2022年1月7日に東急電鉄から鉄軌道運賃の改定申請が発表されましたが、その補足資料の中の設備投資計画で、田園都市線に続き大井町線で新型車両への置き換えを実施する旨の記載がありました。田園都市線の8500系が置き換えを完了すると大井町線各駅停車用の9000系が最古参になる為、遂にその順番が回って来るようですが、急行専用に導入された6000・6020系を除くと長らく田園都市線・東横線からの転用車で運用される事が多かった大井町線では1988年に導入された9007F以来、久々の新型車となります。
東横線時代は貸切広告電車のTOQ-BOXに指定されていた2次車の9006F。登場時の1988年から1997年までは虹や街並み、シャボン玉、1997年からは虹と楽器、音符のイラストを8両編成全体に配され非常に目立つ存在で、化粧板修繕工事も早期の2003年に施工されました。2008年に側面装飾を撤去し大井町線への転用を控えた2010年に正面に残存していたTOQ-BOXロゴも撤去の上、同年7月に東横線から運用離脱、大井町線では8月より運用を開始しています。
3次車9011F(前回の記事と同じ編成です)。1988年10月に増備された編成で、1次車(試作の9001F)・2次車(9002〜9007F)と比較して仕様が若干ながら簡素化され側面赤帯部分が凸型から平面になり、ステンレスの継ぎ目なども変化しています。大井町線転用後も登場時からのGTOサイリスタによるVVVFインバーター制御を維持し、草創期の磁励音を今でも耳に出来る貴重な存在でしたが、いよいよ消滅が迫って来ました。
化粧板修繕工事に加えて床材もグレーの新品に更新され、印象が変化した車内。9000系の床材はキーストンプレートの塗り床で茶色でしたが、近年は傷みが目立っていたための措置と思われ現段階では9003・9006・9011・9012Fが施工されています。
車内案内表示器とドア周り。戸袋側に注意喚起のステッカーが貼り付けられたのに加え、戸当たりゴム付近には黄色の警戒色テープが貼られ賑やかな印象になりました。LEDの車内案内表示器は東横線時代の2003年から設置が開始された設備ですが、液晶画面が主流になった今では珍しさを感じるようになってしまいました。
9000系は関東私鉄では新京成電鉄に次いで、直流1500V鉄道車両では2例目のVVVFインバーター制御車として注目を集め、導入に合わせて捻出される車両を他線に転属させ間接的に旧型車置き換えにも関わり輸送力増強やサービス改善に大きく貢献した画期的な車両でした。今後は置き換え発表で先が見えて来たものの、元東急車を既に多数導入している地方私鉄(東急グループの伊豆急行や省エネ車への置き換えを発表している長野電鉄など)への譲渡も発生するか、また田園都市線の2000系を改番・改造し走行機器は最新形式並みになっている9020系の措置など、今後は目が離せなくなりますね。