栗野的視点(Kurino's viewpoint)

中小企業の活性化をテーマに講演・取材・執筆を続けている栗野 良の経営・流通・社会・ベンチャー評論。

先手を打った小池大臣

2007-08-25 06:06:16 | 視点
小池防衛相、留任しない意向表明
 「政界渡り鳥」「権力と寝た女」--。
かつてマスコミから小池百合子氏に冠された名称である。
日本新党時代は細川首相(当時)に、新進党、自由党時代は小沢党首に擦り寄り、自民党に入党後、小泉政権では小泉氏に擦り寄った。独身の小泉首相のために手作り弁当を届けたり、わざと「あなた」と呼んだという話さえマスコミが報じているほどで、常に時の権力者に擦り寄っていたのは間違いなさそうだ。

 ただ風向きを見るのは上手なようで、環境大臣になった時は「クールビズ」を打ち出し、ノーネクタイの軽装というだらしない格好を国会、特に与党に浸透させてしまった。
 服装が乱れれば規律、規範が緩むのはいつの時代も同じで、結果が与党議員の相次ぐ不祥事である。まあ、そんな奢りと緩みのお陰で、安倍内閣でも内閣総理大臣補佐官、防衛大臣に就いたのだから、してやったりというところだろう。

 ところが、「初の女性防衛大臣」という地位に浮かれすぎた。
就任直後に訪米し、ライス国務長官と会談した際、自らを「マダム・スシ」とジョークを飛ばすなど得意絶頂だったが、まさに好事魔多しで、強引な事務次官人事で墓穴を掘った。

 一方の安倍首相はといえば、自らは首相の椅子にしがみついているが、ほかは様子見人事で、党内の大勢をじっと見ているだけ。今回の事務次官人事を巡るゴタゴタでも明確な指示を出さなかったのは、どうせ次の内閣改造で小池防衛大臣を交代させ、田中真紀子外相の時の前例に倣い、喧嘩両成敗人事をする腹づもりだったに違いない。
 それが、与党内で小池氏の交代を巡り賛否両論が噴出し、首相のリーダーシップがますます薄れることに。
そうした流れを敏感に読み取ったのが小池氏で、色々いわれた挙げ句に交代させられるよりは自らの意志で再任を拒否し、そのことで安倍の次につなげることを選んだのである。
すでに第2次安倍内閣は短命と読んだ上での行動で、まさに「権力と寝る女」の面目躍如というところだ。

 参照:リエゾン九州HP内の「栗野的視点」の
    「権力に擦り寄る女達が見せたパフォーマンス」