富士急行線の普通列車は京王電鉄から初代5000系を譲り受け改造した1000系と自社発注車である5000系を運用していましたが、老朽化が進行していたため置き換えが検討されるようになり、JR東日本で運用していた205系を譲受し6000系として導入することになりました。会社規模の割に私鉄への通勤型電車の譲渡を行うことは比較的珍しく、民営化前の国鉄時代から秩父鉄道へ譲渡されていた101系に次いで2例目の移籍です。2012年より継続的に導入が続いていますが、複数の路線で使用されていた車両を少数ずつ導入しているため形態差があり、このうち6001・6002・6003編成は二段窓が特徴的な量産先行車であることが大きな特徴です。
2013年までに京葉車両センターから3本が導入された6000系6000番台。いずれも譲渡に際した3両化では余剰となるクハ205から切り出した前頭部を継ぐ形で先頭車化されています。写真の6002編成はケヨ26編成のうちモハ205-9(クモハ6002)+モハ204-9(モハ6102)+クハ204-3(クハ6052)が種車になっています。近年は何かしらでラッピングやヘッドマークを掲出していることが多く、ノーマルな姿を見ることは比較的難しくなりました。
河口湖駅で開催された1000系撮影会で並べられた6001編成。元ケヨ25編成のモハ205-6(クモハ6001)+モハ204-6(モハ6101)+クハ204-2(クハ6051)で、いずれも国鉄時代の1985年に山手線で初めて営業運転を開始した現存する205系列の車両の中で最古参のグループです(トップナンバーのクハ205-1はJR東日本が保管中)。
車内は富士山周辺への観光列車に相応しく大幅にリノベーションされ、デザインはJR九州の車両で実績のある水戸岡鋭治氏が手掛けました。床材や吊り手は木材を多様し、ドアは青色で塗装仕上げとするなどイメージは激変しました。寒冷地での運用になるため、暖房装置強化やドアの半自動機能追加も実施されています。
バリアフリー対策も兼ねてドア上にはLEDによる車内案内表示装置を千鳥配置として車内放送は自動化されています。JR東日本始め全国に普及し始めたお馴染みのドアチャイムが鳴動するようになりました。これらの改造のおかげで、約40年前の車両とは思えない程に印象を変えました。今後も6000系は1000系の完全置き換え用に更に追加での譲渡が予定されており、長く主力として活躍しそうです。