ふと目覚めた朝。
枕元の時計は丁度、午前5時。
そこに飛び込んで来たのは虫の声。
偶々、エアコンのモーターが
止まっていた時だったようです。
そう言えば休む時、宴は既に最高潮だった
筈ですが、どうやら夜を徹したようです。
もう晩夏ですのに、一向に下がらない気温、虫達は一体何を思うのでしょう。
今朝は蛁嘹(つくつくぼうし)が。移ろいの季節なのですね。
さて、ちょっと気分転換を・・と思って読み始めた松本清張。
(それにしてはかなりの長編ですが)思わぬ面白さにハマっています。
そう言えば、清張ファンと言いながら、
歴史物(時代物)は、ほとんど読んでいませんでしたっけ。(短編を少々)
しかしながら、時代考証はしっかりしていますし、
徳川吉宗と目安箱、大岡忠相(ただすけ)周辺の出来事と言いますと・・。
やはり、サスペンスが絡まり、単なる歴史物とは違う面白さがあるのです。
その上、時代は既に徳川幕府の安定期。
城中や当時の江戸の町の様子など、
詳細に描かれていますので、十分読み応えがあるという訳です。
そうそう、吉宗と言いますと、各地に養生所を作りましたね。
それに付随して薬園も作りましたので、薬草(ハーブ)の事も詳しく載っています。
鍼灸中心の医療、プラス薬草で人々の病気を治したのですね。
薬草に興味がある事もあり、こちらの面でも思わぬ収穫。
その一端を記してみたいと思います。
とは言っても、私が読んだのは上巻の、まだ半分なのですが・・。
(中略) 薬園の敷地に入ると 弥作の鼻にぷんと薬草の匂いがして来た。 何万坪という土地でも栽培されているものが薬草ばかりなので、 他の野菜畑に来たのとは違っていた。(中略) ここには朝鮮から移植した薬草36種もある。 今、匂っているのもその香りの強い草だった。(中略) わが国の薬草栽培は随分早い頃から行われて、 既に推古朝にその記録が見えている。(中略) 吉宗が薬草に熱心だったのは寛永13年にこの祖父紀州頼宣が 朝鮮から薬草を求めて以来で、その時の品種の一例を挙げると 沙参、白微、常山、天仙藤、鬱金、姜黄、と言った名前が見える。 ~松本清張作 「乱灯江戸影絵」 |