横須賀線・総武線快速には長年主力だった113系の置き換え用に近郊型に区分される車両では初となる4ドア車のE217系が1994年から導入され、1999年までに置き換えを完了させました。その後は東海道線への一時的な転出や機器更新改造などはありつつも全車両健在で安定した活躍を続けていましたが2018年9月14日、JR東日本の定例会見にてE235系1000番台をE217系置き換え用に導入することを発表、2020年12月21日より営業運転を開始しています。山手線用0番台の登場から約5年目のことですが、E235系初の中距離輸送対応型になりました。
E217系同様に久里浜寄りから付属編成4両+基本編成11両で構成されるE235系1000番台。帯色は横須賀色のクリーム1号と青20号の2色が継承されています。山手線とは違いホームドア未整備駅が多い郊外路線を走行する為、路線カラー帯はドア部に施すのではなく従来通り横方向に通されるようになりました。一世代前のE233系では帯がドア部も貫いていましたが、本系列では省略されE231系以前に戻ったような印象を受けます。
本番台では車両側の機器を始め、線路と架線の地上設備の状態を監視するモニタリング装置を搭載しており、走行中に記録したデータを常に地上システムへ送信しています。また、停電時にも最寄駅まで運転を継続出来るように非常用電源装置をJR東日本では初採用しました。この為、2号車と6号車のみ空気タンクが屋根上に設置されています。
基本編成と付属編成の連結部分。先頭車形状が完全な平面になっているためか従来のE231・233系よりも更に連結間隔が狭くなっている印象です。将来的には同じ線路を走行する東海道線の同系列に合わせて連結位置の変更も視野に入れているようですが着手は置き換え完了後になるでしょうから、もうしばらく掛かりそうですね。
車内設備はE217系ではセミクロスシート車が存在しましたがE235系では普通車は全車両ロングシートとされました。座席の袖仕切りも形状が変更され、乗客からの要望により透明化された部分が廃止されています。また、縦長の吊り手も本番台からは他社でも見られる通常の形状に戻りました。2022年度の増備車(F-14編成)からはコストダウンと思われる仕様変更が発生し、妻面貫通扉やドア両脇の化粧板省略(ステンレス仕上げ)や荷物棚のパイプ式化、半自動ドアボタン形状変更やロールバー削減など初期車に比べて退化したかのような仕上がりになっており、今後はこちらが主流になるようです。
グリーン車車内(2階席で撮影)。E235系列初となる2階建グリーン車ですが、E231・233系列では1階席と2階席では座席モケットの色を変えていましたが、本系列では1・2階と平屋部も全て同じカラースキームで統一されています。普通列車ながら電源コンセントを各席に備えており、サービスレベルは大幅に向上しました。
ドア上の車内案内表示は0番台に続き日立製作所製で他形式・他社でも主流の17インチではなく、21インチ画面と大型のものを設置しており、表示可能な情報量は格段に向上しています。観光客の利用も多く、空港アクセス路線としても機能する横須賀線・総武線系統の路線には相応しい設備ですね。
今後もE217系置き換えの為に順次増備が続きますが、この横須賀線・総武線快速用以外に計画されていた京浜東北線を始め、東海道線(上野東京ライン・湘南新宿ライン)仕様の導入は中止になってしまった為、次にE235系列が導入されるのはどこになるのか、今後に色々期待が膨らみます。
横須賀線といえば、2扉クロスシートの32系電車を筆頭に戦前に連結されていた二等車の存在など省線〜国鉄時代から存在感のある路線でしたね。
今はすっかり首都圏の通勤路線と化しましたが、沿線に広がる著名な別荘地や軍艦が並ぶ横須賀港の眺めが特別だった頃の雰囲気をまだ伝えている気がします。
私の年代の鉄道フアンにとって横須賀線は国電の中でも特別な存在でした。
それだけに
2020年に地元の環七陸橋で40年振りに見たこの編成の試運転は衝撃的なものだったです。
時代の移り変わりを痛感しました。