ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

Britain's Got Talent

2009年04月18日 | 音楽とわたし
カジノのスロットマシーンに、ものすごぉ~く強烈な風邪菌がついていたのでしょうか?アトランティックシティから戻った途端、旦那が風邪をひいてしまいました。
それもかなり重症です。鼻水が止まらなくて、歩いているだけでポタポタ落ちてしまいます。とってもレ・ミゼラブル
今日治療することになっていた患者さんに事情を説明して断ろうとしたみたいですが、「風邪ひいててもいいから治療して!」という方が若干2名……、
旦那はティッシュを両方の鼻の穴に突っ込み、鍼道具の入ったおっきな鞄を手に出かけて行きました。
戻ってから、風邪にいい大根の煮物などを食べて様子を見ていたのだけど、だんだん酷くなってきてるようです。大丈夫かなあ……。


夕飯後に、当分離れてた方がいいからと、一緒に『Milk』のDVDを観る予定だったのを中止して、わたしはそれじゃ~とパソコン遊び。
そこに息子Tからチャットが送られてきました。

ちょっとコレ見てみ。youtube.com/watch?v=9lp0IWv8QZY

彼女の名前はスーザン・ボイル。教会のボランティアで歌を歌っている、独身の、まだキスさえ1度もしたことがない47才の女性です。
容姿には決して恵まれているとは言えないけれど、彼女の歌声はとても豊かで、歌うことが楽しくて仕方がない喜びに満ちあふれています。
彼女は先日行われた『Britain's Got Talent』の初回オーディションで、レ・ミゼラブルの『I Dreamed a Dream』を歌い、会場を魅了しました。

わたしは偶然、今朝、ニュースを読んでいる時に彼女の記事を見つけ、Youtubeで既に聞いていました。それを息子に言うと、

じゃあカカア、この人のこと覚えてる?youtube.com/watch?v=1k08yxu57NA

もっちろん!
彼の名前はポール・ポッツ。携帯電話のセールスマンとして紹介されたけれども、彼は16才の頃からオペラ歌手になりたいという夢を持ち始めた人です。
でも、歌手になるには、容姿もそれなりに良くなければならないということから、自信を持てない彼はプロの道を諦め、アマチュアの世界でボランティアで歌ったり、自分でコツコツとレッスンに通ったりしていたそうです。
出勤途中の事故で長期の入院を余儀なくされ、高額の支払いのために音楽の勉強を一切絶った彼。そして4年の沈黙を経て『Britain's Got Talent』のオーディションに臨み、『誰も寝てはならぬ』のアリアを歌い、会場を仰天させ、見事世界的に活躍する歌手になった人です。

Tは、やけに47才のおばちゃんが、という点を強調するので、ほんの冗談のつもりで、「わたしも出てみよっかな~」と言うと、
「よっぽどイケてなあかんで」と何気に真面目な返事が……あのオカンのこっちゃ、やりかねん、とでも思われているのか……複雑な心境です。
でも、ひいき目に想像するに、学歴なんか無くても、ほれ、こんなチャンスを掴む人もいてるねん。オカンも頑張れ!と言われているような気もします。
彼らに共通していることは二つ。音楽を自分の体の一部のように愛していて、ずっと歌い続けてきたこと。そして夢を抱き続けてきたこと。

あれこれ話していると急に、「オレ、これずっと聞いてる」と言って、パバロッティが『誰も寝てはならぬ』を歌っている画像を送ってきました。
へぇ~、こんなん聞いてるんや。意外に思いながらも嬉しくなって、それからひとしきりパバロッティやトーランドットのオペラの話をしました。
聞いていて鳥肌がたったり、胸が熱くなったり、涙が思わずあふれてきたり、そういうことに飢えている様子。
今年の夏は、就職活動のために日本に滞在予定のT。この家に居られる日にちは少ないだろうけど、もしタイミングが合ったらオペラを聞きに行こうと約束しました。

そんなことを、ついさっき旦那の足をマッサージしながら話していると、
「え、今朝、メールで送ってなかった?その女性のこと」と旦那が鼻声でポツリ。
「ううん、もらってないで」
「送ったと思てた」
「彼女のことなんで知ってんの?」
「ニューヨークタイムズの電子版で読んだ」

3人それぞれが、朝の別々の時間に、別々の所で見つけた記事でした。
それが、夜になってつながりました。
そのつながりが、なんだかほんのり嬉しかったのでした。

コメント (10)
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