という、トニー・ガトリフのDVDを見ました。
あぁ、トニー・ガトリフ、なんて素晴らしいのでしょう。
「ラッチョ・ドローム」「ガッジョ・ディーロ」「ベンゴ」、最近では「EXILE」と、良質の映画を生み出して、刺激を与えてくれます。素晴らしい監督ですね。
フランス映画って感じですね。
「僕のスウィング」では「マヌーシュ・ギター」というジャンルの音楽に絡んだ作品で「ジプシー・ジャズ・ギター」の音が随所に出てきます。
なんといっても本物のジプシー・ジャズ・ギタリストの「チャボロ・シュミット」が、役者として出ているので、他のジプシー・ジャズ・ギターがフューチャーされている映画とは、一線を画している感があります。
もちろん、それには理由があるそうなのです。
ところで、出来すぎた話のように感じるかもしれませんが、実は私が民族音楽と呼ばれる世界中の音楽に傾倒しだしたきっかけは、このジプシー・ジャズ・ギターを聞いたからなのでした。
音楽大学を卒業して、すぐに上京してきて、ジャズ・ギターを習いだしたのですが、どちらかというとフュージョンと呼ばれるような音楽の授業が主流でした。
どうもその辺の音楽に、どうしても好きになれなかったのですが、ジプシー・ジャズの創始者である「ジャンゴ・ラインハルト」と、その音楽の後継者達のドキュメンタリー映画を見て、「これだ!」なんて思ったのです。
その後、そのジプシー・ジャズ熱もオリエンタル音楽へ傾倒しだしていってからは、少し下火になっていったのですが、「僕のスウィング」を見てまた再燃しだしました。
さて、話は戻って、先ほどの理由への答ですが、トニー・ガトリフの映画が、何故これほど前にジプシーの音楽にこだわっているのか、というと、彼らの音楽にこそ、その歴史や伝統、文化といったものが集約されているに他ならないから、なのだそうです。
ロマは、死者のことを話すのはタブーとされているために、歴史的な概念がない上、1970年代から、今まで彼らがこだわってきた伝統的な服装をやめて、どんどんロマらしい文化が消えていっている。
そういったなかで、彼らの音楽が、ロマとしてのアイデンティティを語るにふさわしい文化だという訳です。
つまり、トニー・ガトリフは、彼の映画を通してロマの文化を記録しているそうなのです。
いずれにしろ、僕のスウィング、良い映画でした。