経営者は、原則として、通常の労災保険には入れない。しかし、一般の労働者と同様の業務に従事する中小事業主や一人親方(ここでは「海外派遣者」についての説明は割愛する)は、労働保険事務組合を介して労災保険に特別加入することができる。
さて、この特別加入制度においては、一般労働者の「平均賃金」に相当する「給付基礎日額」を特別加入者本人が選択することになっているところ、昨年10月から、その選択の幅が広がっている。
従来は「3500円から20000円まで」の範囲から選んでいたものを、上限額が高くなり、今後は「3500円から25000円まで」の範囲から選べるようになった。これは、特別加入者の収入額の実態や労災保険本体の給付との均衡を踏まえての改定であり、希望する人には補償を充実させようという意味を持つ。
ただし、新規に特別加入する者には改定後の選択幅が適用されているが、既に特別加入している者は「年度末(3月下旬)」もしくは「年度更新時期(6月1日~7月10日」でないと給付基礎日額を変更することができない点は、承知しておく必要がある。
ちなみに、万が一4月1日から7月10日までの間に労災事故が発生した場合、3月31日時点で給付基礎日額の変更が申請されていなければ、労災給付は前年度の給付基礎日額に基づいて計算されることになっている。特別加入者本人が補償を充実させたいと思い、かつ、年度更新時に変更する予定であったとしても、である。
したがって、給付基礎日額の“増額”を希望しているなら、年度更新を待たずに、3月中に変更申請しておくべきと言える。
逆に、給付基礎日額の“減額”を考えているなら、変更手続きは、年度更新時期に行うべきだ。と言うのも、減額するのであれば3月中に申請するメリットが無いうえ、仮にそれまでの間に労災事故が発生したら、「給付基礎日額を変更しない」という選択も可能だからだ。(これは蛇足だったか?)
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