2013年、東急東横線と東京メトロ副都心線の直通運転開始に伴いATO搭載や地下区間の急勾配に対応出来ない事から、全編成が大井町線に集結した9000系ですが、既に1986年の登場から実に34年の歳月が経過しました。現在は2000系の改造形式っある9020系も3編成が加わって大井町線のヌシ的存在になっている同系ですが、現在まで置き換えや機器更新の話題は無く、いつまで今の状態で活躍するのか気になるところです。
春爛漫の緑が丘付近を走行する9003F。1986年に量産先行車である9001編成の使用実績を踏まえて、1年空いた1987年から増備された量産車に当たる編成です。同年度は東横線向けに9002F〜9006Fの8両5編成、大井町線向けに9007F5両1編成が新造されました。9001FとはVVVFインバータ制御装置の型式や車内の天井に設置されている補助送風装置の形状が異なっています。
1988年度より増備された3次車(9008F〜9013F)は外板の幕板部と腰板を溶接からプレス加工に変更しました。これらの編成は全て東横線に配置され当時在籍していた8500系を田園都市線に転属させ列車増発に充当、先頭車が非貫通式の8090系の一部を5両編成に組み替え大井町線に転属、更に残存していた初代7000系と7200系を目蒲線と池上線に転用し初代3000・5000系列を置き換える大規模な車両転用が発生しています。
東横線所属時に化粧板修繕工事を施行された車両の車内。ドア上の車内案内表示器の設置や中仕切り撤去、7人がけ座席への手すり新設などは全編成に波及したものの、化粧板の更新は一部編成で終わってしまいました。混雑度がそこまで高くないせいか、特徴的な車端部ボックスシートはロングシート化改造などもされないまま存置されています。近年では更に床材の更新や監視カメラ設置などが施工されるようになりました。
ドア上部に戸開予告装置と千鳥配置されているLED表示。転属当初は無表示でドアチャイムのみが鳴動する状態でしたが、2012年から全編成で使用が再開されました。現在は他路線と共に更に表示内容が改修されています。
5両化の際に廃車にした中間車両の部品が潤沢に確保されている為か、全編成がVVVFインバーター制御装置の更新は受けておらず、未だに日立製GTOサイリスタの特徴的な磁励音を聞くことが出来ますが、他社の車両が大規模更新を受ける中で草創期のVVVFを維持しているのも中々に凄い事なのかも知れません。もし今後、部品が枯渇した際にどうなるかが注目ですね。走行機器を9020系同等の物に更新して継続使用なら一番理想ではありますが・・・。