朝の番組で、
《震災から13年》特集をやっていた。
様々な家族の13年を紹介していたが、
それに対して視聴者からの感想をアナウンサーが読むコーナーがあった。
その中の
『福島の子供たちの13年…』と括って取り上げる事への違和感を持ったと言う一視聴者の率直な意見が印象に残った。
『優等生的な取り上げ方ばかり…
震災を経験したのだから立派に生きなければいけない、との重圧に耐えられず優等生になれなかった子もいる…
途中で見るのがイヤになった…』
と言うような内容だったと思う。
読み終えたアナウンサーの表情からも、複雑な思いは伝わってきたが、
私は、思わずハッとした。
投書の内容に、
辛い思いを抱えて震災後を生きていく若者たちの本心を見たような気がしたから…
実は、
13年前、震災から半年後にママ友の依頼で、
彼女のお嬢さんの披露宴司会を頼まれた事があった…
そのお相手が、相馬の若者だった。
初めての打ち合わせで、
『震災から半年しか経ってないのに披露宴をするのは、どうなのか…と悩みました』
と苦悩の表情を浮かべながら新郎新婦は話した…
いわゆる自粛ムードの真っ只中だった。
あれから13年…
つい最近までコロナ禍で、修学旅行に行けなかったり学校行事が中止になったり…
大変な時代を過ごしてきた若者たちが社会人になった。
そんな若者たちを十把一絡げで
《Z世代》と呼んでいる…
Z世代は、
SNSネイティブでコミュニケーションが苦手と言うのが定説でもある。
その彼らが企業や団体が主催する新入社員研修に参加し、
その講師を私のような者が受け持つ…
マナーセミナーやコミュニケーションをテーマにした研修で、
彼らが、ビジネスの世界で上手く他人と付き合っていくための手段や方法を提案している…
それが私の主な仕事だ。
今の若者は他人への気遣いができているようで、
態度も真面目で好感が持てる…
だが、
別の見方をすれば、萎縮しているようにも思える。
自分が他人から攻撃されないように身構えているようにも見える…
そんな時、私はいつも
(大変な時代を生きてきたんだな…)
と彼らを慮る。
福島の若者は、恐らく、私のような世代の大人に叱咤激励されて生きてきたのだ…
そして、
(あれだけの経験をしたのだから…頑張らなきゃね)
と無意識の圧をかけられてきたのだ。
今さら気づいても遅いのかも知れないが、
大きな震災を体験してきた若者たちの《その後》を特集するのは結構だが、
思うように頑張れなかった若者がいることも事実なのだ。
その子たちの心の傷は、
我々大人が想像する以上に深い…