町田営業所業務日報

地元周辺の鉄道・バス車両について気紛れに綴ります。

東京都心と国際空港を結ぶJR東日本E259系・成田エクスプレス(初代塗装)

2023年08月27日 | JR東日本

1991319日より東京都心部・神奈川県横浜市からの成田空港アクセス列車として新設された特急成田エクスプレスでは長らく同列車専用に開発された253系電車が充当され、順調に利用者が増加していました。一方で目的地の成田空港では2005年よりB滑走路延伸で大型旅客機の離着陸回数増加を目論み工事に着手、2010年度完成との方針を打ち出し更なる空港利用者の増加が見込まれることとなります。これを受け、古くから東京都心〜成田空港アクセスを担い成田エクスプレスとは競合関係にある京成電鉄の特急スカイライナーには新型車導入の構想が持ち上がり、加えて北総鉄道を経由し空港に乗り入れる新線(京成成田スカイアクセス線)2010年開通に向けて動き出しました。これらの動きからJR東日本も253系に代わる新型車両の導入を決定し2009101日より2代目となるE259系の運転を開始しました。

都心に向けて総武本線の複々線区間を快走するE259系。JR東日本の特急型電車ではお馴染みのアルミ合金製車体ですが、溶接箇所を削減するなど更なる改良が施されています。東京駅で横浜方面と副都心の新宿方面からの列車を分割併合する運用に対応する為、先頭車は貫通扉と自動幌装置を備えており、先代の253系では連結しても通り抜けできない構造でしたが本系列では通路が構成され編成間の通り抜けを可能にしています。運転を開始した2009年には財団法人産業デザイン振興会よりグッドデザイン賞が、翌年には鉄道友の会よりブルーリボン賞、2011年にはブルネル賞(鉄道唯一の国際デザインコンペティション)をそれぞれ受賞しました。

空港アクセス用に登場したE259系ですが、臨時列車への起用もされるようになり201212月の週末から202038日まで空港輸送とは関連しない東京〜伊豆急下田間の臨時特急マリンエクスプレス踊り子号での運用の他、2014726日から土休日に限り定期成田エクスプレスを延長する形で富士急行線河口湖まで運転したこともあり、こちらは20193月ダイヤ改正時の「富士回遊」新設に伴い終了しました。この為、臨時ではありますが伊豆急行線・富士急行線の2社の私鉄路線に乗り入れた実績があります。またユニークな点では新型コロナウイルス流行に伴うテレワーク増加で、両国駅3番線ホームに本系列を留置し車内テレワークの実証実験にも用いられました。

普通車車内設備。海外からの観光客も多く利用するため、情報案内の充実を図るべく17インチ液晶画面による車内案内表示器を天井にも設置しました。この為に天井高さは床面から2305mmを確保しており、開放感のある室内空間となっています。

グリーン車車内。座席を本革製とし、跳ね上げ式フットレストを設けて普通車と差別化を図っています。先代253系ではコンパートメントが設置されていましたが、E259系では解放型客室とされました。

長らく空港アクセスに特化していた成田エクスプレスですが、2022312日より日中時間帯も千葉に停車するようになり、また2023324日にはE259系の塗装デザイン変更が発表され、新塗装のコンセプトに空港アクセスに限らない多様な都市間輸送特急との記述があり、今後は成田エクスプレス以外の列車の充当を示唆する動きを見せています。今後の他路線への進出に期待ですね。

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横須賀線・総武線系統の新しい主力・JR東日本E235系1000番台

2023年08月09日 | JR東日本

横須賀線・総武線快速には長年主力だった113系の置き換え用に近郊型に区分される車両では初となる4ドア車のE217系が1994年から導入され、1999年までに置き換えを完了させました。その後は東海道線への一時的な転出や機器更新改造などはありつつも全車両健在で安定した活躍を続けていましたが2018914日、JR東日本の定例会見にてE2351000番台をE217系置き換え用に導入することを発表、20201221日より営業運転を開始しています。山手線用0番台の登場から約5年目のことですが、E235系初の中距離輸送対応型になりました。

E217系同様に久里浜寄りから付属編成4両+基本編成11両で構成されるE2351000番台。帯色は横須賀色のクリーム1号と青20号の2色が継承されています。山手線とは違いホームドア未整備駅が多い郊外路線を走行する為、路線カラー帯はドア部に施すのではなく従来通り横方向に通されるようになりました。一世代前のE233系では帯がドア部も貫いていましたが、本系列では省略されE231系以前に戻ったような印象を受けます。

本番台では車両側の機器を始め、線路と架線の地上設備の状態を監視するモニタリング装置を搭載しており、走行中に記録したデータを常に地上システムへ送信しています。また、停電時にも最寄駅まで運転を継続出来るように非常用電源装置をJR東日本では初採用しました。この為、2号車と6号車のみ空気タンクが屋根上に設置されています。

基本編成と付属編成の連結部分。先頭車形状が完全な平面になっているためか従来のE231233系よりも更に連結間隔が狭くなっている印象です。将来的には同じ線路を走行する東海道線の同系列に合わせて連結位置の変更も視野に入れているようですが着手は置き換え完了後になるでしょうから、もうしばらく掛かりそうですね。

車内設備はE217系ではセミクロスシート車が存在しましたがE235系では普通車は全車両ロングシートとされました。座席の袖仕切りも形状が変更され、乗客からの要望により透明化された部分が廃止されています。また、縦長の吊り手も本番台からは他社でも見られる通常の形状に戻りました。2022年度の増備車(F-14編成)からはコストダウンと思われる仕様変更が発生し、妻面貫通扉やドア両脇の化粧板省略(ステンレス仕上げ)や荷物棚のパイプ式化、半自動ドアボタン形状変更やロールバー削減など初期車に比べて退化したかのような仕上がりになっており、今後はこちらが主流になるようです。

グリーン車車内(2階席で撮影)E235系列初となる2階建グリーン車ですが、E231233系列では1階席と2階席では座席モケットの色を変えていましたが、本系列では12階と平屋部も全て同じカラースキームで統一されています。普通列車ながら電源コンセントを各席に備えており、サービスレベルは大幅に向上しました。

ドア上の車内案内表示は0番台に続き日立製作所製で他形式・他社でも主流の17インチではなく、21インチ画面と大型のものを設置しており、表示可能な情報量は格段に向上しています。観光客の利用も多く、空港アクセス路線としても機能する横須賀線・総武線系統の路線には相応しい設備ですね。

今後もE217系置き換えの為に順次増備が続きますが、この横須賀線・総武線快速用以外に計画されていた京浜東北線を始め、東海道線(上野東京ライン・湘南新宿ライン)仕様の導入は中止になってしまった為、次にE235系列が導入されるのはどこになるのか、今後に色々期待が膨らみます。

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短編成でフレキシブルに活躍する房総半島アクセス特急・JR東日本E257系500番台

2023年08月07日 | JR東日本

中央本線、房総半島各線への特急列車には国鉄時代から引き継いだ183189系が主力として使用されていましたが、2000年代が近付くと老朽化も目立つようになって来た為、置き換えが計画され快適性の向上に主眼を置いた特急型電車としてE257系列が開発されました。当初は2001年より中央本線「あずさ・かいじ」用に0番台車が導入されましたが、房総半島各線の特急「さざなみ・わかしお・しおさい(あやめにも2015年まで充当)」で運用するべく普通車のみで構成される500番台が登場しました。5両編成と首都圏で運用の特急電車にしては短編成ですが、列車や時期により2編成併結の10両編成になる運用も設定され需要に応じ柔軟な対応を可能にしています。

身軽な5両編成単独で海沿いの京葉線の高架線を快走するNB-03編成。車体のカラーは白で夏のビーチ、青で深い太平洋、黄色で陽光と菜の花をイメージしており側面扉横にはbosobと幕張新都心の建造物をモチーフにしたロゴが入っています。

基本番台では非貫通先頭車が存在しましたが、500番台では両先頭車共に常用貫通路と自動分併装置を備えて2編成併結に備えています。20041016日から運用を開始し、約1年後の20051210日には房総半島方面の特急用183189系を全編成置き換えました。

10両編成で総武本線の複々線区間を行くNB-2編成他の10(後部5両車番不明)。登場から10年余りは安定して活躍していましたが、転機が訪れたのは2015314日ダイヤ改正による特急の削減で、NB-10NB123編成が所属は幕張車両センターのまま豊田車両センター常駐とされ、富士急行線直通列車に充当されることになりました。2019年にはホームライナー廃止で更に2編成が余剰となり、4編成(NB-06071314)が修善寺行き踊り子向けの2500番台に、豊田車両センター常駐分+2編成(NB0812)が波動輸送用の5500番台に改造され、特に5500番台は高崎線系統の「あかぎ」「草津・四万」で定期運用を開始しています。

車内設備は2人掛けリクライニングシートが並ぶオーソドックスな仕様で座席モケットは海をイメージしたと思われる青色系です。快速列車などに充当の際には枕カバーを取り外して運用します。

登場から19年目に入るE257500番台ですが、あまり経年も感じさせずフレキシブルな運用に対応可能なことから今後も相当長く活躍しそうですね。

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他社線乗り入れを活発に行うJR東日本・E233系7000番台(埼京線・川越線)

2023年07月17日 | JR東日本

1989年より長きに渡り埼京線の主力車両はドア窓を拡大した東日本オリジナルの205系でしたが、同系列を置き換えるべく2013年6月13日よりE233系7000番台が導入され運用を開始しました。基本的には他路線の車両の仕様を踏襲する部分が多いですが、車内照明に本格的なLEDを採用し、ドア上部の液晶画面のデザインを変更して唯一アニメーション表示を行うなど、更に設備は改良されており、JRの新型通勤電車の中では最も完成されたスタイルと言っても過言では無いでしょう。登場時より東京臨海高速鉄道りんかい線と相互直通運転を行っていますが、2019年11月30日からは相鉄線が直通先に加わり、運用範囲が更に拡大されています。

りんかい線〜埼京線直通列車に充当されるハエ125編成。直通列車の他にもJR車両による線内折返し列車が多数設定されています。更に、りんかい線70-000形車両による埼京線新宿~大宮間の運用も組まれている為、圧倒的にE233系の方が見る機会が多くなっています。

相鉄本線内を走行するハエ119編成。20191130日の相鉄新横浜線西谷〜羽沢横浜国大間開通により、新たに7000番台が直通列車に充当されることになりましたが、これにより地下鉄を介さずに第三セクター鉄道と大手私鉄の両方に直通を行うJRの通勤電車としては珍しい存在になりました。相鉄線内では写真の各停の他、特急になる列車も設定されている点も面白いところです。

車内設備。LED照明のせいか、従来よりも白い光が強くなった印象を受けます。座席はE231系500番台に類似の緑系モケットですが、中身は当然改良されており、占有幅が広がったことも併せて座り心地は大幅に改善されました。

ドア上の液晶画面。京浜東北線向けの1000番台から横方向に拡大された17インチワイド液晶画面は忽ち主流になり、在京私鉄各社でも採用されるようになりましたが、当然7000番台も搭載になりました。表示内容はデザインが変更されており、前述の通りE233系では唯一三菱電機セサミクロを採用している為、アニメーションによる表示を可能にしました。相鉄線・りんかい線内では表示デザインが直通先の車両と同等のデザインになるのも面白い点です。

※2018年8月24日の記事を修正

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21世紀の新世代湘南電車・JR東日本E233系3000番台

2023年04月17日 | JR東日本

東海道本線東京口で長らく運用されていた113系置き換えの為、2004年より国府津車両センターへのE2311000番台の配置が開始されますが、20063月のダイヤ改正を控え運用見直しで余裕が生じていた鎌倉車両センターの横須賀線・総武線快速用E217系の転用も併せて行うこととなり初期製造の付属編成4両+基本編成11両の3本ずつが10両+5両への組み換え工事を実施し国府津車両センターへ転入しました。しかし2008年にはE217系のVVVFインバーター制御装置更新に伴う予備車確保の為に15両が鎌倉総合車両センターへ復帰することになり、その穴埋めとしてE233系の近郊型となる3000番台(E01編成+E51編成)が初登場し同年310日より運用を開始しました。更に2010年にも横須賀線・湘南新宿ラインの武蔵小杉駅開業に伴う運用増加でE217系の鎌倉総合車両センター再転出の為E02E02編成が増備されています。この時点では東京〜熱海間の限定運用に留まりますが、2011年からは211系置き換え用として当時の田町車両センターにNT編成として(20133月で同所は廃止され全編成が国府津に転出、編成番号も基本編成はE03-E16、付属編成はE53-E66に改称)配置され、20082010年の製造車と比較し6号車にも洋式トイレを増設するなど仕様が見直されています。2012年からは高崎車両センターへの配置(基本編成L10-L17+付属編成D01-D016)も開始され、2014年には宇都宮線(上野〜宇都宮間)・高崎線の211系を完全に置き換えました。こちらは2015年の上野東京ライン運転開始と共に小山車両センターに転出し基本編成がU618-U633、付属編成がU218-232編成に改められています。

身軽な基本編成単独で東海道本線を下る小山車両センター配置のU621編成(L05編成)。登場からしばらくはE2311000番台と運用が分かれていましたが、2015年の上野東京ライン運転開始に伴い車両運用も大幅に見直され、両形式が共通運用になり相互に併結運転も見られるようになりました。2015年で一時増備終了になるかと思われましたが、2017年にも付属5両のE73E74編成が1本ずつ増備されています。国府津・小山の両車ともE2311000番台と共に、東海道本線(東京〜沼津間)・横須賀線・(大船〜逗子間)・伊東線・宇都宮線(東北本線東京〜宇都宮間)・高崎線・上越線(高崎〜新前橋間)・両毛線(新前橋〜前橋間)と、首都圏の広範囲で運用されています。

付属編成U229編成を先頭にした15(D13編成)6号車へのトイレ増設以外にも改良が施されており、VVVFインバーター制御装置が初期のE01-E02E51-52は日立製作所のSC90が採用されましたが、2011年以降からは互換性を保ちながら更に小型軽量化を図ったSC98(磁励音は同一)を搭載するようになりました。

E233系+E231系の併結部分。両系列共にシステムが異なっていますが、E233系側に併結時にインターフェースを図る読み替え機能が搭載されています。写真は小山所属車同士の連結ですが、国府津車+小山車、またこの逆の組み合わせも日常的に見られます。

ロングシート仕様の車内。基本的には通勤型と同様ですが、写真は2011年以降に登場したモハE232-3800(6号車)である為、車端部に一般型洋式トイレ設備(車椅子非対応型)と反対側は枕木方向の2人掛け座席を配置しています。また、このトイレ下部には汚物処理装置を搭載した為に補助電源装置(SIV)のスペースが確保できず、モハの連結位置も変更されています。

セミクロスシート仕様の車内。基本編成の両端2両ずつ(12910号車)と付属編成の宇都宮・高崎寄り2(1415号車)がこの仕様です。車内案内表示器はE231系に合わせて液晶画面は採用されず、2段式LED表示器が設置されました。

グリーン車の2階席。E233系列では初となるダブルデッカー型グリーン車ですが、トイレや洗面所、業務用室の位置、普通車とは異なり単層ガラス・ステンレス仕上げのドアなど基本的な車内設備はE231系サロに準じた仕様になりました。

赤系モケットの1階席。こちらもE231系サロとあまり区別できる点はありませんが、東海道本線内での列車でグリーンアテンダントへの暴行事件が発生したことから側面ドア、乗務員室、業務用室付近に監視カメラが新設されています。

現在はE231系の機器更新が進行している状況なので、両系列が共存する状態がしばらく続くかと思いますが、小山車両センターに導入された初期車は既に23年目に入り置き換えも視野に入って来る年代になりました。E233系も初期の編成から機器更新時期に入ろうとしています。もしもE231系初期小山車置き換えが計画されたら、何らかの動き(新型車導入により短編成化での地方転出など)が発生するのか、今後が色々気になる形式です。

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