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【淑女の薔薇】
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天頂には 青空 が開けた。 いつか図書館の美術全集で見た フォンテエヌブロオ派の天井画風な、 気取った吝嗇な青空。 思わせぶりな雲と共に、 抒情的に装ったこの青空は、 決して夏の空ではない。 【三島由紀夫著 「天人五衰」 ~ 『豊饒の海 第4巻』】 |
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今日も昨日同様の炎天の空となりました。
猛暑日も2日目。昨日以上の暑さです。
この暑さで長らく咲いていたパンジーも、
さすがに終焉を迎えたようです。もう7月ですものね。
枝を伸ばせば切り詰め、又、そこから新芽。
そんな繰り返しでおよそ10ヶ月。
“御苦労さま!” と心から言いたい気分です。
ところで本当に久し振りの空の写真。
写真は午前11時頃の空ですが、今視界にある空は雲一つなく真っ青な空。
昨日から感じていた、陶器のような硬い空とは
こんな空だったのか・・と思ったり。
(勝手に夏の空に硬い空は、あり得ないと思っていましたから)
それにしても今日の三島由紀夫の空の描写。
『アンの世界』 のそれとは違った意味で素晴らしいな・・と。
「吝嗇な青空」 に 「思わせぶりな空」・・。
これらの語彙(ごい)には、やはり惹かれてしまいます。
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【バニラ色の薔薇 ~ 「白い貴婦人」】
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さて、暑さに滅法強い薔薇。
ただ、蕾から開花までのスピードは早く、息つく暇もありません。
庭で開花したものを花瓶に挿し、それから何日も楽しめた、
あの春の日がまるで遠い昔のよう。もう少し遡って・・
晩秋の薔薇に至ってはこれ以上伸ばす首がない程、
その開花を待ち侘(わ)びましたっけ・・。
ところで今日の薔薇。昨日はまだ堅い蕾でしたのに。
それこそ一夜にして開花。リラ版 「淑女の薔薇」 ですね。
薔薇は白もいいけれど、紅もいい。
白に接すればその清(すが)しさに心を洗われ、紅にはその格調高さに心酔う。
いいえ、いつ見ても、どの色も厳粛で華麗。
1輪でも堂々と咲き、群れればより重厚感を増す・・。
「たかが薔薇、されど薔薇」。
薔薇の一挙手一投足(いっきょしゅいっとうそく)に心を奪われています。