町田営業所業務日報

地元周辺の鉄道・バス車両について気紛れに綴ります。

ベイエリアから世界遺産への観光列車へ転身、205系600番台"いろは"

2022年01月24日 | JR東日本

20133月より日光線・宇都宮線(小金井〜黒磯間)で運用を開始した205600番台は、201841日〜630日まで開催の栃木ディスティネーションキャンペーンに合わせて、Y3編成4両が観光列車「いろは」に改造されることになりました。列車名のいろはは、日光市街地と中禅寺湖・奥日光方面を結ぶ観光道路いろは坂と、"物事のいろは"を掛け合わせた事が由来で、日光の魅力を感じて貰いたいとの願いを込めています。

車体は種車の4扉の内2箇所を埋め、2扉化する大工事を受けました。カラーリングは公式によると日光線のレトロなイメージに、日光の自然と観光地(ニッコウキスゲ・華厳滝・男体山・中禅寺湖)、また日光東照宮で見られる彫刻の生物(龍・鳳凰・唐獅子)のイラストを配し、和の色使いで海外からの観光客を意識した装いとしています。本来通勤型である形式が観光列車に転用されるのは、かつて青梅線で運用されていた201系四季彩からの流れですね。

日光線定期列車の他、観光シーズンは臨時快速などで運用されて来ましたが、他の編成と同様に20223月のダイヤ改正でワンマン対応E131系に置き換えられる事になってしまいました。写真は何方も定番撮影地の今市〜日光間の直線区間ですが、最近になって枕木が並べられ目立つようになってしまいましたね・・・。

車内設備は2扉化され、座席はキスゲの花のイラストを配したモケットでドア付近と車端部はロングシート、それ以外は2列+1列の大型ボックスシートと荷物置き場を設置し205系とは思えない変貌を遂げました。配色を木目調に一新したことに合わせ、吊り手も木製に交換されています。インターネット上の日光市の観光情報を閲覧し易くする為、Free Wi-Fiも完備しています。

ドア上にはJR東日本の改造車では珍しく、液晶式の車内案内表示器も新設されました。2000年代以降は改造工事や更新を多数受けている205系ですが、この「いろは」がもっとも充実した設備になったと言えるでしょう。

前述の通り、E131系導入によりワンマン化を実施する為置き換えが決定した「いろは」ですが、僅か4年余りの活躍になりました。観光列車という特性から運用終了後は廃車になると思いますが、どこかの私鉄で再起する可能性にも僅かながら期待してしまいます。

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宇都宮線で活躍中の205系600番台(元京葉・川越車)

2022年01月01日 | JR東日本

新年明けましておめでとうございます。更新が滞りがちな当ブログですが、今年もまたお付き合いの程よろしくお願い申し上げます。新年一発目の記事は俄かに注目が集まっている北関東の205系です。

宇都宮線(東北本線)の内、栃木県内の宇都宮~黒磯間の普通列車は211系1000・3000番台を中心に運用されて来ましたが2013年8月より京葉線・埼京線から捻出の205系に置き換えられています。2017年10月14日の黒磯駅構内の直流化工事と同駅から新白河までの区間で新たに交流・直流両用のE531系3000番台が運用を開始することに伴い、205系の動向も注目されましたが改正後も変化はなく新白河方面は黒磯駅で乗り換える形態は継続されることになり、置き換え計画が明らかになっていませんでした。しかし2021年6月17日のニュースリリースで日光線・宇都宮線仕様のE131系導入が発表され、2022年3月のダイヤ改正より運用を開始することが予告され、205系600番台は一斉に置き換えられることになりました。

メルヘン顔のあだ名を付けられている元・京葉線(京葉車両センター)所属車。2編成の併結運用に備えて自動分併装置を増設し、また寒冷地の閑散路線で運用になる事から、側扉に半自動機能とドアチャイム取り付けと下り方先頭車に車椅子対応大型トイレの新設を施行されました。211系時代と比べると1両減車ですが、旅客需要が少なくなる区間で、収容力の大きい4扉ロングシート車ということから特に問題はないようですね。

本来湘南色の帯の編成は宇都宮線運用が中心ですが、検査などで日光線色の編成が使用できない場合に日光線で代走を務めることもあります。最近は特に区別されなくなったのか、写真とは逆に日光線色の編成が宇都宮線で運用される機会も増えました。行先表示は一番上の写真の宇都宮線内では緑地に白文字の幕を表示していますが、日光線代走時は上り列車・下り列車共に湘南色編成も先代の107系が末期から使用していた独特の筆字体の方向幕を表示しています。

本来の予定では、600番台化される編成は京葉車のみでしたが10両全車が廃車〜解体される編成が発生したため、その穴埋めで埼京線・川越線の205系も転用されることになり、このためY11・Y12編成は原型スタイルの正面で2種類の編成が見られるようになりました。埼京線時代に行先表示を3色LED化している為、行先と路線名を交互に表示します。

車内設備はドアチャイムのスピーカーと半自動ドアボタンが目立つ以外、大きな変化はありません。運用開始当初は転入前に座席モケットを更新していた為、川越車と京葉車で座席の色が異なっていました(川越車は緑のモザイク模様に黄色の人数区分入り、京葉車は青系)。2014年ごろから、全編成が写真のような赤系モケットに交換されています。

電化以降は独特な正面スタイルを持ち30年に渡り活躍して来た相模線の500番台も小山車両センター所属車と同様2022年3月までの置き換え完了が発表され、500・600番台の両車が全廃されると新製時から先頭車だった編成(鶴見線・南武支線は全編成が中間車からの改造車)が東日本管内からは消滅する事になります。残り僅かとなった活躍を最後まで見届けたいですね。

※2017年の記事を修正

 

 

 

 

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高崎地区普通列車で運用される湘南色の211系3000番台

2021年12月22日 | JR東日本

群馬県に広がる高崎支社管内の上越線(高崎〜水上)・信越本線(高崎〜横川)・吾妻線・両毛線では、長らく国鉄時代から115系電車を主力として運用して来ました。しかし上野東京ライン開通を控えて2011年度より東海道本線・東北本線(宇都宮線)・高崎線の各線で運用されていた211系をE2333000番台で置き換えが決定し、このうち東北・高崎線で運用されていた寒冷地向けの1000・3000番台は115系置き換え用として長野支社・高崎支社管内の普通列車向けに転用改造される事になり、高崎支社では20168月より先述の各線で運用を開始しています。

冬季の霜取りの為、パンタグラフを2基上昇させている4両のA編成(A3134A3637編成が該当)。寒冷地向けの10003000番台は5両編成を基本とし、将来の地方線区転用に伴う編成短縮を見越してクモハ211が設定されました。A編成は5両編成からサハ2111両減車した格好です。転用に際しては先頭車のスカートがスノースロウ一体型の強化型に交換され、また他編成と連結することも無くなる為に貫通幌も撤去されました。

32本を連結したC編成。200410月のダイヤ改正より東北・高崎線へのグリーン車導入並びに東海道本線の全列車2階建てグリーン車化を進めることになり、E2311000番台で置き換えられていた113系のグリーン車(サロ124)が東海道本線用の211系に編入され、代わりに捻出された平屋のサロ2102階建てのサロ2123000番台車に連結されることになり、組み込みに当たっては5両編成2本を連結した状態で上野寄りのサハ211を抜き、先頭車同士がグリーン車を挟み幌で繋げられる特徴的な組み合わせで運用されていました。この10両から付随車のサハ・サロを抜いて組成された形態で、見た目は分割可能に見えますが6両固定編成として扱われており、中間に入る先頭車の運転台には構内でのみ使用可能な旨の注意書きを掲出している他、スカート交換も見送られています。

長らく正面の表示は2004年まで存在した湘南新宿ラインの運用時の他、非常に稀に上野発着列車で「東北線」「高崎線」を出すことはあったものの基本的には種別(普通・快速)のみでしたが、2021年12月より常時路線名を表示するようになりました。行先が多岐に渡る為、誤乗防止の一環と思われます。

東北・高崎線の通勤需要に対応するためロングシート仕様とされた3000番台車内設備。登場から長らく座席は蘇芳色のモケットでしたが、2008年頃から青緑系の新品に更新され、袖仕切り部には風防を設置し半自動ドアボタンも交換されるようになりました。

2020年度の高崎支社の労組資料ではE233系の転用改造を2024年度以降より実施し導入する旨の記載があり、置き換えが決定的になりました。高崎支社と言えばSLや旧型客車による臨時列車が度々運転され多くの注目が集まりますが、今や数少なくなった伝統的な湘南色の帯で活躍する211系も記録しておきたいですね。

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南武支線で活躍するワンマン対応205系1000番台

2021年11月15日 | JR東日本

川崎と立川を結ぶ南武線は、尻手から分岐し浜川崎までに至る4.1キロの支線(浜川崎支線、通称南武支線)を有し、本線区間とは独立する形で終日に渡り2両編成の列車が運転されており民営化から1年が過ぎた1988年3月よりワンマン化を実施しています。南武線の本線区間の205系は2017年にE233系への置き換えが完了していますが、支線では中間車に運転台を設置し先頭車化改造を施した2051000番台が運用されており、新系列電車への置き換えが急速に進んだ今日の首都圏では数少ない205系の定期運用線区となりました。

2002年に導入されたワ1編成。元は中央総武緩行線の所属車で、武蔵野線へ転属する際に10両から8両へ短縮した為余剰になったモハユニットですが、国鉄時代の1980年より長らく運用されて来た101系置き換えに充当されることになりクモハ205+クモハ204205系では最小単位の2両編成が誕生しました。現在は写真のワ1編成の他、ワ2と元山手線の小窓ドアを備えるワ4(3編成は欠番)の3編成体制になっています。

鶴見線営業所公開時に展示されたワ1編成。行先は定期運用ではあり得ない武蔵白石行きです。当初の計画では、運用数に余裕がある南武支線用1000番台にクハ1両を必要に応じて増結し鶴見線でも運用する計画があったようです。結局は別々に車両を配置することになりますが、実現していたら面白い編成が見れたでしょうね。

1000番台の車内(クモハ204で撮影)。当初は他路線と同じく緑色の座席でしたが、2016年の小田栄駅開業時に外装の帯に五線譜と音符のイラストと「NAMBU LINE」のロゴを追加の上、座席モケットを更新し吊り手も黒色の新品に交換されました。最近は更に自動放送に英語の文章が追加され、さながらE205系といった様相です。

南武支線といえば1988年からワンマン車であることを示す独特な塗装の101系が運用されていましたが、それ以前も戦前形17メートル級車体の旧型国電が1980年まで定期運用されるなど、特に古参の車両が走る路線として有名でした。現在は後継車の計画が具体化していないので、205系1000番台も最後の国電世代の車両として残存しそうですね。

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京浜工業地帯の通勤輸送に活躍する鶴見線205系1100番台

2021年11月07日 | JR東日本

現在も纏まった数の205系が活躍する相模線、日光線、東北本線(宇都宮〜黒磯間)の各線では、新形式E131系の導入で順次置き換えを進めることになりましたが京浜工業地帯への通勤路線として、また多彩な貨物列車が走行し独特の雰囲気を漂わせていることからマニアや観光客に人気の高い鶴見線と南武支線では依然として全列車が205系で運転されています。

鶴見線に205系が初めて登場したのは2004年のことであり、それまで運用されて来た103系置き換えの為、山手線に配置されていたモハ205+モハ2046扉車との差し替えで捻出されたサハ205を組み合わせ、先頭車化改造を施し新たに登場したクモハ204・クハ2051100番台の車番を付与しました。行先表示は3LEDで、行先毎に色分けされており写真の海芝浦行きは黄緑で表示します。(武蔵白石・扇町方面は赤、大川方面と鶴見行きは橙で表示)

久しぶりに一般公開された鶴見線営業所内で。前述の通りクモハ204+モハ205は元山手線向けの初期車、クハ205は元埼京線の後期車である為、ドア窓の寸法が異なっていることが特徴です。この組み合わせで3両編成9本(27両)が登場し、中原電車区(現在の鎌倉総合車両センター中原支所)に配置され、普段は弁天橋駅近くの鶴見線営業所に常駐しています。

高架の鶴見駅ホームに並ぶ2編成。JRの路線でありながら立派な2面2線の行き止まり式ホームを持ち、地上の京浜東北線からの連絡通路には中間改札も備えているのは前身となった鶴見臨港鉄道時代の名残りか。

黄色い警戒色テープが貼り付けられた以外は山手線時代の面影を色濃く残す車内。中間のモハ205は転用に際して大きな改造はされておらず、車番も基本番台のままとなっています。首都圏では小窓を備えた205系もすっかり貴重な存在になりましたね。

現在JR東日本では、FV-E991系と称するハイブリッド(燃料電池)試験車両を開発し、実用化に向けた実証実験を行う旨が発表され、対象の路線が南武線(武蔵中原〜尻手〜浜川崎)と鶴見線である為、これらを205系置き換え用にすることが予想されましたが、実用化までは大分時間が掛かるようで、首都圏最後の205系は鶴見線・南武支線になりそうです。

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