【いくつになってもアン気分】

 大好きなアンのように瑞々しい感性を持ち、心豊かな毎日を送れたら・・。
そんな願いを込めて日々の暮らしを綴ります。

かそけきピンクの花姿

2012-07-09 17:10:37 | 路傍の花~道草


【「捩花(ネジバナ)」】










・・・既に曙の色を払い落した富士は、
3分の2を雪に包まれた鋭敏な美しさで、
青空をり抜いていた。
明晰めいせき過ぎるほど明晰に良く見えた。
雪の肌は微妙で敏感な起伏の緊張に満ち、
少しも脂肪のない筋肉の細かい
端正な配置を思わせた。
(中略)
1点の雲もなく、石を投げれば石の当たる
きわどい音が響いて来そうな 硬い青空 である。      
        【三島由紀夫作 「暁の海」 ~ 『豊饒の海』 第3巻】


   



   梅雨の晴れ間3日目は、快晴となりました。
  おまけに梅雨、しかも7月とは思えない程の爽やかな気候。
  気温は、かなり高いのですが湿度がありません。

   昨日も記しましたが、
  淡い水色の空は包み込むような優しさ。

   「青い陶器のような空」 と表現したのは吉屋信子ですが、
  期せずして三島由紀夫も今日の引用文の如く、
  同様の表現をしていますね。

   「硬い青空」 と言うと私などは
  咄嗟(とっさ)に冬日和の空を連想したものです。

   季節は様々で吉屋信子が夏、
  三島由紀夫は春。沈丁花の咲く季節です。
  これからは意識して空を眺める事に致しましょう。







【風を待つ花 「赤花夕化粧(アカバナユウゲショウ)」】


                                    【捩花】

   さて、薔薇が美しいのは
  誰もが認めるところですが、
  「かそけき花」 の
  イメージはありませんね。

   可憐なピンクの野の花には
  後塵(こうじん)を
  排する事でしょう。

   何せ薔薇は存在感、
  たっぷりですものね。

   尤もそこは花の女王。
  憂愁の薔薇もあるには
  ありますが。

   ところで今日の幸せ。
  今年初めて裏庭に「捩花」
  を発見。大好きな花です。

   この花は孤高のイメージ。
  決して群れないで一定の距離を
  保ち咲く事にあるのかも
  知れません。誇り高き野の花。

   そして 「赤花夕化粧」。
  もうかなり長い事咲いていますね。    

   風に揺れているその姿は、見るからに儚(はかな)げで。
  風の似合う花です。「風待草」 と命名しましょうか・・。