相鉄では老朽化の進む6000系置き換えと輸送力増強の為に、8000系と9000系の増備を並行して続けて来ましたが、8000系は1999年、9000系は2001年で製造を終了し、当時残存していた経年30年を超え老朽化が進んでいた2100系と新6000系を全て置き換える為、JR東日本のE231系をベースにした新形式を導入することになりました。
それがこの10000系で、導入コスト削減の為オリジナルの正面デザイン以外はほぼE231系そのものの外観・設備であることから当時大きな話題になりました。E231系との相違点としては車体の幅が20mm狭い2930mmであることや、10両編成(写真上)に1両単位で完結する電動車モハ10300形が連結されていることが挙げられます。この形式の導入で、相鉄車両の最大の特徴だった直角カルダン駆動・油圧式自動窓・車内の鏡は全て解消されてしまいました。
2002年2月に10両編成2本(10701F・10702F)が登場し、翌年からは8両編成で導入されますが、本形式は導入に当たってリース方式を採用しており、10701F-10703F・10708F以外は三井住友系列のリース会社が保有し、相鉄がリース料を支払う形態です。上写真の10両編成の10708F(事故廃車になった8707Fの代替)は相鉄の保有ですが、下の8両編成の10706Fはエスエムエルシー・グルス有限会社が所有しています。
赤系の座席モケットが目を惹く車内設備。E231系0番台車と全く同一の接客設備で、幅が若干狭いといっても乗客視点から差異を感じることはありません。
ドア上のLED表示もE231系と全く同一で、漢字→ローマ字→カタカナの3パターンで繰り返し次の停車駅を表示するものですが、10703F以降はスクロール表示に改められました。初期車もこれに合わせて、スクロール表示はしないものの開扉方向や乗り換え路線、近年では駅ナンバリング表示にも対応するように改修されています。
E231系と全く同一仕様ということで、これまでは何となく乗車・撮影共に意欲が湧きませんでしたが、ブランドアッププロジェクトにより、YNB化が発表されていることと、既に本家のE231系通勤型では更新が進行しているVVVFインバータも本形式では現在のところ全編成が原型を保っており、積極的に記録したい形式の一つになりました。