二つ星の空

(旧「風からの返信」-11.21.09/「モーニングコール」/「夢見る灯台」/「海岸線物語」)

「四日間の奇蹟」雑考

2005-06-22 23:30:25 | 映画「四日間の奇蹟」
忙しくてそれどころではないのに、2度目の鑑賞。日曜の夜のレイトショー。カップルに紛れて。

何でこんなに観たかったのだろう、と自問する。2度目のせいか、全然泣きもしないし、仕事のことで頭がいっぱいだから全然浸れなかったんだけど、見終わった後で、損したとは思わなかった。

余裕のない心にも、降り注ぐ、灯台の光。押し寄せる、海の風。夜を満たしていく、ピアノの音。フラッシュバックのように繰り返す、この上もなく寂しい笑顔。全ての情念を透過する、波と空。少女のまなざしと、女性の透明な涙。どこまでも遠く続いている、白く優雅な橋。

心をどこかに置き忘れていても、からっぽの器がかすかによろこんでいる、そんな気がした。

この映画で満たされるのは、何も求めない人かもしれない。ぎらぎらした欲望や要求にあふれたこの世界で。疲れ果てた人は、この映画の中で、深く傷つきながら、同時に深く癒されるだろう。きっと。

まるで、無欲さを測る試金石のように。この映画は密やかに問いかける。

この映画に響くことのできた自分は幸せ者かもしれない。自己満足でしかない、あいまいで果てしない世界で。それでも、歩いていく毎日のために。永遠に自己完結しながら、そっとつぶやく。

監督、そしてこの映画に関わった全ての人に。ありがとう。心から。
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涙そうそう

2005-06-22 00:11:15 | Weblog
残業帰りに、ビール買って、夜食買って。
家で食べるうち、突然涙がとまらなくなった。
理由もないのに、とめどなく流れ落ちる水。何だろう、これは。

別に、そんなに辛い自覚もないんだが。(むちゃくちゃ疲れてるけど。)

大切な人に、何かの大事があったのではないか、と、迷信深いおいらはとまどう。

お医者は言うんだ。「涙腺がつまって、涙がとまらなくなることがあるんですよ」
それって、老人性?(汗)っていうか、これしきのビールで酔うはずもないし。

偶然つけたTVのニュースで、少し納得がいく。
サイパン島で行われた、太平洋戦争時の悲惨な自決について。慰霊に赴く、沖縄の人々について。

これだったのかな。じいちゃん?来てる?

おいらの祖父は、職業軍人でもないのに戦争初期に赤紙が来て、新婚ほやほやで戦場に赴き、そのまま何年も戦場で過ごし、時々ごくたまに郷里に帰り、最後はサイパン島の玉砕で他界した。おいらの母親は、自分の父親の顔を、写真の中でしか知らない。祖母は今でも、九段下の神社に祖父がいると思っている。(「だって、そこにいる、って言われるんだもの。他に、どこにいるっていうの?」「あの時、信じろ、と言われたことを、今になって、信じるなと言われたって、、、」)

明るい人だった、という祖父の姿を、おいらも、写真の中の、おいらより年若い青年の姿でしか知らない。

じいちゃん、哀しかったの?

甘っちょろいおいらの感傷に気づいたとき、いつしか涙はとまっていた。

うん、忘れないよ。多分、日本も、人も。地獄を見ずに済んだのは幾万のあなたのおかげ。たとえ、何と誤解されようと。何とののしられようと。あなたの苦悩を思い、あなたのために祈る。
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