町田営業所業務日報

地元周辺の鉄道・バス車両について気紛れに綴ります。

1都3県を結び活躍するJR東日本E233系2000番台

2021年10月20日 | JR東日本

JR東日本の標準車両として開発されたE233系の内、2000番台は地下鉄直通対応とされ、東京メトロ千代田線と相互直通運転を行っている常磐線各駅停車向けに導入され200991日より運転を開始しました。本番台の車体は、東京メトロの車両限界に合わせて設計されている為、車体幅を2770ミリの台形断面とし客用ドア間隔を私鉄で採用例が多い4820ミリ(他番台は4940ミリ)としているのが最大の特徴で、正面に非常用貫通扉を備え、シールドビームによる前照灯を窓下に設置するのも唯一の仕様です。

トップナンバーのマト1編成。当初の定期運用は代々木上原〜取手間でしたが、20132015年に掛けて小田急電鉄との相互直通運転に伴う保安装置の新設工事が行われ、2016326日のダイヤ改正より乗り入れを開始し当初は唐木田発着の多摩線直通急行を主体に、現在は廃止された多摩急行でも運用されました。現在は更にワンマン運転対応改造が始まっています。

2018318日のダイヤ改正では、小田急小田原線の複々線区間工事完成に伴い種別が大幅に見直され、東京メトロ車・JR車による唐木田発着列車と多摩急行廃止、日中の千代田線直通列車は向ヶ丘遊園・成城学園前発着の準急中心への立て替えが行われ大幅に輸送体系が変化しました。準急は複々線の内、外側の緩行線を走行する形態に改められため日中に急行線を走行する千代田線からの列車は土日祝日限定になってしまっています。平日の帰宅時間帯は小田原線の伊勢原まで足を伸ばす運用も新設されており、東京メトロを介した直通列車の中でも長距離の運用を持つことになりました。

東急5000系グループを思わせる台形断面が分かる車内。座席の生地はE231系グループで採用している青系の配色です。車椅子スペースも他番台とは異なり、千代田線車両に合わせて2・9号車に設置されました。

車内の液晶画面は先に登場していた京浜東北線向け1000番台と同じく17インチ画面ですが、登場からしばらくは1画面で、小田急対応改造と同じくして左側の動画広告用画面(トレインチャンネル)を増設しています。現在は更に監視カメラ(向かって右の黒い部分)が設置されるようになりました。

表示内容は小田急線内の準急ですが、JR各社からは消滅して久しい急行・準急の表示を出すのは趣味的になかなか興味深いですね。

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最後の活躍に入った第一世代の新系列電車・JR東日本E217系

2021年06月19日 | JR東日本

1994年、113系グループ置き換え用の新系列近郊型電車として登場以来、長らく横須賀線〜総武線快速の主力車両だったE217系は2020年よりE2351000番台の導入で置き換えられる事になっており、同系は既に20214月現在では基本編成119本・付属編成410本が新製配置されました。引き換えに運用離脱〜廃車となる編成が続出し、離脱した編成は長野総合車両センター、東京総合車両センターで順次解体されています。京浜東北線に導入されていた209系をベースにした平成生まれの新系列電車第一世代ですが、209系の時のように他線への転用改造はなく全編成が廃車になる見込みです。

総武本線の複々線区間を走行するE217系。本形式が登場するまでは、首都圏でも通勤型は4扉車、近郊型は3扉と明確に分かれていました。しかし、混雑が激しい首都圏に於いての運用状況を踏まえて2950ミリの幅広車体に4扉と、通勤型に近いスタイルで登場します。ここで後のE231系とそれ以降に続く一般形電車の仕様の基礎が出来上がり、また中距離路線では初となる4ドア車15両運転を実施することになりました。手前から付属編成4両+グリーン車組み込み基本編成11両の組み合わせは逗子駅の留置線の関係によるものです。

内房線快速で君津までロングランするE217系。横須賀線〜総武線快速での運用が中心ですが、総武本線千葉〜成東間や成田線香取・成田空港方面、内房線君津と外房線上総一ノ宮まで広範囲に足を伸ばします。かつては2001年〜2004年まで湘南新宿ラインの新宿〜横須賀線系統の列車の他、2006年〜2015年には帯を湘南色に改め編成を10両+5両に組み替えた上で東海道本線東京〜熱海間で運用された事もありました。2007〜2012年に掛けて機器更新が実施され、GTOサイリスタによるVVVF制御装置SC41BからIGBT素子のSC89型に換装し磁励音が変わった他、補助電源装置と保安装置、戸閉装置も交換され外装は横須賀色の帯から青色を明るくし正面のロゴマークも変更した為、外観の印象も変化を見せました。強化型スカートへの換装は2009年より機器更新に関係無く施工しています。

ボリューム感のあるフロントマスクが顔を突き合わせる基本編成と付属編成の連結部。正面の貫通扉は錦糸町〜品川間の地下区間の為に設置されましたが、法令改正で設置基準が緩和され後期車からは非貫通化され筋彫りだけが残されています。また、高運転台・衝撃吸収構造の乗務員室周りは新系列電車の標準設計になりました。

編成内で主体となるロングシート仕様の車内。通勤型と近郊型との境界が曖昧になり、次期新系列のE231系からは一般型電車という区分になりました。側面窓は3分割で真ん中が開閉式の構造ですが、後期に製造された基本編成は2分割になり中央部を固定式としています。ドアチャイムとLED表示器はベースになった209系から踏襲しました。

JR東日本では初の登場となる4扉セミクロスシート仕様の車内。観光輸送を想定して設けられた設備ですが、設計に当たり相鉄8000系・9000系のレイアウトを参考にしたのは有名ですね。

回転式リクライニングシートが並ぶグリーン車車内(2階席)。当初はグレー系のモケットでしたが、E231系のグリーン車と同じモケットに交換され、1階と2階で色が違っています。

赤系モケットが並ぶ1階席。座席は全て壁面側から支える片持ち式です。2006年より全座席の荷物棚にはグリーン車Suicaシステムに対応する為、読み取り部も新設されました。 

首都圏に於ける4扉化が推進される中で登場した第一世代のE217系ですが、後のE231系に続く一般型電車の基本構造を確立した他、ダブルデッカー型グリーン車はJR四国5000系マリンライナーのパノラマグリーン車のベースになるなど、他社にも影響を与え、やや地味ながらも大変画期的な車両でした。

一時期、205系を始めとした日本製車両が活躍するインドネシア・ジャカルタへの譲渡計画が持ち上がったものの、残念ながら予算の都合やグリーン車の車両限界で立ち消えになってしまい、今後は全車廃車になって行くものと思いますが、現在の千葉支社管内にはこのE217系の他、209(2100番台・500番台)E231(0500番台)E233(5000番台)E235(1000番台)E131系と、第一世代から最新世代の新系列電車が共存しています。最後の活躍を見せるE217系の記録と共に、新系列電車の進化の過程を乗車・撮影を通して体感するのも一興ではないでしょうか。

 

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神出鬼没の多目的試験電車・209系MUE-trainを追う

2021年06月05日 | JR東日本

京浜東北線から撤退した209系は後期車を中心にしたグループが千葉支社管内向けに転用されましたが、最初期に製造されたウラ2編成は在来線車両の技術開発を行う試験電車に改造されました。この編成は多目的試験車を意味するMUltipurpose Experimental Trainを略したMUE-Trainの愛称を与えられ、2008年に川越車両センターに配置、以降は首都圏近郊路線で試運転を実施しています。先月は東北本線大宮〜小金井間で試運転を立て続けに実施している姿が目撃された為、生憎の空模様ですが情報を頼りに撮影して来ました。

試験走行を終えて川越車両センターに戻るMUE-train。本来は7両編成でしたが、台車の性能向上試験を目的とした4号車は2010年で廃車され、その後は現在まで6両編成で試運転を継続しています。外観デザインは明るい未来、希望を表現した白で、ブロックパターンは凡ゆる分野の輝く技術が結集して新しい鉄道システムを構築するイメージを具現化した斬新な意匠になりました。

「車両の性能向上に関する開発」「次世代車両制御システムの開発」「営業用車両を用いた地上設備の状態監視用機器の開発」を行うとされ、E235系が搭載する次世代車両制御システム"INTEROS"も本編成で実用試験を行って来ました。試験終了後は動向が注目されましたが、現在でも何らかの実証実験の為、試運転は継続されています。

MUE-trainは試験電車という事もあり、何度か主制御装置を始めとした機器の換装を実施していますが、一番気になるVVVFインバーター制御装置は編成内のユニットでそれぞれ異なり、モヤ209208-3には三菱電機製を搭載しています。

モヤ209208-4には日立製作所製VVVFを搭載。同社製の制御装置を既に採用しているE2333000番台などとは磁励音が僅かに異なるので半導体素子が違うのかも知れません。

次世代車両の開発に向けて使用される多目的試験車への転用ということで、登場時は話題になったMUE-Trainですが、既に運用開始から13年、旅客車時代から数えると29年の歳月が経過し試験車としては異例の長命になり現役の209系としても数少ない川崎重工業で製造された編成で最古参になりました。現在はATCからATACSへと保安装置が更新された埼京線池袋〜大宮間には入線不可能となった他、車体も経年なよる傷みが目立つ事などから試運転終了も近付いている事を伺わせ、今後に注視したい車両です。

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房総半島の主力車・209系2100(2000)番台

2021年05月04日 | JR東日本

新系列電車の始祖である209系は発祥路線である京浜東北線へのE2331000番台導入により2007年から置き換えが開始され、運用終了後は順次廃車される予定でしたが、老朽化が進行していた房総半島各線の113系置き換えに充当される事になり、電気式戸閉装置を搭載する後期車を中心に324両が4両編成42本、6両編成26本に組成され2009年〜2013年に掛けて転入しました。現在は一部線区のワンマン化で撤退した区間もありますが、千葉以東の路線で広範囲に運用されています。

4両編成2本を連結した8両で運用中の編成。転用に当たっては分割併合運用が存在する為、自動分併装置の新設と尖った形状のスカートに換装されています。またVVVFインバーター制御装置・制御伝送装置の更新や中間車モハ208への車椅子対応大型トイレの設置など大規模な改造を施行されました。戸閉機構の違いで、2000番台(1・2次車ベース、空気式戸閉装置)・2100番台(3次車以降ベース・電気式戸閉装置)で分けられています。

両側の先頭車が川崎重工業のマリC427編成先頭の8両。近年は内房線・外房線の末端区間ワンマン化でこのような運用が増加しています。6両編成は単純に種車の10両から付随のサハを抜いた構成ですが、4両編成は別々の編成の車両を組み合わせているものが多く、写真のように川崎重工業の先頭車と東急車輛(新津車両製作所)の中間車の編成が見られ、窓枠の形状で判別できます。なお川崎重工業の車両は一部の先頭車のみが活用され、中間車は全て廃車になりました。

京浜東北線時代の面影を色濃く残しているロングシートの車内。冬季や夏季の長時間停車を考慮してドア3/4閉機能を追加しており、1箇所を除いて閉める事が出来る様になっています。

長時間の乗車を考慮して先頭車はセミクロスシート化されました。モケットはE231500番台のような緑系で、座り心地が改善されています。

2013年の113系置き換え完了後は安定した活躍が続いていましたが、京浜東北線・横浜線のワンマン化に伴う新形式投入により捻出されるE233系で房総各線の209系を置き換える計画が明らかになり、2024年以降に着手する事が決定しました。現時点でも内房線・外房線末端区間と鹿島線のワンマン化によるE131系運転開始で6両編成の4両化と余剰廃車が発生しており、平成世代の新系列電車の終焉もいよいよ見えて来たようです。

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今年で登場30周年、相模線205系500番台

2021年05月02日 | JR東日本

2010年代から新系列電車の登場で急速に廃車や地方転属が進む205系ですが茅ヶ崎~橋本間を相模川に沿って結ぶ相模線では1991年以来運用を開始した500番台が全編成揃って30周年を迎えました。もともとこの路線は相模鉄道の私鉄線として大正10年に開通し、相鉄の起源となった路線ですが、東海道本線と中央本線を結ぶその性格から太平洋戦争の後に国有化されています。現在では神奈川県のベッドタウンを結ぶ通勤路線として機能していますが、1991年までは八高線と並ぶ首都圏では数少ない非電化路線でキハ30系グループが主に運行されているローカル色の濃い路線でもありました。

通勤時間帯は横浜線の八王子まで乗り入れる205系500番台。縦長の非常用貫通扉を思わせるデザインの窓を端に寄せた左右非対称の正面が最大の特徴ですが、その他にも他線区の205系とは異なる緑のJRマーク、スカートや幕板部の帯の省略、また乗務員支援用の簡易モニター設置など非常に相違点が目立ちます。写真R13編成は500番台の最終増備編成で、数少ない大船工場で製造された車両です。

登場から30年間、当初配置された八王子支社豊田車両センター(旧豊田電車区)から横浜支社発足に伴う国府津車両センター(旧・国府津電車区)への転属以外目立つ動きはありませんでしたが、2010年代に入ってからシングルアームパンタへの換装や半自動ドアボタンへの蛍光シール貼り付け、前照灯のLED化など小改造が施工されるようになりました。

橋本駅で横浜線のE233系と並びの場面。横浜線にもワンマン運転計画に伴う新車導入が決定しており、相模線も車両こそ未定ながら置き換え自体は検討されている為、両車共に見納めになる日はそう遠い事では無くなりました。

車内設備。戸閉装置が床置式から半自動機能付の直動式に変更されたため、鴨居部が斜めに張り出しドアコック蓋が上部に設置されています。扉の動作も基本番台と違い緩やかになりました。車内のドアスイッチには後年ドアチャイムが設置され乗務員室からドア操作を行った際に鳴動します。座席の袖仕切りは無地の茶色から模様入りの淡いグリーン系になり床面はグレー、また写真では判別出来ませんが化粧板の模様も異なるなど車内設備も独自色の濃さが目立ちます。

将来的に導入されるのが他線区から転属のE233系か、または完全な新造車(E235・E131系?)になるか、現段階では不明ですが今後に要注目ですね。

※2015年の記事を加筆・修正

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