栗野的視点(Kurino's viewpoint)

中小企業の活性化をテーマに講演・取材・執筆を続けている栗野 良の経営・流通・社会・ベンチャー評論。

最近はマスコミも社会も常軌を逸している。

2011-03-04 17:26:31 | 視点
 もう少し配慮した対応があっていいはずだ--。
入試でカンニングした予備校生の逮捕のことである。
偽計業務妨害容疑での逮捕というが、果たしてそこまでする必要があったのか。
「社会的影響を考慮して」というのが警察の言い分だが、言ってしまえばたかがカンニングである。
厳重注意で済ましてもいいだろう。
その程度事件だと思っていたから、ここで取り上げる必要も、そのことについて書く気もなかったが、逮捕まですれば少しコメントしておく必要がある。
個人的には万引きのほうがはるかに大きな犯罪だと思っている。
それにしては両者の扱いが違いすぎる。
マスコミも社会も。

 今朝の朝日新聞は京大入試カンニング事件を1面トップ記事で扱っている。
冗談ではない。
他に記事はないのか。
前原大臣の献金問題は大した話ではないのか。
小沢一郎氏の政治資金規正法違反(?)問題と比べて、前原大臣の問題は小さな記事で済ませられる問題なのか。
いったいマスコミは記事の扱い基準をどこに置いているのだろうか。

 予備校生に逮捕状が出た後、彼の行方がしれないというニュースに接した時、個人的に一番心配したのは予備校生が自殺するのではないかということだった。
幸いというか、そういうこともなく発見されてホッとした。
 この後、起訴されるのかどうか分からないが、すでに彼は大きな代償を払い、残りのかなりの部分をムダにせざるを得ないかもしれない。
それを思うと、そこまで大騒ぎするような事件かと、どうしても思ってしまう。
少なくとも新聞のトップ面を飾る事件ではないだろうし、ワイドショーが連日連夜報道するような事件ではないはずだ。
もう少し彼の人生に配慮した報道(無報道)をすべきだろう。

 逆に問われなければいけないのは大学側の対応だ。
京大を始め各大学はそこを不問にしている。
監督責任を問われるべきだし、自らの監督体制の不備を恥じるべきだろう。
それをせず若者を逮捕させるとは教育機関にあるまじき態度と責められても仕方ない。
京大だけでなく、他の大学も。

 どうも最近、社会がチマチマしている。
巨悪は見逃し、扱いやすい弱者にばかり牙を向く。
その結果、より弱い者への犯罪が社会に急増している。