会社の役員(取締役、執行役、監査役、会計参与等)は経営者であって、本来、従業員の立場とは一線を画する。
しかし、役員でありながら、従業員としての身分(部長・支店長・工場長等が該当するが必ずしも役職に就いていることを要しない)を有し、従業員としての賃金を受けている者も、珍しくない。 これを「使用人兼務役員」と呼ぶ。
この使用人兼務役員は経営者であると同時に労働者でもあるので、その部分において労働基準法や労災保険法の適用を受ける。
例えば、工場長として工場で作業中に負傷した場合は、労災保険から補償給付を受けられる。 ただし、株主総会出席中(取締役としての業務中)に負傷したようなケースは労災事故として扱われない。
一方、雇用保険に関しては、雇用関係があると認められ、使用人としての賃金額が役員報酬額を上回る場合には被保険者になる(被保険者であり続ける)が、その旨、ハローワークで確認を受けなければならない。
なお、代表権・業務執行権を有する役員(代表取締役、専務・常務等のいわゆる役付き役員等)は基本的には労働者性を有しないものとして取り扱われる。
つまり、使用人兼務役員は、部分的に労働者であるには違いないが、雇用保険の被保険者になるとは限らないのだ。
ちなみに、ハローワークで兼務役員の確認を受けるにあたって必要な書類は以下のとおり。
(1)『兼務役員雇用実態証明書』
(2) 登記事項証明書(会社の登記簿謄本)
(3) 会社の定款
(4) 株主総会・取締役会等の議事録(役員報酬額を確認できるもの)
(5) 人事組織図
(6) 役員報酬規程
(7) 就業規則・賃金規程
(8) 該当者の労働者名簿
(9) 該当者の労働条件通知書(または雇用契約書)
(10) 該当者の出勤簿等(原則として役員就任前後3か月分)
(11) 該当者の賃金台帳または給与明細書(原則として役員就任前後3か月分)
(12) (上記書類が存在しない場合や補足説明が必要な場合)『申立書』
(13) その他、ハローワークが求める書類(ハローワークごとに扱いが異なる)
この手続きは役員就任後すみやかに行うべきこととされているが、(10)(11)を揃えるには必然的に3か月経過後になる。
もっとも、その他の書類(13)を求められることがあるので、該当する見込みが生じた段階で、予めハローワークで相談しておくのがよいだろう。
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