【まるで刺繍をしたような美しい羽根(蜻蛉領巾)】
台風一過の今朝の空は、
太陽は出ているものの、真珠色の空に。
真珠色・・そう言えば、この表現も久し振りですね。
何と言っても、この処の空は眩(まばゆ)い、
焼け付くような青空ばかりでしたから。
お陰様で午前中は、
わりとしのぎやすかったように思います。
さて、一昨日には早くも虫の声を聞き、
暑さの中にも近付く秋の気配を感じたものです。
同時に季節の移ろいの、あまりにもの早さに、とまどっている私がいます。
「・・・ 略 ・・・でも、一体、夏はどこへ行ってしまったんでしょうね?
あの春の夕方、さんざしを持って帰って来てから
1日も経っていない気がするのにね。
小さい頃、あたしは夏の一方の端から
もう一方の端を見る事が出来なかったのよ。
果てなく続く季節のようにあたしの前に広がっていたんです。
今じゃ、『片手の幅だけ、一つの物語』 だけですわ」
【「アンの愛情」 第23章】
そして今日も朝から蝶がヒラヒラと舞っています。
アゲハ蝶を初め、すっかりお馴染みの蝶ですが、1頭だけは先日もやって来た黒い蝶。
でもこの蝶は、ただ舞っているだけで、止まるという事をしてくれません。
そんな蝶との追いかけっこに、ほとほと疲れ・・。
ところが、つい先程の事。勝手口から出た私の目に飛び込んで来たもの。
な、何と今度は黒い蝶ならぬ、黒い蜻蛉(とんぼ)が、
トマトの葉っぱの上に止まっているではありませんか・・。
当然の事ながら、カメラは持っていません。
“待っててね・・” と、心の中で祈りながら引き返しました。
本当に運良く撮れたのが冒頭の写真です。
この黒い蜻蛉は、今回が二度目ですが、【前回】 とは明らかに違います。
とんぼ、蜻蛉、蜻蜓、秋津、みんなトンボの事ですが、
漢字にすると何と詩的になるのでしょう。
又、蜻蛉の美しい羽根、「蜻蛉領巾」 は、万葉集にも詠まれています。
「・・ 略 ・・たらちねの母が形見とわが持てる
まろみ鏡に 蜻蛉領巾 負ひ並め持ちて馬替へ吾背・・ 略 ・・」