ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

小さな奇跡

2010年05月11日 | ひとりごと
でも、わたしにとっては、胸の中がフルルと揺れるような、嬉しい驚きに満ちた偶然のできごとなのでした。

髪の毛が短くなったので、またイヤリングをつけてみる気になりました。
昨日の朝、洋服の色に合わせて、普段あまりつけない金色系統のイヤリングを選びました。
わたしの耳にはピアス用の穴が空いていません。
今から20年近く前に一度、決死の覚悟をして耳鼻科に行き、麻酔と消毒をしっかりして穴を空けてもらったというのに、
哀しいかな、わたしの体は傷をつけられると膿みやすく、半年待っても穴の中がずっと乾く事なく膿と血で埋まっていて、けれどももう待ちきれなくなったわたしは、旦那がお土産で買ってきてくれたピアスをなんとかして入れようと耳たぶを思いっきり引っ張り、向こう側が見えないままの穴に無理矢理突っ込んだ瞬間、世界がグワ~ンと歪んだのでした。
意識はあるのだけれど、目の前が真っ暗になり、Kが観ているテレビから聞いたこともない言葉が奇妙な音で聞こえてきて、這いつくばりながら助けを呼ぼうと思うのだけど、吐き気がひどくて声も出せずに、洗面所の床の上でそれはそれは恐ろしい時間を過ごしたのでした。
後から計算すると約半時間。目が少しずつ見えるようになり、それとともに耳も普通に聞こえるようになりました。
そんなことがあって、もう恐くてピアスをする気持ちになれず、2ヶ月もすると穴もすっかり塞がってしまいました。

こちらではクリップ式をつけている人はほとんどいないので、売り場に行っても見つけるのに一苦労します。
やっとのことで気に入ったのを見つけても、耳たぶが分厚いわたしは、あまりきつく挟むとすぐに、耳どころか頭まで痛くなってしまい、それが嫌さについ緩めにつけて落としてしまうことが多いので、バタバタと動き回らなければならない日はなるだけつけないようにしていました。

昨日は、ショートカット記念にということもあって、久しぶりにつけてみようと思いました。
こないだの誕生日に自分で買ったイヤリング。シルバー系がほとんどのわたしには珍しい色ですが、昨日の洋服に合うと思ったのでつけていきました。
まず高校のリハーサルに行って、昨日の記事にも書いたように爆弾を落とし、それから家に戻って練習をしてからランチを食べ、また高校に戻りました。
その後、もう少し買い足りないお土産を買いに行った店の鏡に映る自分の顔を見てびっくり!
あれ?イヤリングが片方無い?!
それからはもう買い物どころではありません。床をじろじろ点検しながら、自分が歩いた所、立ち止まって物色していた所をうろうろと歩き回りました。
誕生日というのでいつもより高価な(といっても二割引で$16ですが……)物だったし、それを初めてつけた日に無くしたのがショックでショックで……。
ずいぶん探しました。鞄の中に滑り落ちているかもと、試着の部屋に入って鞄の中身を徹底的に調べ、自分も洋服を脱いで探しましたが見つかりません。
がっかりして、もしや駐車場の車の周辺に落ちているかも、と車に戻りましたがありません。車の中にもありません。
まあ、これがクリップ式人間の運命だ……と自分で自分を慰めながら仕事に行き、家に戻って夕飯を作っている間もとりあえず残った片方だけをつけて、失ったもう片方のイヤリングの弔いをしていました。

そして一夜明けた今日、再び高校のリハーサルに行ってきました。
リハーサルを終え、事務所に寄って入出のサインを済ませ、駐車場まで行った所で、あ、車のキーを置き忘れてきた!と思い出し、もう一度建物の中に戻りました。
演奏会場に入りピアノの所まで戻りましたが、キーはそこには無く、おかしいなあ、鞄とコートを置いた椅子の上だったかなあと、そちらも探しましたが見つかりません。
その椅子の隣に座っていた男の子に、「ここに車のキーが置いてなかった?」と尋ねながら椅子の下を覗き込んでみると、キラリと光った物が目に入りました。

え?!まさか?!

大げさだけど、胸がドキンとしました。
だって昨日、店の床を何十分もかけて探していた光りだったんです。
屈んで拾い調べてみると、誰かに踏まれたのか、クリップのところがグイッと曲がってしまってましたが、その他は無事、なんとかなりそうです。
車のキーは、いつもは絶対に入れない鞄のポケットに入っていました。



小さな小さな、そして別になんの変哲もない普通のイヤリングなんだけど、とても特別なものになったような気がします。
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『まうみ爆弾』落ちるの巻

2010年05月10日 | 音楽とわたし
毎回、コンサートが近づいた頃に必ず一回、キレてしまいます。
誰にって?
それは、伴奏を担当している高校の生徒達にです。

今週に入っていよいよ近づいてきたコンサート本番。
リハーサルも毎日、朝から昼の2時半頃までぎっしり。
コーラスのグループは4つあって、高校生はそれぞれのグループで歌っていればいいけど、
指導者&指揮者のダリルと伴奏者のわたしはそういうわけにはいきません。
わたしは計15曲、ダリルはコーラスの他にミュージカル、キーボードなど、他の舞台の指導もしなければなりません。

舞台慣れするために、本番と同じ照明をつけ、舞台の上で歌います。
そうなると、いつもはすぐにチョケる子達も、それなりに態度を整えます。
ところが、それでも普段と同じようにダレる子もいます。
そして、そういう子供は、すぐに座りたがります。
今日も1曲終わっては座り、他のパートをダリルが注意しているとまた座り、
とうとう、わたしがイントロを弾き始めているのに、3人のアルトパートの女の子達が当たり前のような顔をして座っていました。

イントロの途中で、ダリルの指揮も無視して、わたしはピアノを弾くのをやめました。

「そこの3人、立ちなさい!」

ピアノが急に止まっただけでなく、わたしが大きな声で怒鳴ったので、みんな凍りついたように止まってしまいました。
「ダリルが手を振り下ろして、わたしがピアノを弾き始めているんだよ!心を込めて、みんなが歌い易いように、音楽を楽しんでもらえるように弾いているんだよ!そしてそれはもう、あなた達も演奏に入っているってことなんだよ!それを無視して座ってるなんて……本番はもうすぐなのに……年相応の責任のある態度をとりなさい!ちょっとそこ、楽譜を下ろして!顔を隠さない!声が通らないじゃないの!」

「あ~あ、まうみを怒らしちゃったよ」とダリル。

わたしはアシスタントではないし、雇われて通っているだけのピアノ弾きなので、本来はこんなふうに生徒を嗜めたりする立場ではありません。
だから、できるだけ普段は言いたいことがあっても抑えています。
けれども、たま~に一発落とす爆弾は、生徒達だけでなく、ダリルの気分転換にもなるようです。

「今日の彼女達の態度、すまなかった」
別れ際にそう言われて、「ダリルが謝ることじゃないよ。立場を超えてしまってごめんなさい」とこちらも謝りました。
でも、ダリルもわたしも、彼らが本気で歌った時のすばらしい響きを知っている者として、たった一回しかない舞台のチャンスを逃がして欲しくないのです。
「あと3日、お互いしんどいけど、いい音楽会になるよう頑張るしかないね」と、励まし合いながら別れました。

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Happy Mother's Day!

2010年05月09日 | 家族とわたし
と言ってくれるはずの息子達、今だ起きてきません。ただ今、朝の10時です。
旦那は今朝から電話で、わたしは昨日の夜遅くにスカイプで、それぞれお祝いをしました。

さて、昨日のお昼過ぎから、唯いつ空いている時間のかたまりを使って、お土産ゲットの旅をしてまいりました。
ところが……道がなぜかいつもの倍混んでいて、モールに着くともうそこはカオス……いったいどんだけの人が集まってるん?と感動すら覚えるほどの混雑ぶり。
もう一台別の車でわたしの後ろからついてきた旦那に、「こういう時に駐車できる場所を見つける天才さん、わたしを誘導せよ!」と携帯でお願いしました。
旦那はただただ、コーヒーを一緒に飲みたい、というだけでついて来たので?、おしくらまんじゅう大会をやってるような場所で買い物なんてしたいわけがありません。

モールに入ってやっと気がつきました。ああ、母の日ショッピングだったんだ……。
後悔先に立たず……というか、時間を選んでいる場合ではないので、知っていても来ていたんですが……。

もうどこもかしこも人、人、人。
けれども、なんとなぁ~く、いつもより女性優勢というか、妻や恋人の買い物候補の品物を両手に抱えながらついていく男性の姿が多かったような……。

本当に久しぶりのショッピングに、アドレナリンがシュルシュルと音を立てて吹き出てきます。気がつくと6時間も……あかんやろ~それは!?
結局は、母の日セールとは全く関係の無いものばかりでしたが、無事に買い物を終え、夜の9時に近いというのにまだまだいっぱいの駐車場を後にしました。


今日の記事は朝と夜に分けて書いております。ここから以降は夜の部。

さて、当日の今日、実に8ヶ月ぶりのヘアカットをしてもらいに美容院に向かいました。
そしてわたしは、ここに住み始めから10年目にして、アメリカンの母の日にかける情熱を目の当たりにしたのでした。
道がめちゃくちゃ混んでるぅ~!!
その美容院はハドソン河のすぐそばにあり、いつもお世話になっている美容師エリさんが働いているお店。
彼女は超人気者なので、予約が取りにくいばかりか、15分遅刻すると無効になってしまうのですが、なんと今日はわたし、30分も遅れてしまいました。
シャンプーをして、鏡の前に座り、お願いしたい髪型をしている18年も前の自分の写真を見せました。
「う~ん、これに近いものにはできるけど、もう少しひねりをきかせたいなあ。だってまうみさんだもん」
次の人がもう少しすると来ちゃうので、ツッコンでいる余裕もなく、「おまかせします!」とお願いしました。
かなり伸びていたので、大胆にぱっつんちょっきん。真っ黒な髪の毛がバサバサと床に落ちていきます。
「ワッ、貞子の呪い……」とわたし。
「それにしても相変わらずの子供毛。ほんと、どうしたらこういうのが生えてくるんでしょうねえ」とエリさん。
だいたいのカットを終えたところに次のお客さんが……わたしのために長いこと待ってもらうのはめちゃくちゃ悪いけど、そうかといって中途半端な仕上げもまた困る。
悩んでいるところに、「彼女が終わったらちょっと時間が空くんだけどなあ……」という、エリさんの独り言が聞こえてきました。
「ねえエリさん、わたしは全然かまわないからこのままで放っといて、先に彼女をしてあげて」
「え?そんな……いいんですか?」
「いいもなにも、わたしが遅れて来たんだし。彼女が終わるまで待っててもいいかな?」
「それだったら丁度、彼女の後に合間があるのでできるけど……」
「じゃ、同じ建物の中でなにか食べて来るね。髪もこの濡れたままでいいから」
「いやいや、それはできません!乾かします!乾かしてからまたカットして整えたかったから丁度いいんです!」
ということで、エリさん曰く、初体験『中途でまた来るねカット』をしていただきました。
そして……「こんなに切っちゃったらもう少し短い期間でカットしないとマズいです」ということで、なんと、美容師の方から強制予約を言いつけられました。
2ヶ月半後です。どっひゃ~!!

カット中にKからメッセージが入っていました。
「母上、今日は母の日ですね。わたくしが働いておりますレストランに予約を取りました。ご都合がよろしければどうぞお越しください」

ウェイター姿のKはなかなか格好良かったです。オーナーは、「あと髪型がもう少し面接試験を受ける時みたいな感じになったら文句は無い」とおっしゃっていました。
新米の彼としては、担当するのは3つが限界だそうで、緊張気味に働いている黒装束のKを眺めるのはとても楽しかったです。

その息子であり弟であるKをおちょくる旦那とT。
今日は旦那とTの会計は別。秘密のお楽しみコースをいただくわたしに対して、旦那は鍋焼きうどん、Tは自腹でうなぎ丼、そしてテーブルの上には持参のロゼ。

海老好きの母のため、まずは前菜、ロブスターで出汁をとったスープが出てきました。

そしてこれ、ロブスターの刺身。携帯電話で撮ったので写りがイマイチなのが残念!



ロブスターの巻き。



あずきアイスクリームに、Kの大好きなホィップクリームてんこ盛り。K作なんだそうです。



すべて、彼のアイディアで作られたメニューだったそうで、その気持ちがとっても嬉しかった母なのでありました。

インターンがまだ終わっていない超金欠男のT。「初給料が出るまでしばし待たれい~」

ふたりともおおきに!母はめっちゃハッピーです!






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みどりリポート

2010年05月08日 | ひとりごと
朝の生徒さんのレッスンが体調不良のためキャンセルになり、またまたぽっかり時間のプレゼント。
激しい雨のシャワーを浴びてすっきり爽やか!お日様の光の中、心地良い風に揺られている『みどり』の記念撮影をしに裏庭に出てみました。



この木はもう半分以上が枯れてしまっています。けれども、白と薄い黄色のバレリーナのような花をいっぱい咲かせてくれました。



枝はもうこんな感じにかなり弱っていて可哀想です。



木の中側にも、花が咲いていました。



こちら元気なぶどうさん。小さな房の赤ちゃんがいっぱい。



ずっと気になっていたポンポン花。



近づいて見ると、まるで花火みたいにキラキラ光っていました。



また来年、いっぱい花を咲かせてね。葉っぱをいっぱいいただいちゃって……ごちそうさまでした。



 
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Before & After

2010年05月08日 | ひとりごと
昨日とはうってかわって、肌寒い曇り空。気温もスルスルと無邪気に下がり、ただ今13℃、夜なんて2℃?!の予報が出ています。衣替えしちゃったよ……

いきなり外から、ガチョウの大きな鳴き声が聞こえてきたので、どこに居るのだろうと窓の近くに寄って外の様子を見てみると、



まるで置物のようにびくとも動かない瞑想リスくんを発見。かなり長いことこのまんまでした。

それから数分も経たないうちに、いきなりおっきな雷の音が鳴り、え?え?え?という間にこの大雨。



最近、思わず外に出て見てみたくなる雨が多くなりました。まるで雲の上から地面に向かって道路粉砕機をかけているようなとても激しい雨です。

慌てて外に出て写真を撮っていると、またまたえ?え?え?という間に、しゅるしゅるっと雨脚が弱くなり、



ものの数分後にはこんな感じ。ほとんど乾いてしまっています。

映画好きの神さんが、天上で撮影でもしてるんでしょか?
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天気がいいと

2010年05月07日 | お家狂想曲
早起きする。
朝一番から溜まった洗濯を開始する。
いつもよりうんと早めの朝ご飯を食べる。
かぼちゃの種をトースターで軽く焼いて、それをヨーグルトに混ぜて食べる。
そういう、ちっちゃい、ちょいと噛み応えのある物を食べると不自由なことを否応にも思い知らされる。

二週間ほど前に、食事をしている最中に、妙に硬い物が舌の上に残り、なんだろうと出してみると、それは限りなく歯のような小さな欠片だった。
慌てて鏡の前で大口を開け、必死で点検するも、どこにもその欠片大の穴ぼこが見つからない。
貧乏だったから、虫歯の治療をしてもらった後の詰め物は、必ず一番安い金属だったので、詰め物のはずもなく、舌先でチョンチョン突いても見つからなかった。
それでもしつっこく点検していると、ああ、もしかしたらここか?という場所があった。見た所なんの変化も無いのだけれど、なんとなく穴が空いてるっぽい。
それから食事のたびに、その辺りにいろんなものが引っかかったり詰まったりするようになった。
一週間が過ぎた頃、黒豆せんべいを噛み砕いた時、初めて痛みを感じ、慌てて爪楊枝で右側の親知らずの一本前の歯の周りをほじくった。
その後はもう二度とあの痛みを感じたくなかったので、かたい物を噛む時はついつい左側の奥歯を使うようになった。

早起きしたので、いつもより頭が冴えている。
洗濯も二杯目に突入した。
運良くリハーサルが一時間も無い、いきなりの幸福版ブラックホールのような朝だ。
なにより天気がいいから気分もいい。

朝食の片付けをして冷蔵庫にバターを仕舞う。
あれ?なにこのネトネト?
いや、前々から知ってたネトネトだ。知ってたけど、忙しくてどうしようもなかったネトネトだ。

けれども今日は天気がいい。

冷蔵庫の大掃除が始まってしまったのはしょうがない。
中身の点検だけでは済まずに、ガラス棚を一枚一枚外し、丁寧に洗剤で洗い流した。
野菜室の引き出しを取り外したその下に、理解不能な油汚れがかなり広範囲にこびりついていた。
少し気がひけたけど、天気がいいのだからどうしようもない。きちっと終わってやろうじゃないの。

名付けて『そんなことなにも今しなくても病』は、往々にして、こういう天気のいい日に発症する。

洗濯は三杯目に入っていた。
ちょっとついでにパッキングも始めちゃったりして……へへへと思いつき笑いをしながら寝室の洋服ダンスの前に行ったつもりが、衣替えを始めてしまっていた。
日本はなにやら夏みたいな天候らしい……とふと思い出したのがいけなかった。

今日はほんとに天気がいい。

待てよ……日本に行ったら一番の楽しみは食べることじゃないか。
それなのに、こんな片っぽだけでしか満足に噛めないままで行っちゃった日にゃ~……。
Dr.マディのオフィスに電話をかけた。休みみたいだ。もうここ数年行ってない。とりあえずメッセージだけ残した。
洗濯と衣替えが終わりかけていた頃、Dr.マディから電話がかかってきた。
「どうしたのまうみ?あなたが歯医者に電話をかけてくるなんて……そんな珍しいこと……」
「えへへ、すんません、すっかりご無沙汰してしまって……」
「で、どうしたの?」
「歯のどっかに穴が空いちゃったみたいで」
「痛むの?」
「普段は全然だけど、食べる時に刺激するとちょっと……」
「どうしたい?」
「今日は休みじゃないんですか?」
「ええ、休みだけど、書類書きにちょっと事務所に寄ったらあなたのメッセージが入ってたから」
「月曜日の方がいいですよね」(なんて言ってるけど、来週からのわたしにはリハーサルの嵐でもう空き時間が無いっ!)
「もしどうしても今日してほしいのなら、別にわたしはここに居るからしてあげるわよ。アシスタント無しでも良かったら」
「うわ!すごく助かります!行きます!先生独りいてくださったらもう充分です!」

なにしろ今日はとても天気がいい。

「ああ、こりゃ歯が自然に欠けちゃってるわ。虫歯じゃないのにね。ちょっとおっきいから少し削るわよ」
アシスタント代わりに、あの極細の吸い取り機をわたしが持ち、先生がギュインギュインと削った後の掃除を担当する。
「見えないのになかなかうまいじゃない。助手、できるかもね」

いえいえ、いくら天気が良くったって、大の苦手の歯科の世界でお仕事する気にはなれませぬ。

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生理狂想曲

2010年05月07日 | ひとりごと
どうやら、頭蓋骨と首のつなぎ目あたりの、左右両側を襲う鈍痛は、枯れかけた子宮の井戸から出てくる生理のしわざらしい。
ふた月飛んでやってきた先月の、ほぼ丸一ヶ月続いた生理。
翌月の今月はどうなるかと思っていたら、なんのことはない、先月の始まりと同じ日に、カタマリがひとつポトンと落ちた。
あ、始まった?と思いきや、ナプキンはまっさらなまま。気まぐれなヤツめ、などと思いながら無視することにした。

ふと気がつくと、起きている間中不快だったあの痛みがかなり減っている。皆無とはいえないけれど、10のうち3程度。少し前までの9.5に比べりゃ屁のカッパだ。

もちろん、パソコンと練習の時間をかなり減らしてはいる。ベッドに入る時間もいつもよりかなり早い。
けれども、リハーサルは洗濯カゴの汚れ物のように日々増える一方だし、ストレスもその分パワーアップしてる上に時間がとれなくて運動不足……。
なのに痛みがカクンと減った……なぜじゃ?

まあとにかく、40年以上も付き合ってきた相棒と別れるんだもんね。そうあっさりと、ほなさいなら!とはいかない。
その偉大なる存在感を、一緒に過ごした時の思い出を、これでもかこれでもかと、わたしの心と体に刻み込んでから去りたいのだろう。
でも、あんまり長々としつっこくしないでね、生理さん。



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失礼しちゃうにゃ~!

2010年05月06日 | お家狂想曲
さてこちら、うちのお嬢。
といっても、かなりのご高齢でいらっしゃいますが。
毎日暑い日(湿度は低いので風は心地良い)が続いておりまして、そうなるとこの毛皮がチト暑苦しい。
珍しく、一心に、カメラを向けられているのも気にならないほどに集中しているショーティ。顔がボケて写ってしまうほどに素早い動きです。



ちょっとそのお腹、やっぱお太りあそばしましたか?
でも、太っててもその柔軟さ、うらやましぃ~!!

「なによ、失礼にゃ!」と、ややムッとした顔のショーティ。



ま、そうかたいこと言いなさんな。長い付き合いやん。

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一足お先に『Happy Mother's Day!』

2010年05月06日 | お家狂想曲


今日一番の生徒達、アレハンドロとレオナルドのちびっこ兄弟。
ドアを開けて入ってくるなり「Happy Mother's Day!」と大声で言いながら、すてきな花束を差し出してくれました。
ああ、なんて嬉しい!なんて可愛い!

そういやTとKも幼かった頃は、絵を描いてくれたり鍋敷きを作ってくれたり、そしてその作品の裏には、涙もちょちょぎれるような嬉しい言葉を書いてくれたよなあ。

ぐすん……。

今日は生徒に付き添ってきてくれたおかあさん達、帰り際、台所に潜んでいるKに聞こえるように、「Happy Mother's Day!」と大声で叫びながら帰って行きました。

さて……今年は電話だけでは済まされなくなったTと、バイトを始めて一文無しだとは言えなくなったK。
ふっふっふっ、君達、どうするどうするぅ~?
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好き嫌い

2010年05月05日 | 家族とわたし
親子だって夫婦だって、好き嫌いはそれぞれ違う。
性格だって癖だって、それから考え方だってそれぞれ違う。
けれど、長く一緒に住んでいると、ついつい、相手にも同じ物を好んで欲しかったり嫌って欲しかったりしてしまう。

先日の、旦那とTとわたしと三人だけだった日曜の夜、すごくお天気が良かったからか、「アイスクリームを食べに行こう!」と、急に旦那が言い出した。
普段は滅多にアイスクリームを食べない旦那だけど、機嫌のすこぶるいい日には突然こんなことを言い出すことがある。
わたしもTも、アイスクリームはあまり好んで食べないのだけど、付き合いで行ったろか……ぐらいのノリで同行する。

車の中で、それなりにいい感じの雰囲気で話していると、旦那が急に夏の海の家の話をし出した。
毎年夏に、旦那父がスポンサーになってくれて、ニュージャージの海辺やペンシルバニアの湖畔や特別な年はハワイなどに行って何日かを過ごすのがL家の恒例行事。
ところが、去年は初めて、父の仕事が忙し過ぎたためか、その行事はお流れになった。
そして今年、旦那は密かに、今度は子供達で費用を負担し合い、近場の海の家を借りて一同そこで過ごそうと企んでいるようだ。
 
「今年はうちとアードリィとで費用を分担して、夏のバケーションをしようかな」と旦那。
旦那弟のジムは最近アリゾナに拠点を移し、仕事も暮らしも心機一転、家族とともに生きる新しい世界を模索中なので、バケーションどころではない。
「けど、そうなったらそうなったで、TとKがどれだけ協力できるかが問題やな」とブツブツ言う旦那。
「問題ってなに?」
「TもKも、毎度あんまり協力的な態度じゃないから」
「協力的もなんも、俺はたったの2回しか行ってないし、そのうちの1回は食中毒で吐き倒してたやんか。他の1回はハワイで、あれは楽しんでたやんか」
「そんなことない。TやKはなにかにつけてダラダラしてて、積極的に外で遊ぼうとしないし、誘ってもウダウダして周りの人間をがっかりさせることが多かった」
「だから、そんな、積極的にしようにもしようが無かった時のことで説教されたくないねん!」
「たった2回のはずがない。もっと行ってるはずで、その他の時の態度が良く無かった」
「行ってないって言うてるやろ!」

確かに、TもKも、外遊びよりゲーム、という子供だった。
離婚したわたしに連れ出された幼い孫達に、なにか楽しいことをと考えたわたしの父が買い与えたゲームボーイが事の始まりだった。
TもKも夢中になって遊んだ。けれども、休みの日には、近場の公園に行って、外遊びもいっぱい楽しんだ。
小学校の高学年ぐらいまでは、ゲームの時間をどうやったら短くできるのか、それが親の我々の悩みの種だった。
ゲーム以外の、彼らに経験して欲しい事が、わたし達の思いの中には山ほどあった。
けれども、習い事に行かせてあげられるお金も無く、周りの男の子達のほとんどがテレビゲームに熱中していた。

中学生になった頃、Tがとうとうゲームから卒業した。
ゲームよりもっと楽しいことが見つかったし、電車やバスを乗り継いで行かなければならなかったので、時間も極端に制限された。
ところがKはその後も、勢いも情熱もなんら衰えることなく、持って生まれた勘や反射神経の良さなども加担してどんなゲームでもすぐにうまくできるので、ゲーム熱は下がらなかった。

ゲームを知らずに育ったわたしの世代、そしてもう一世代若い旦那も、ゲームというとアーケードにあるインベーダーゲームぐらいしか知らないまま大人になった。
しかも旦那は、ペンシルバニアの片田舎で育った、生粋の外遊びっ子。
なので、好んで家の中で遊ぶ男の子、というのが、どうしても根本的に理解できない、というか、好きではないのだと思う。
だから、L家の旦那姉、弟の間では、うちのTとKの、外遊び度に関しての評価がすこぶるよろしくない。
散歩してもだらだら、すぐに疲れただの、喉が渇いただのと文句を言う。
基本的に、外でのアクティビティに積極的ではない。
家の中でゲームをしたり漫画本を読んだり、座ったり寝転んだり、まるで猫のようじゃないか!

わたしもできれば、元気に外で走り回る息子達の姿を目で追いながら微笑んでいる母親、というのをたくさん経験したかったけれど、だからといって、TとKの時間の過ごし方をとやかく非難するつもりもない。
まあ、わたしも彼ら同様、家の中でずっと過ごしていてもご機嫌で、イライラしてくることもないタチだからだろうけれど。

Tは、旦那が嫌っている事柄をちゃんと理解している。
けれど、勘違いしていることで非難されたことは腹が立つので、そのことについては謝って欲しいと言う。
旦那は思いっきり無視している。そして絶対に謝らない。

よく運動する。よく身体を動かす。そうしないとすぐに身体が変になってイライラする。
そういうタイプの旦那からは、TやKやわたしの、なんともダラダラとしたでんでん虫的な行動が気に触って仕方が無い。
わたしも一昨年あたりから、やっと運動の大切さと意義を知ったので、旦那のそういう気持ちも少しはわかる。
でも、Tは高校で陸上を、大学ではウエイトリフティングを地道に毎日トレーニングしているので、種類は違うけれど、運動量は旦那のそれよりもはるかに多い。

旦那の頭の中には多分、ごろごろ寝転んで漫画を読みふけるか、テレビの前に陣取りコントローラーのボタンをカシャカシャ押しているTとKの姿が、今だに色濃く残っているのだろう。
それがたまに悪さして、彼の言葉の端々にトゲをつける。
もうとっくの昔に大きくなって、頼んだことはすぐにしてくれるし、歩くのもシャキシャキしているし、それぞれにしっかりしているのにね。

子育て真っ最中の親にとって、子供が自分の好む行動をしてくれなかったり言葉を発してくれなかったりすると、それが小さな事であれ結構がっかりするもんだけど、
愛だよね~愛!それでもめちゃくちゃ好っきゃで~の気持ちが、負の気持ちのほとんどをうまく包んでくれる。

家族だからって、なにも保証してくれない。なにも助けてくれない。
好き嫌いはあっても、なにかと衝突したり喧嘩したりしても、そうやって結局はお互いに認め合ったり許し合ったり、時にはいい意味で無視できたりすればいい。

旦那とTは、あの後丸一日、ちょっとぎくしゃくしていた。
まあ、いつか思い出してまた笑おう。
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