1992年の登場以来、京王線系統の主力車両として活躍する8000系電車ですが、高幡不動で分割・併合を実施する特急が2006年で廃止後は4両+6両が半固定状態で運用されるようになりました。翌年には編成の順序を入れ替え、従来とは逆に新宿側6両+京王八王子側4両の組み合わせになり、使用されなくなった中間先頭車は乗務員室の機能も停止し2011年には正式に書類上の形式を付随車に変更しています。そして、2014年からは中間付随車化された旧先頭車の乗務員室撤去と室内更新が開始され大きな変化を見せました。
上り準特急で八幡山付近を走行する8708F。この編成への更新工事は2015年11月で、比較的早期の施工になり、修繕工事を実施する一方でVVVFインバーター制御装置は登場時からの日立製作所製GTOサイリスタを維持しています。前から数えて6両目の微妙に色が変わっている箇所が新造の客室部分を設置して完全に中間車化した元先頭車ですが、この角度では分かりにくいですね。
2017年に大規模改修を受けた8704F。京王では2015年に8000系の更新に当たって新型インバーター装置を導入し2023年を目標に全編成の機器更新を完了させる計画を発表し、車体修繕の他にVVVFインバーター制御装置も段階的に更新されるようになりました。それまでのGTOサイリスタから同じく日立製作所のSiCハイブリッドタイプに改められ、消費電力を更に低減させています。前照灯は2019年に白色LEDに換装され印象が変化しました。
元先頭車両だったサハ同士の連結部分。アイボリー塗装で特徴的だった前頭部を切断の上、新しく製造した客室部分を接合する大改造ですが極力違和感を抑えた仕様になっています。小田急1000形の中間車化改造車はやや大雑把な仕上げなのとは対照的ですね・・・。
更新前は暖色系の構成で、アイボリー系の化粧板に座席は斜め格子模様入りのローズ系でしたが、大規模改修工事では化粧板を艶のある白に改め座席は緑系とし、6000系以来の京王線車両の特徴だった角張った窓のドアもRの大きい標準的なサイズの複層ガラスを持つ新品に交換されています。しかし、写真でも僅かに判別出来るように窓の天地寸法を戸袋・側面窓に合わせている他、手掛けの位置が他社とは左右逆になっていることから単なるメーカー標準品ではないことが窺えます。なお吊り手は当初、枕木方向を向いている丸形でしたが、何故か回転は出来ない固定式になっており評判が悪かったのか後年の改修車では通常タイプの円形に戻っています。ドア上部の車内案内表示器は、下部分に注意喚起のランプを設置したもののLED式のままでしたが、換装は必要無しとの判断されたのでしょうか?
年間3編成程度のペースで施工することを発表していた8000系の改修工事ですが、2019年1月現在、10両編成で遂に未施工のまま残存するは8712Fのみとなりました。いよいよ長きに渡り見られた分割特急の名残が完全に消滅する日は近いようです。