この4月1日から施行された改正民法は、債権の消滅時効に関し、次のように定めている。
第166条
債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。
(第2項・第3項は省略)
従来は債権の性格ごとに短期消滅時効が設けられていたが、時効期間の統一化・簡素化を図り、その一方で、証拠保存の便宜等のため「主観的起算点から5年」という概念を新設したものだ。
これを踏まえて、賃金請求権の消滅時効等を見直す労働基準法改正案が、3月27日、可決・成立した。民法と同じ4月1日から施行されている。
この改正では、以下3項目について、いずれも、その期間を「5年間」とし、ただし、当面(5年経過後に実施される見直しまで)は「3年間」とすることとしている。
1.労働者名簿・賃金台帳等の保存期間(現行法でも3年間)
2.付加金(※)の請求を行うことができる期間
※労基法違反事案に際して裁判所が追加で支払いを命じることができる金員
3.賃金請求権の消滅時効期間
なお、検討課題に挙げられていた「年次有給休暇の取得」に関しては、消滅時効期間を長くすると制度本来の趣旨(労働者の健康確保及び心身の疲労回復)に反するおそれがある等の理由から、今般の改正案には盛り込まず、現行(2年間)のまま変えないこととされた。
さて、これら改正点のうち、企業にとって最もインパクトが大きいのは、やはり3つめの「賃金請求権の消滅時効」だろう。
ただ、誤解されがちだが、今からすぐに未払い賃金を3年遡って請求されてしまうわけではない。消滅時効が進行するのが4月1日からであるので、この法改正が実効性を持つまでには、まだ2年近くの猶予がある。
そもそも賃金を支払わないのは論外だが、労働時間の管理がルーズな会社では、知らずに未払いの残業代が発生しているリスクがある。そういった会社は、この2年のうちに、労働時間を適正に管理し、賃金(特に残業代)を正しく支払う仕組みを整えておきたい。
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第166条
債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。
(第2項・第3項は省略)
従来は債権の性格ごとに短期消滅時効が設けられていたが、時効期間の統一化・簡素化を図り、その一方で、証拠保存の便宜等のため「主観的起算点から5年」という概念を新設したものだ。
これを踏まえて、賃金請求権の消滅時効等を見直す労働基準法改正案が、3月27日、可決・成立した。民法と同じ4月1日から施行されている。
この改正では、以下3項目について、いずれも、その期間を「5年間」とし、ただし、当面(5年経過後に実施される見直しまで)は「3年間」とすることとしている。
1.労働者名簿・賃金台帳等の保存期間(現行法でも3年間)
2.付加金(※)の請求を行うことができる期間
※労基法違反事案に際して裁判所が追加で支払いを命じることができる金員
3.賃金請求権の消滅時効期間
なお、検討課題に挙げられていた「年次有給休暇の取得」に関しては、消滅時効期間を長くすると制度本来の趣旨(労働者の健康確保及び心身の疲労回復)に反するおそれがある等の理由から、今般の改正案には盛り込まず、現行(2年間)のまま変えないこととされた。
さて、これら改正点のうち、企業にとって最もインパクトが大きいのは、やはり3つめの「賃金請求権の消滅時効」だろう。
ただ、誤解されがちだが、今からすぐに未払い賃金を3年遡って請求されてしまうわけではない。消滅時効が進行するのが4月1日からであるので、この法改正が実効性を持つまでには、まだ2年近くの猶予がある。
そもそも賃金を支払わないのは論外だが、労働時間の管理がルーズな会社では、知らずに未払いの残業代が発生しているリスクがある。そういった会社は、この2年のうちに、労働時間を適正に管理し、賃金(特に残業代)を正しく支払う仕組みを整えておきたい。
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