2008年の3月30日に開通し、横浜市北部地域の足として親しまれる市営地下鉄グリーンラインは本年3月30日で中山〜日吉間の開通から15周年を迎えました。この路線は横浜環状鉄道として計画されていた区間の一部で、既存の湘南台〜あざみ野間を結ぶブルーラインとは異なり鉄輪式リニアモーター駆動の小断面地下鉄を採用しており、車両は開通より約2年早い2006年5月に川崎重工業で10000形4両2本が製造され工事中の区間(1同形式登場時点では路線名は未定)で試験を実施、その結果を踏まえた量産車両13本が2007年7月から2008年2月までに開通に備えて落成しました。現在は2014年度に輸送力増強用として一部仕様を見直した2次車2編成が登場。更に6両編成化の為2022年4月からは既存の4両に増結する中間車の増備が開始され、2024年までに在籍する17編成のうち10編成を6両化することが決定しています。本記事を書いている2023年4月1日からは、資源循環局のゴミ焼却工場から発生するエネルギーを利用した電力で運転を開始し、1年間で排出されるCO2を11000t削減(実質排出0)になることが発表されました。
量産1次車である10000形10081編成。製造時から将来の増結を考慮しており3・4号車を欠番扱いにして車号が付与されています。量産車は全編成が川崎重工業兵庫工場からJR線の甲種輸送とトレーラーによりで輸送されていますが、試作車に関しては神戸港から船舶で横浜港に輸送され、そこからはトレーラーでセンター北駅付近に陸上輸送の上で地上の高架線にクレーンで搬入する極めて珍しい方法が取られました。また、戸袋部のカラーもブルーからグリーンへ営業運転開始前に変更(量産車は当初からグリーン)にされるなど、余り他には例が無い経歴を持っています。
2019年までは公営地下鉄路線としては混雑度が最も高く、2020年からは新型コロナウイルスの影響で一時的に利用者が減少するも再び増加傾向にあることを受けて6両編成化された10121編成。現在10000形は増結を前にしてVVVFインバーター制御装置の更新が進行しており、更新車両は磁励音がIGBT素子ながら音階のようにも聞こえる非常に独特な磁励音を発するようになりました。
白い配色を基調とし強化ガラスを多用した座席の袖仕切り、妻面貫通扉と広がりを感じさせる縦縞模様の床面など車体幅の狭い小型車両ながら解放感がある車内。側扉はステンレス仕上げに接着式ガラスを採用する標準的なスタイルで、ブルーラインの車両との共通性が伺える部分です。
車内案内表示器は車高が低い為、ドアの左右に設置されました。写真は1次車の15インチサイズ液晶画面ですが、2次車からは17インチに拡大され、6両化された編成も17インチに換装されています。
リニアモーター駆動地下鉄では数少ない地上の高架線を走行し、車両の全体像を見る事ができる(編成写真をセンター南駅日吉寄りのみですが撮影可能です)他、センター南〜センター北間では車両の規格が全く異なるブルーライン(750V第三軌条集電・軌間1435mm、グリーンラインは1500V架線集電式)と並走する区間が日本で唯一存在するなど、趣味的にも非常に興味深い特色を持つグリーンラインですが、先述の通り横浜環状鉄道の一部である為、日吉〜鶴見・中山〜二俣川間の延伸が計画されており元町・中華街〜根岸間(※みなとみらい線の延伸計画)と共に試算も行われました。しかし横浜市では2030年のブルーライン新百合ヶ丘〜あざみ野間の延伸を最優先事項とし、事業化への調査はその後としています。未だ構想段階で延伸実現には20年以上は掛かりそうなグリーンライン延伸ですが、今後が期待される路線です。