4:40にHalに起こされて
朝の用足し散歩に出ると外はまだ真っ暗…
ポツリポツリと頭の上に雨も落ちている。
「Halちゃん、まだ暗いよ〜」
と懐中電灯で、道を照らしながら歩いていると20m右前方の2階建ての事務所の辺りを何やら白いフワフワしたものが通りすぎた。
(ん?)
と思った時には、もう消えていたが
何だったのかなぁ…
ボーッとして歩いていると、
妙なものをよく見る。
いやいや、見たような気がする事があるというべきか…
早朝は特にそうだ。
( そういえば、ここの2階には亡くなった長男さんが住んでいたとTさんが言っていたなぁ)
現在Tさんは、週に何回か街中の次男さんの家に行っているらしく、留守のことが多いらしい。
どうやら亡くなったご長男は不動産関係の仕事をしていたようで、
以前、事務所の中を外から覗くと、製図用の機械のようなものが、そのままになっていた…
亡くなったのは、いつ頃なのか訊かなかったが、
建物の様子からすると、
そんなに昔ではないようにも思う。
じゃ、さっきのは息子さん?
( まぁ、そう言うこともあるわな…)
と、
私は、納得する。
自分の見たものは幻覚かも知れないと思いつつ、
もし、それがTさんの亡きご長男であったとしても、
ゾッとするとか気持ち悪いとか、
不思議と、そう言う感情はない。
夕暮れ時に近くの墓地公園を散歩する時も
これに近い経験をすることがある。
50m先の道で、帽子を目深に被った男性が歩いているのが見える。
こっちに来るのかなと思うと急にいなくなる…
(林の方に入ったのかしら?)
と思うが、
それにしても素早い。
別の日は、
ご夫婦で仲良さそうに歩く人たちとすれ違うが、
振り向くと、いつの間にか姿が見えなくなってる…
最初のうちは、
私の妄想か、それとも幻覚だろうか?
もし、そうじゃないとしたら…
夫は、
同じものが見えているのだろうか…?
犬のHalはなぜ鳴かないのだろう?
そこで、気づいた。
怖いと思わなければ、
犬だって鳴かないのだ。
私たち夫婦もそうだ…。
あちらから見れば、我々が異界の者だし…。
お互いにうまく棲み分けすれば、
それで良い。
そのうち、私もあっちの世界の人達の仲間になるのだから…。
今日は、
一日中雨らしい。