東京モノレールでは1990年代初頭まで10年前後の短いスパンで車両置き換えを実施して来ましたが、1000形からは長期間の使用が見込まれるようになり、1997年に2000形3編成が登場して以降は、車体の塗装変更(1000形のみ)やワンマン化、ホームドア対応などの改造が行われる以外に大きな変化はありませんでした。しかし開通から50周年を迎える2014年、国際化が進む羽田空港や2回目の東京オリンピック開催決定も踏まえて、日本の玄関口に相応しい車両を目指した新形式10000形が導入され、新風を巻き起こしました。
車体は2000形と同様にアルミ製ですが、車両情報制御装置など大幅に増加した機器を搭載しつつ軸重制限をクリアする為、シングルスキンとダブルスキンを併用したハイブリッド構体が新規に開発されています。また従来は塗装仕上げだった車体も、10000形では無塗装ヘアライン仕上げで沿線に広がる空・海・緑をモチーフにしたカラーフィルムを貼る方式で保守の軽減も図りました。
このアングルからは確認出来ませんが、沿線の高層ビルから見下ろされる事を意識して屋根上にも東京モノレールのロゴを入れるなど、沿線環境をイメージしたカラーリングと共に様々な角度から楽しめるデザイン意識しているのも特徴です。
日立製作所のA-train技術で製造された鉄道車両との共通性が伺える車内。ロングシートを主体にした2000形に近い設備で、荷物置き場を新設し旅行客の利便性を向上させました。海外からの観光客の増加を受けて和のおもてなしをテーマに掲げており、青海波の座席モケットに和紙柄の照明カバー、車端部座席の市松模様入り袖仕切り、また貫通扉のアイコンには富士山や五重塔など日本の象徴的なデザインを多用しています。
車内案内表示は17インチワイド液晶画面で、2画面分のスペースがありますが片側は準備工事状態です。下部には扉開閉表示灯が設置されており、一般的な開閉時の点滅の他に青色で開く扉の方向を予告する珍しい機能が備わっています。
今後も順次増備が予定されており2021年は2月17日に10081Fが導入されました。導入に先立ち1001Fが1月5日で運用離脱し廃車になっており、ペースは緩やかですが今後も置き換えを進めて行く見込みです。