栗野的視点(Kurino's viewpoint)

中小企業の活性化をテーマに講演・取材・執筆を続けている栗野 良の経営・流通・社会・ベンチャー評論。

ジェットコースター事故について(投稿)

2007-05-11 23:34:21 | 視点
今日は先日発生した悲惨な遊園地事故が気になって投稿させていただきました。


また遊園地で悲惨な事故が起きました。本来遊戯具は遊び戯れる道具であるはずです
が、最近の遊戯具はより刺激を求めて人間拷問具になってきているような気がしま
す。より過激な動きをさせるために構造が複雑になり、保守点検項目が増えて維持管
理も大変になってきています。遊園地は絶対安全なところと思ってお客様は来るで
しょうし、また、そうでなければなりません。遊戯具を発注する人、設計する人、管
理する人がそのような認識を持っているかが問われています。

今回も金属疲労による車軸の破損が原因ではないかと言われていますが、金属は疲労
限度というのがあって、S-N曲線(疲労試験結果を応力と破断繰返し数Nの関係で
示した線図)で示されるように、破断繰り返し数Nが10の7乗、すなわち1,00
0万回 で折れ点と呼ばれる点で曲がり,それ以後は水平となります。折れ点以下の
応力をいくら繰り返しても破断しないので、この限界応力を疲労限度といいますが、
設計で車軸の応力をこの疲労限度以内に設定してあれば何年使用しても破断しないは
ずです。ただここで問題なのは、比例限度以内に設定したとしても、車軸に加わる力
の設定が間違っていたらだめです。この力のかかり方がコースの形状や最大加速度や
振動などが複雑にかかるので想定が難しく、人命にかかるような場合は現場で実機の
重要箇所にストレインゲージを貼って応力測定をします。遊戯具の構造が複雑になる
と、このストレインゲージを貼り付ける作業も難しくなります。

今回の遊戯具が設計段階で疲労限度を守り、そして、実機による応力測定をきちんと
やったか、元ジェットコースターを設計したことがある設計者として気になるところ
です。

ジュンコンサルタント 山永順一


ワンクリック詐欺にあったのですが・・・
「弁護士ドットコム」法律相談所