東京新聞の『ふくしま作業員日誌』より
ふたつの、一年半前のものと、現在のものを紹介します。
もう3年以上も、こんな悲惨な環境の中で、毎日何千人もの方々が作業してくださっています。
わたしたちは、早急に、もっと強く、環境の改善とドクターヘリの発着場の建設を、東電と国に要請しなければなりません。
いったい議員たちは、どこを向いて仕事をしているのでしょう。
特に福島県の議員に、わたしはそれを問いたいと思います。

福島第一原発4号機から取り出した、未使用の核燃料を調べる作業員 - 東京電力提供
ふくしま作業員日誌
事故、熱中症 報告できない
震災・原発1年半
「会社に迷惑、仕事失うかも」
東日本大震災による事故発生から、1年半を向かえる東京電力福島第一原発の現場では、
今も、見えない放射線と闘いながらの、厳しい作業が続く。
作業員に取材していくと、作業中に事故や熱中症になっても、東電まで報告せずに処理され、労災になっていないケースもあるという。
仕事がもらえなくなるのを恐れるがために。
廃炉まで30年以上。
安全が守られない現場で、今後も担い手が集まるのか。(片山夏子)
汚染水かぶっても、倒れても
建屋地下で作業をしていた男性は、足場の上にいた同僚が、床に倒れ込むのを見て驚いた。
名前を呼んでも背中をはたいても、反応がない。
「これはまずい」
すぐに背負って外に運んだ。
外にいた作業員に同僚を頼み、地下に戻ると、他の作業員たちも、頭を抱えたり座り込んだりしていた。
医務室の医師は、「軽い熱中症」と診断したが、酸欠や一酸化炭素中毒の症状を示していた。
一人は、数日間動けなかった。
しかし、元請けから連なる下請け各社のうち、一つ上の会社から、
「給料を補償するから、報告しないでくれ」と言われた。
元請け会社には、「熱中症」と報告された。
労災にもならなかった。
別の作業員は、作業中に、頭から汚染水をかぶった。
自分たちで、放射性物質の検査をすると、頭部の数値が高かった。
シャワーを浴びても下がらず、バリカンで丸刈りに。
かっぱを着ていたため、体は大丈夫だった。
「汚染している場合は、手足の毛も剃り、たわしで血が出るほど擦る。
線量が下がったので、東電には報告しなかった」
と、仲間の一人は言う。
「報告すれば、根掘り葉掘り聞かれて、数日間は仕事にならない。
仕事がもらえなくなる不安もあった」

35才男性
死亡事故起きたのに
事故で作業員が亡くなったのに、作業は、先週末の二日間中止になっただけで再開された。
事故現場の作業は止まっているが、どうしてもやらなくてはならない作業以外も、すぐに再開したのには驚いた。
中止の間に、元請け会社や東電の社員が来て、危険な場所の点検をしただけだった。
事故についても、発生当日は何の説明もなく、週明けの朝礼で触れただけ。
黙とうもしなかった。
朝礼では、事故が起きたら、救急車を呼ぶのではなく、まず東電に報告するように言われた。
勝手に呼ぶと、東電や元請けに迷惑がかかる、という感じだった。
でも、命に関わる事故だったら、一刻も早く救急車を呼ばないと助からない。
福島第一原発事故後は、周辺の病院は閉鎖されているから、搬送に時間がかかる。
作業員の中では、
「事故に遭ったり、急病になったりしたら助からない。報告より先に119番しよう」と話した。
それにしても今、福島第一では、一日何千人もが働いていて、危険な作業もしている。
でも、敷地内に、ドクターヘリの発着場は無い。
タンクでいっぱいで、ヘリの降りられる場所が無いかもしれないが、作業員の命に関わること。
発着できる場所を造ってほしい。(聞き手・片山夏子)
ふたつの、一年半前のものと、現在のものを紹介します。
もう3年以上も、こんな悲惨な環境の中で、毎日何千人もの方々が作業してくださっています。
わたしたちは、早急に、もっと強く、環境の改善とドクターヘリの発着場の建設を、東電と国に要請しなければなりません。
いったい議員たちは、どこを向いて仕事をしているのでしょう。
特に福島県の議員に、わたしはそれを問いたいと思います。

福島第一原発4号機から取り出した、未使用の核燃料を調べる作業員 - 東京電力提供
ふくしま作業員日誌
事故、熱中症 報告できない
震災・原発1年半
「会社に迷惑、仕事失うかも」
東日本大震災による事故発生から、1年半を向かえる東京電力福島第一原発の現場では、
今も、見えない放射線と闘いながらの、厳しい作業が続く。
作業員に取材していくと、作業中に事故や熱中症になっても、東電まで報告せずに処理され、労災になっていないケースもあるという。
仕事がもらえなくなるのを恐れるがために。
廃炉まで30年以上。
安全が守られない現場で、今後も担い手が集まるのか。(片山夏子)
汚染水かぶっても、倒れても
建屋地下で作業をしていた男性は、足場の上にいた同僚が、床に倒れ込むのを見て驚いた。
名前を呼んでも背中をはたいても、反応がない。
「これはまずい」
すぐに背負って外に運んだ。
外にいた作業員に同僚を頼み、地下に戻ると、他の作業員たちも、頭を抱えたり座り込んだりしていた。
医務室の医師は、「軽い熱中症」と診断したが、酸欠や一酸化炭素中毒の症状を示していた。
一人は、数日間動けなかった。
しかし、元請けから連なる下請け各社のうち、一つ上の会社から、
「給料を補償するから、報告しないでくれ」と言われた。
元請け会社には、「熱中症」と報告された。
労災にもならなかった。
別の作業員は、作業中に、頭から汚染水をかぶった。
自分たちで、放射性物質の検査をすると、頭部の数値が高かった。
シャワーを浴びても下がらず、バリカンで丸刈りに。
かっぱを着ていたため、体は大丈夫だった。
「汚染している場合は、手足の毛も剃り、たわしで血が出るほど擦る。
線量が下がったので、東電には報告しなかった」
と、仲間の一人は言う。
「報告すれば、根掘り葉掘り聞かれて、数日間は仕事にならない。
仕事がもらえなくなる不安もあった」

35才男性
死亡事故起きたのに
事故で作業員が亡くなったのに、作業は、先週末の二日間中止になっただけで再開された。
事故現場の作業は止まっているが、どうしてもやらなくてはならない作業以外も、すぐに再開したのには驚いた。
中止の間に、元請け会社や東電の社員が来て、危険な場所の点検をしただけだった。
事故についても、発生当日は何の説明もなく、週明けの朝礼で触れただけ。
黙とうもしなかった。
朝礼では、事故が起きたら、救急車を呼ぶのではなく、まず東電に報告するように言われた。
勝手に呼ぶと、東電や元請けに迷惑がかかる、という感じだった。
でも、命に関わる事故だったら、一刻も早く救急車を呼ばないと助からない。
福島第一原発事故後は、周辺の病院は閉鎖されているから、搬送に時間がかかる。
作業員の中では、
「事故に遭ったり、急病になったりしたら助からない。報告より先に119番しよう」と話した。
それにしても今、福島第一では、一日何千人もが働いていて、危険な作業もしている。
でも、敷地内に、ドクターヘリの発着場は無い。
タンクでいっぱいで、ヘリの降りられる場所が無いかもしれないが、作業員の命に関わること。
発着できる場所を造ってほしい。(聞き手・片山夏子)