声の仕事とスローライフ

ただ今、仕事と趣味との半スローライフ実践中。遠方の知人友人への近況報告と、忘れっぽい自分のためのWeb忘備録です。

Dr.は魔法使い

2018-12-07 20:56:32 | Diary
病床が限られている大病院のベッドはいつも満床で、

毎日、何人もの患者が入ったり退院したりを繰り返している…

昨日隣に居た人が今日の午後からは、いなくなった。

個室だったら、
もっと優雅に過ごせるのだろうが、

仕事を立て続けにキャンセルした身である。

入院のために支払う医療費や差額ベッド代は必要最低限に抑えたい。


それに、こんな機会は滅多にない…

ヒマでヒマで仕方ない私にとっては、人間ウォッチングの絶好の機会でもある…。

迷わず4人部屋を選んだ。


とはいえ、

新築されたばかりの病院は綺麗で
個々のスペースは広々としていて、
カーテンでうまく仕切られており、

隣の人の顔が見えないように、ベッドの配置も工夫されている。

思いの外、快適だ。

ただし、声だけは筒抜けである…。

その声を聞きながら、アレコレ想像するのが今の私の日課だ。


午後3時過ぎ、

隣のベッドに80代?のオバアサンが入院してきた。

ポータブルトイレがセッティングされているということは、

脚が不自由なのかな?

…と思っていると、


15分ほどして、

「すみません!すみません!」

を、連呼し始めた。

とても、今しがた手術した人とは思えないほど太くて元気な声だ。

ところが、
どんなにオバアサンが呼んでも誰も来ない…

ヘンだなぁ…と思っていると、

通りがかった看護師さんに

「おミズください!」

と頼んでいる。

「◯◯さん!お水は先生の許可が出てからですよ!!」

と看護師は、諭すのだが

「ごはん、たべたい!」と、

今度は、ムチャなことを言い始めた。

「ごはんも今はダメです!
先生の許可が出てからですよ!!」

「でも、たべないと死んじゃうよぉ!」

とダダをこねている…

「食べたら、ものすご〜く痛くなりますよ!ちゃんと先生の許可が出てからにしてくださいね!」

と言って答え、
看護師はその場を離れた。


その後もしばらくは、

「すみません!すみません!」コールが続く…。

別の看護師がやってくると、

「ココは部屋?部屋じゃないよ、部屋にかえりたい!」

と訴えた。

( 看護師さん、大変だなぁ…)

と、思っていると

「治ったら、また施設のお部屋に帰れますからね!」

と、答えて出て行った。


それから、

約一時間、今度はナースコールが鳴りっぱなし…。

オバアサン、どうやらナースコールの仕方を覚えたらしい…(^_^;)

それでも、
看護師さんたちは滅多に来ない…。

(こういう場合は、本当に困るだろうなぁ…)


話の内容から判断すると、来週はじめに退院予定で、
病状は今のところ問題なさそうだ…。

それにしても、
ナースコールが止まらない…

同室の私の左隣には、昨日の午後手術したばかりの患者が寝ているのだ…

彼女は、術後の私と同様に吐気があって、まだ食事もできない状況らしい。

( このコール音、夜中に鳴りっぱなしじゃぁ…彼女も私も眠れないよねぇ…、どうしよう…)

と、心配していると…


主治医らしき人が入ってきて、

オバアサンにハキハキした大きな声で、

「◯◯さん、どうですか⁉︎」

と声をかけた。

「センセ、ミズのみたい!
ごはん、たべたい‼︎」

と、即座にオバアサンは訴えた。

ここまでは、
今までと一緒だが、

先生は、
ハッキリとした声で、
こう答えた。

「水は、あともうちょっと我慢してください。
ごはんは、まだ食べられません!」

そういうと、

「食べないで、ねるの?」

と、やや甘えた声で訊くオバアサン。


「ハイ、寝てください!」

と再度、キッパリ答えた主治医に

「ハイ!」

と即答したオバアサン…


その後、

どうなったかというと、

先ほどの騒ぎがウソのように、

オバアサンはスヤスヤ寝息を立て始めた。


看護師さんたちがアレほど言ってもきかなかったのに、

先生のひと言だけで、
こんなに素直になるなんて…。

スゴイ!!

ʕʘ‿ʘʔ





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