2008年上旬に1969年以来長らく主力車両として活躍した東急8000系が運用を終了して以来、VVVF車で統一された東急東横線ですが、2013年より東京メトロ副都心線を介した東武東上線との直通を開始するに当り、再び直流モーターのチョッパ制御車による運用が復活しました。
それがこの9000系で、東武鉄道では2000系に続く地下鉄直通対応車として登場し、当時は普通鋼製車体・抵抗制御の8000系の増備が続く中で、東武鉄道初のステンレス車体と自動可変励磁チョッパ制御を採用し、新風を巻き起こしました。1981年に試作要素の強い量産先行車9101Fが1編成登場し、量産車は有楽町線との直通を開始を控えた1987年より10両編成6本(9102F〜9107F)を導入しています。1991年に車体をコルゲートからビードプレス車体に設計変更した9108F、1994年にはビードプレス車体に制御装置をVVVFインバーター制御化した9050系(9151F・9152F)も加わり、10両編成10本の小世帯にしてはバリエーションがあることも特徴です。
2008年に東京メトロ副都心線が開通することに伴って、ATOによるワンマン運転とホームドア対応改造が必要になり、東武側は50000系グループの副都心線対応版である50070系の導入を発表しましたが、9000系もドア位置が異なりホームドア対応が不可能な9101Fを除き対応改造を受けることになり、運転台機器の交換や車内設備の更新を受け運用を開始。2013年には東横線・みなとみらい線にも予定通り直通運転を開始し現在に至ります。
化粧板や座席、客用扉、妻面貫通扉を新品に交換し大型袖仕切りを設置して50070系のイメージに近付けられた車内。以前は10030系や20000系と同じ配色でしたが、以前とは比べ物にならないくらいに明るく清潔感のある車内になりました。
ドア上に新設された車内案内表示はLED1段スクロール式の50000系グループと共通のもので、千鳥配置になっています。運用される全区間に対応していますが、50070系は初期車両が液晶画面化を行っている最中なので、情報提供量では見劣りするようになってしまいました。
ホームドア対応が困難なことから地上線専用車になっていた試作編成の9101Fが2023年10月16〜17日にかけて初の廃車が発生、約半年後の2024年4月30日には鉄道事業設備投資計画で9000系列置き換え用の新型車両の計画が明らかになり、いよいよ引退が目に見えて来ました。今や東京都心部に乗り入れる数少ないチョッパ制御車ということで、量産車全編成が健在のうちにじっくり楽しんで記録したいところです。
※2019年の記事を加筆・修正