会社は、従業員を雇い入れる際に、労働条件を書面で明示しなければならない(労働基準法第15条第1項、同法施行規則第5条第1項)。 それは、当該従業員がパートタイマーである場合でも同じだ。
ところで、パートタイマーには、予め労働時間・労働日を特定せず、いわゆる“シフト制”で就労させることも少なくないだろう。
そうしたケースでは、労働条件の明示(「労働条件通知書」や「雇用契約書」によることが多い)に際し、「始業及び終業の時刻」・「休憩時間」・「休日」の項はどのように記載するべきか。 単に「シフト制による」としておけば足りるのだろうか。
現にシフトで労働時間や労働日を決めるのだろうし、こと賃金を時給制で計算されるパートタイマーにあっては、それで問題なさそうにも思えるが、実はそうではない。 なぜなら、次に挙げる各項目は(原則として)契約上の労働時間・労働日によって判断されるからだ。
(1) 雇用保険への加入
(2) 健康保険・厚生年金保険への加入
(3) 年次有給休暇の付与日数
(4) 年次有給休暇取得時に支給されるべき賃金
(5) 使用者の責による休業の場合の休業手当
そのため、シフト制であっても、「標準的な始業及び終業の時刻・休憩時間」・「標準的な休日」は、労働条件通知書等に明記しておくべきと言える。 裁判所も、労働日をできる限り具体的に特定させるか、でなければ労働者がある程度予測できるような規定を設けておくことを求めている(仙台高判H13.8.29)。
そのうえで、この条件に拘束されずにシフトに入ってもらうために、「具体的な労働時間・労働日については、シフト制とし、各労働日の○日前までに指示する」といった一文を加えておく必要がある。
もっとも、そうしたからと言って、まったく自由に労働時間・労働日を命じられるわけではなく、実際の労働時間が週40時間(変形労働時間制を採用している場合はその労働時間数)を超えたり、週1日(または4週に4日)以上の休日を与えなかったり(いずれも三六協定で定めた時間外労働・休日労働であるものを除く)するのは、もちろん許されない。
さらには、実態が契約内容と乖離し、それが“慣習”となっている場合は、明文規定よりも慣習のほうが優先される(民法第92条)ことも覚えておきたい。
シフト制であっても、あるいは時給制であっても、安直に雇い入れてはならないのだ。
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ところで、パートタイマーには、予め労働時間・労働日を特定せず、いわゆる“シフト制”で就労させることも少なくないだろう。
そうしたケースでは、労働条件の明示(「労働条件通知書」や「雇用契約書」によることが多い)に際し、「始業及び終業の時刻」・「休憩時間」・「休日」の項はどのように記載するべきか。 単に「シフト制による」としておけば足りるのだろうか。
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(1) 雇用保険への加入
(2) 健康保険・厚生年金保険への加入
(3) 年次有給休暇の付与日数
(4) 年次有給休暇取得時に支給されるべき賃金
(5) 使用者の責による休業の場合の休業手当
そのため、シフト制であっても、「標準的な始業及び終業の時刻・休憩時間」・「標準的な休日」は、労働条件通知書等に明記しておくべきと言える。 裁判所も、労働日をできる限り具体的に特定させるか、でなければ労働者がある程度予測できるような規定を設けておくことを求めている(仙台高判H13.8.29)。
そのうえで、この条件に拘束されずにシフトに入ってもらうために、「具体的な労働時間・労働日については、シフト制とし、各労働日の○日前までに指示する」といった一文を加えておく必要がある。
もっとも、そうしたからと言って、まったく自由に労働時間・労働日を命じられるわけではなく、実際の労働時間が週40時間(変形労働時間制を採用している場合はその労働時間数)を超えたり、週1日(または4週に4日)以上の休日を与えなかったり(いずれも三六協定で定めた時間外労働・休日労働であるものを除く)するのは、もちろん許されない。
さらには、実態が契約内容と乖離し、それが“慣習”となっている場合は、明文規定よりも慣習のほうが優先される(民法第92条)ことも覚えておきたい。
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