栗野的視点(Kurino's viewpoint)

中小企業の活性化をテーマに講演・取材・執筆を続けている栗野 良の経営・流通・社会・ベンチャー評論。

景気が悪くなると流行るもの

2010-01-22 23:58:15 | 視点
 景気が悪くなるといろんなものが流行りだす。

それらに共通しているのは「楽をして儲ける」話。

景気がいい時ならいざ知らず、不況期にそんな「おいしい話」などないと思うのだが、なぜか景気が悪くなると決まってこの手の話が増える。

ちょっと前までは「未公開株」を買いませんかという電話勧誘が多かったが、このところ株価が低迷しているのでさすがに株に関係したインチキまがいの電話はかかってこなくなった。

代わりにかかってきたのが投資話だ。

電話口で女性がこう言った。

「投資信託に興味はおありですか」

「いままでに投資や株をされたことはおありですか」

こちらが株や投資に関心があるかどうかを探っているのだ。

「したことがある」と言うと、どういうものを買ったことがあるのかなどと尋ねながら、少しずつ自分のペースに引き込もうとする。

「アルトン株式会社って、あまり聞かれたことがないと思うのですが・・・」と言いながら、和牛の輸出をしている会社で、1口10万円で最低50万円からだが投資すれば、5年で12%の利子が付くと勧める。

電話をかけてきた会社は大阪本社で、岡山支社は駅前にある、という。

電話をかけてきた会社は「AI(アイ)・・・」。

 昔から「うまい話には裏がある」という。

では、低金利のこのご時世に「5年で12%」という、うますぎる話には何があるのだろう。

 それにしてもこんな話に乗る人間がいるのだろうかと思うが、ヒトラーがこう言っていたのを思い出した。

大きい嘘をつけ。
人が確かめられないような大きい嘘はバレにくい。
そして肝心なのは小さな真実を入れておくこと、と。

 岡山駅前に支社があるという事実。

その支社から岡山県内在住の人に電話をしているという「確かめられる小さな」事実。

そして確かめるすべがないか、おいそれと確かめられない、和牛を輸出しているという事実や、和牛の輸出先、それも日本から比較的遠い外国を加えれば、まさにヒトラーがいう「大きな嘘」になる。

 不況だからよけいに「うまい話」に飛びつくのかもしれないが、そうそう「うまい話」があるわけはないと知るべし。