今日から8月…
この7月は、本当にいろいろな事があった…
2週続けての都内出張、その間に郷里の従妹の葬儀への出席…日々目まぐるしく状況が変わった。
少し気分転換をしないといけない…
昨夕は、いつもより少しお洒落して以前から楽しみにしていたミュージカル鑑賞に出かけた。
滅多にない《自分へのご褒美》のつもりで…
ところが、出足で躓いた。
劇場まで歩いて7、8分のパーキングに車を止めて降りた直後、
いきなりの集中豪雨。
雹が降ってきて傘をさしていても飛ばされそうになるほどの横殴りの雨。
その中をずぶ濡れになりながら会場に到着。
私の前を歩いていたご夫婦も全身が濡れて衣服が体にピタッとへばり付いていた。
劇場入り口付近では開演10分前だというのに、
ドレスアップした女性がボーゼンと立ち尽くしながら、
「どうしましょう、スカートが濡れしまって座席に座れないわ」
と言いながらタフタ生地のドレッシーなスカートを両手で絞っていた。
「私もです」と言いながら、
自身の足元を見ると、白いビジュー付きのパンツがぐっしょりと濡れている…
(白って濡れると透けるんだよな)
と、一瞬心配にはなったが、
自分が思うほど他人は自分を見ていないし、
服が濡れていようが乾いていようが誰も気にしないものだ。
そう思いつつ濡れたままの体でホールに向かった。
パンプスの中に入った雨で歩くたびにグチョグチョと音がした。
座席は思いのほか良い席だったが、
座る前に赤い布で覆われたシートを見て、しばし考えた。
濡れた白いパンツで、ここに座ると、
(この赤い色がパンツに移ってしまうのではなかろうか?)
一瞬座るのを躊躇ったが、
(いやいや、防水加工されているだろうし、それに《芸術劇場》だよ、そんじょそこらのホールとはワケが違うんだから)
とアレコレ考えて、
念のため、
(トップスを引っ張って座れば問題ないか…)
黒の縮緬加工のプルオーバーの裾を思いっきり引っ張って濡れたパンツとシートの間に挟んで座ることにした。
開演は定刻どおり6時。
オープニングから予想通りのダンスシーンが続いて、ステージに目が釘付けになった。
ふんわりと舞い上がる彼らのジャンプを観ながら
(なぜ、あんなに滞空時間が長いのだろう)
と考えた。
そして、1番の聴きどころ
《トゥナイト》では涙が出そうだった。
子供の頃、
父のコレクションだった映画音楽LPレコードが擦り切れるまで聴いた…。
確かあれもブロードウェイミュージカルからの録音だったはず…
《トゥナイト》が終わった直後、
トニーとマリアのデュエットの余韻に浸っている時だった。
いきなり男声の場内アナウンスが流れた。
『技術系トラブルのため舞台を中断致します』
時計をみると、開演から50分経っていた。
左隣の見ず知らずの女性客と、
「こう言うことって、あるんですねぇ」
と顔を見合わせた。
ステージから電気ドリルやハンマーで何かを叩いている音が聞こえた。
「大道具のセットをバラしているような音ですね、セットが動かなくなったとかでしょうかね」
「それにしても寒いですね」
隣の女性も、冷房の効きすぎが気になるらしい。
私の場合は濡れているから余計に寒い…
ついでに
「オーケストラの音が大き過ぎて、歌がかき消されるところ気になりませんでした?」
と訊いてみると、
「オーケストラの音、確かに大き過ぎますね」とのこと…
「張って歌うタイプのボーカルではないので、ちょっと残念ですよね」
「音響のせいでしょうかね?バランス悪いですよね」
やはり、私の耳のせいではなかったらしい。
《トゥナイト》の最後のところ、歌の音量をもう少し大きくてもらいたかったなぁ…
約20分の中断後、再びステージは再開。
「ほぼ休憩時間と同じ長さでしたね」
と言いながら続きを鑑賞。
途中で再び休憩20分を入れ、終了したのは午後9時20分。
休憩後は音響を調整し直したようで、オーケストラと歌とのバランスも丁度よくなっていた。
カーテンコールは撮影OKだとのこと。
後半で、少し意味がわかりづらい箇所があったが、
こう言う演出もあるんだな…と納得。
やっぱりミュージカルは生で観る方がいい。
久々の自分への『ご褒美ミュージカル』は、
初っ端からアクシデント続きだったが、まぁ私の人生…こんなもんだ。
帰宅すると既に10時半。
M嬢が玄関の内側で待っていてくれた。