然(?)のオフセットがかかっているようなもの
なので、
更にオフセットをかけなくても大丈夫なのでは?
というものでした。
事実 前回記事に掲載した
かに星雲
のヒストグラムを見てみると ↓
オフセットはわずか”1”ですが、対数スケールで見なければ これでも問題なさそうに思います。
(
”対数スケール”を重視しすぎると、「
木
を見て
森
を見ない」という事にもなりかねません
)
更に明るい短焦点の
R200SS
鏡筒で撮った
X’masツリー星団
のヒストグラムを見ると ↓
画像が更に明るくなったことにより、オフセット”0”でもいけるんじゃないか?というヒストグラムになっています。
その反面、長焦点の
VC200L
鏡筒(レデューサーなし)で撮った
M51 子持ち銀河
の画像では ↓
この画像はレデューサーなしの長焦点で画像が暗いためGain300で撮影、このため低輝度側の裾野も広がって、オフセット”1”では足らないようです。
このようにGainのほかにも、撮影鏡筒の明るさや露光時間によっても適切なオフセット値が変わるとなると
ここは細かいことは言わずに
バイアス(ダーク)フレームの検証結果で得られたオフセット設定値でダーク・フラット画像を作り直そうか、と思った矢先に・・
メンバーのYoさんから
ASI2600MC
のバイアス(ダーク)フレームのヒストグラムで、
ピークが2つできる現象についての疑問が出され、
KAさんが出向いて一緒に検証したところ、
オフセット値を上げていくと格子状のノイズ
(規則正しい縞ノイズ)
が目立っていくことがわかりました。
(
今回の記事の2つ目の図でも、オフセットが大きくなるにつれて格子状ノイズが目立っているのがわかります
)
Kaさんの検証結果では
”
ステラショット3
のZWO社のカメラのネイティブドライバーは、機種に関係なく発生するバグがあると思われる
”
ということでしたので
この時点での新たなオフセット設定でのダーク・フラット作成は取りやめました。
新たな不具合疑惑。この現象の詳細については次回の記事で。
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2日前にはウォーキング途中で芽を出したフキノトウを採ったりしていたのに、
昨日は一転して雪景色に。
それでも今年の冬が小雪であることは間違いないでしょう。
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