ご苦労さん労務やっぱり

労務管理に関する基礎知識や情報など。 3日・13日・23日に更新する予定です。(タイトルは事務所電話番号の語呂合わせ)

労基署の臨検監督を受けることになったら

2014-01-03 17:09:33 | 労務情報

 労働基準監督署から臨検監督(企業に立ち入っての調査)の通知が届くと、身構えてしまう企業が少なくない。違法であることを承知しながら放置していた場合は論外としても、そうでなくても「叩けば埃が出る」のが通例だからだ。
 そこで、今回は、“正しい臨検監督の受け方”について述べてみたい。

 まず、臨検監督が入る前に、社内でセルフチェックを行っておくべきだ。労働法令に詳しい社員がいないなら、弁護士・社会保険労務士等の専門家を活用しても良いだろう。
 そして、法令に抵触する状態が発覚したら、すぐに是正してしまうのが望ましい。臨検監督の時点で適法状態であるなら、それ以上の是正を命じられる余地は無いからだ。
 ただし、是正する前の(違法状態であった)期間中に、例えば未払い賃金等があったなら最大2年間さかのぼって支払うべきことを“指導”される可能性はある。しかし、それも、労使間できちんと話し合って一定の合意を得ているなら、そこでの結論が尊重されるケースも実は多い。

 このように、是正に前向きに取り組む企業には労基署も理解を示すが、逆に、違法なのに適法であるように取り繕うのは、“ご法度”だ。某鉄道会社が臨検監督にあたり出勤簿を偽装して提出したところ、PCのログオフ時刻などから勤務実態と異なることが発覚し、「悪質」と断じられ、総額約1億4千万円の未払い残業代の支払いを命じられたという事例もある。ついでに言うと、この鉄道会社は、担当役員が労基署に出頭して労基署長から直々に命令を受けたらしい(かなり異例)。

 さて閑話休題、その臨検監督が従業員からの通報に基づく「申告臨検」であったなら、話は別だ。
 申告臨検の場合は、通報の内容が事実であったなら、労働者を救済しなければならないので、例えば是正するまでの未払い賃金等があれば最大の2年分を支払うように命じられ、さかのぼり期間の短縮はあり得ない。もちろん、調査自体も厳しくなろう。
 そう考えると、法令違反が有ってはならないのは言うまでもないが、それ以上に、労使の信頼関係を保つことが何より重要とも言えそうだ。


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